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【全文無料特別号】むぎのマガジン vol. 122ー毎週とどくタロット鑑定解説マガジンー 大アルカナを理解するポイント
こんにちは。むぎのタロットのyukiです。今回は月に1度の特別号として、全文無料公開です。
今回は、大アルカナのカードを効率よく理解するためのポイントをまとめました。
むぎのタロットマガジンでは、毎週1本ずつ、公開許諾をいただいているタロット占いの事例をじっくり解説した記事を掲載しています。また、時々、今回のようなタロットを学ぶためのノウハウも発信しています。
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解説動画
大アルカナを理解するためのポイント
大アルカナの全カードの解説
死神と吊るされた男のみ(上記動画で抜けてました…(´・ω・))
カードを「暗記」しようとしてはいけない
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「タロットカードはたくさんあって覚えるのが大変」という人も多いのかな?と思います。ですが、「とにかく丸暗記しなきゃ!」はしんどいですし、自分の言葉で語る占いに応用はしにくいのかなと思います。
その一方で、タロットカードの一つのハードルとして、「それぞれのカードの意味を理解できなくて占いが難しい」という問題があるのかなと思います。
今回は、大アルカナを楽しく理解するためのポイントをお話しします。
あくまで「占いに使う」ために理解する話なので、めちゃくちゃ詳しく大アルカナのカードを知るためではないのでご了承ください。
今回は、
① ポイント1:モチーフに注目しよう
② ポイント2:似ているカードをまとめて理解しよう
③ ポイント3:「逆」になっているカードを理解しよう
④ ポイント4:ストーリーで理解しよう
⑤ ポイント5:セフィロトの木もみてみよう
のポイントでお話しします。
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① ポイント1:モチーフに注目しよう
カードにはよく出てくるモチーフがあります。モチーフに注目することで理解がしやすくなります。
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モチーフ:水
水は感情や潜在意識を表します。水の様子でカードが現すことが理解しやすくなります。
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例1:女帝と水
女帝の背後には勢いよく流れる水が描かれています。これは彼女が自分の内面から溢れ出る愛情を惜しげなく他者に注ぐことを表します。
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例2:月と水
水(潜在意識)から獣(本能、獣性)が這い上がってきてしまっている様子を表しています。このことから、このカードの不穏さ、不安定さをあらわします。
さらに、水(潜在意識)を見下ろす月は顕在意識を表すとアーサー・ウェイトは述べています。
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例3:星と水
形のあるツボから大地と海に水を流して、形をなくしていることから、心を解放してリラックスしている状態を表します。
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例4:節制と水
器からこぼれないように水を循環させ続けていることから、心に変化はあるものの、一定の範囲に変化を止めて安定を保っている様子をあらわします。
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他にも多くのタロットカードには水が描かれています。その水がどのように描かれているのかを観察することで、カードのことを理解しやすくなります。
モチーフ:ヨッド
大アルカナには月や塔、小アルカナではペンタクル以外の1のカードの背景には、独特な形の光のようなものが描かれています。
これは、ヘブライ文字のヨッドという文字の形になっています。
ユダヤ教および、キリスト教では同じ神を信仰していますが、神の名前は発音ができない4つの子音で記述されます。ヨッドは、その、神を表す4つの子音(神聖4文字)のうちの1つです。
神を表す4文字の子音は火・空気・水・地にそれぞれ対応しているという考え方があり、ヨッドは火を表します。
そのため、ヨッドが描かれているカードは、神からの強いエネルギーが働いていることを表します。
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塔のカードや月のカードは一般的にあまりいい意味で捉えない方も多いのではないかと思います。ですが、ヨッドが描かれていることから、どちらも神からの恩寵が存在していることがわかります。
モチーフ:丸い円
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タロットで光る円が描かれている場合には、ケテル(全知全能の神)を表していることが多いです。
タロットカードはセフィロトの木に対応しており、大アルカナのカードはセフィロトの木のパス(線の部分)に対応しています。
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上記の図の一番上の1がケテルとよばれる全知全能の神で、上記図の一番下の10がマルクトと呼ばれる我々が生活している地球です。
大アルカナで光る円が描かれているときには、上記の図の1の全知全能の神ケテルを表すことが多いです。
例1:愚者
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愚者のカードの背後には光る円が描かれています。これは、太陽ではなく、ケテルを表しています。愚者のカードはセフィロトの木において、1のケテルから2のコクマーのパスに対応しています。
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このことから、愚者の背景に描かれているのはケテルであることがわかります。そしてケテルからの光を直接受けている愚者が非常に強いエネルギーをもっていることがわかります。
モチーフ:棒
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棒(=ワンド)は小アルカナでは炎(=エネルギー)に対応しますが、大アルカナでもそれは同じです。そのため、大アルカナのカードで人物が棒を持っている場合には何らかのエネルギーを持っていることを表します。棒の大きさや本数、どのような棒を持っているかでエネルギーの強さや役割を判断することもできます。
② ポイント2:似ているカードをまとめて理解しよう
似ているカードは比較しながら考えると理解しやすいです。マルセイユ版では似ていなかったカードが、ウェイト版になることで似た構図にされたカードはたくさんあります。そこには作者の意図があり、理解の足掛かりになります。
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例1:恋人と悪魔
恋人と悪魔は構図が非常に似ており、
・背景に超越存在
・手前に裸の男女 が描かれています
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しかし、その一方で、背景に描かれている存在は恋人が天使のような存在であり、悪魔のカードには悪魔が描かれています。
さらに男女も悪魔では獣化した様子で鎖につながれていますが、恋人では獣化しておらず、鎖にも繋がれていません。
この2枚のカードは「選択」に対して良い選択をした場合と、良くない選択をした場合どうなるかが描かれています。このように、同じ軸に対して対照的な反応・選択をしたらどうなるかが対比的に描かれています。
例2:女教皇と法王
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女教皇と法王はどちらも聖職者であり、柱のような構造が描かれています。
しかし、女教皇は柱の奥に誰の目にも触れられず座しているのに対し、法王は柱の前に座しており、信徒の前に姿を晒しています。
これは、女教皇も法王も「信仰」をもっているものの、女教皇の「信仰」は他の誰とも共有できないものであるのに対して、法王は全ての人と「共有」できるものであることがわかります。
この対比から、他の誰か・存在を頼ることを求める法王の性質と、自分自身にとって大切なものをしっかりと守ろうとする女教皇の姿が理解しやすくなります。
例3:星と節制
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星と節制は一見、あまり似ていないカードに見えます。しかし、よくみると、
・足を水に入れている
・2個の容器から水を出している
など共通点がたくさんあります。
共通点がたくさんある一方で、星のカードは壺から地面に水を垂れ流して水の形をなくしているのに対して、節制のカードはカップからカップに水をこぼさずに慎重に移している様子が対照的にうつります。
このことから、星のカードが自分を解放してリラックスしているのに対して、節制のカードが心身のバランスを保とうとしている様子がより理解しやすくなります。
例4:運命の輪と世界
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運命の輪と世界のカードは、ウェイト版でよく似た構図に書き換えられました。
4隅に描かれた動物のモチーフは同じで、中央に超越した存在が浮き上がっっています。
しかし、その一方で
・運命の輪では四隅の動物が書物を読んで勉強中の様子であり、なおかつ色がないのに対して、世界では成熟した様子で描かれており色がついている
・運命の輪には人間的な存在が描かれていないのに対して、世界では中央に人物が描かれている
ことがわかります。
これは、運命の輪が人間の認識の埒外で動く運気の変化を表しているのに対して、世界が「それ(運命の輪)では世界は完成はしていない」と告げていることが読み取れます。
そしてタロットにとって完成した世界(=世界のカードがあらわすもの)とは、単純な物質としての世界ではなく、人間がその世界を認識・判断することで真の完成を迎えることも表しています。
こんなふうに、よく似ているカードを比べることでそれぞれのカードのことをさらに深く理解しやすくなります。
③ ポイント3:「逆」になっているカードを理解しよう
ポイント2とポイント3の「似ているカード」と「逆になっているカード」は厳密には区別はできませんが、大アルカナの中には多くのモチーフが逆に描かれているカードもあります。
似ているカードと同様、逆になっているカードもお互いのカードを比べることで、それぞれのカードの特徴を理解しやすくなります。
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例1:皇帝と女帝
皇帝と女帝は全てのモチーフが徹底的に「逆」に描かれています。
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・皇帝は年老いた男性だが、女帝は若い女性
・皇帝の背景は不毛の砂漠だが、女帝の背景は命に溢れる森林
・皇帝の背景の水は止まってしまっているが、女帝の背景の水は勢いよく流れている
これは、皇帝・女帝が男性原理・女性原理、父性・母性という対照的なものをそれぞれ司っていることを表します。
皇帝の背景には水が描かれていることから、彼が「心無いロボット」なのではなく、人の心や感情を持っていることがわかります。しかし、勢いよく水が流れている(=自分の本能や感情を留めない)女帝と違い、皇帝の水は動きがなく、彼が自分の感情を押さえ込んでいることがわかります。
心から湧き上がる愛情や慈愛を気持ちのままに表現することをよしとする女帝に対して、皇帝は、「自分がどうやりたいか」ではなく、「どうあるべきか」という理性や社会性を優先することがわかります。
例2:法王と悪魔
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恋人とも似ている悪魔のカードですが、実は法王ともにています。
法王も悪魔も背後に導く存在があり、手前に2人の導かれるor繋がれている存在が描かれています。
恋人のカードのところで、悪魔は選択を誤った姿だということに触れましたが、言い方を変えるなら「従ってもらう存在を間違えた」ともいえます。法王も悪魔も、「自分で決めずに判断を他人に委ねる」というところでは共通点があります。
法王のカードでは正しい導きに、心から従うことで良い結果につながることを表している一方で、悪魔のカードでは自分の心の弱さから、よくない選択に依存することがよくない結果を導いていることを表します。
自分以外の存在を頼ることはいいことでも悪いことでもありません。どのようなものを頼るかによって結果が変わってくること、頼る相手を選ぶことが大切であることをこの2枚のカードは教えてくれています。
例3:戦車と力
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戦車と力は隣り合っているカードですが、実は真逆の行動をしています。
・武装している若い男性が2匹のスフィンクス(獣)に目を表すこともなく直立している戦車。そしてよくみたら手綱も持っていない。
・武装もしていない若い女性が1匹のライオン(獣)をしっかりとみつめて、しっかりとコントロールしている(=手綱を握っている)力。
一見あまり似ていないカードですが、「獣(=自分の内面の受け入れ難い醜い面)」へのアプローチが真逆であり、戦車が勢いはあるものの、自分の弱さに目を向ける本当の強さを身につけてはいないのに対して、力は自分の弱さを受け入れる強さをしっかりと身につけていることがわかります。
このような形で「逆」に描かれている2枚のカードを比べることで、「似ている」カードと同様、それぞれのカードをしっかりと理解しやすくなります。
④ ポイント4:ストーリーで理解しよう
連続しているカードの中に、ストーリーを見出すことでカードが理解しやすくなることもあります。
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例1:愚者→魔術師
0の愚者から1の魔術師を連続したストーリーとして捉えると、それぞれのカードの特徴が捉えやすくなります。
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愚者は大きなエネルギー(ケテルに照らされて、大きなエネルギーを表す太い棒をもっている)ものの、その力の使い方には無頓着に描かれています(太い棒は荷物持ちというどうでもいい(?)使い方をしてしまっている)。
しかしそれが魔術師になると、棒を避雷針のように構え、力の働く向きや、意図を明確にしていることがわかります。
2枚を比べることで、大きなエネルギーを持ちながら、形や方向性を決めていない愚者のカードから、自分の持っている力を意図的に働かせる魔術師の変化がよくわかります。
例2:審判→世界
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審判と世界のカードは、シンプルに、ヨハネ黙示録のストーリーの順序に対応しています。
審判のカードはヨハネ黙示録の第一の復活の場面です。生前、偶像崇拝や異教の崇拝に堕落することなく、唯一神への信仰を捨てずに殉教した人々が天使のラッパで復活するシーンが描かれています。
そして世界はその後にもたらされる千年王国の到来を表しています。
この2枚が連続していることでヨハネ黙示録のどのシーンに対応しているかがよりわかるようになり、カードの理解にもつながります。
例3:戦車→力→隠者→運命の輪
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力のカードと正義のカードはウェイト版で順番が入れ替えられ、戦車→力→隠者→運命の輪という順番になりました。
これによって
・獣(=自分の弱さ、醜さ)を直視できなかった戦車から、獣(=自分の弱さ、醜さ)を直視してコントロールすることができるようになった力
・獣(=自分の弱さ、醜さ)と自分自身(=美しい乙女)が分離していた力から、すべては「1つの自分」だと受け入れ、ただただ自分を見つめることができるようになった隠者
と言った形で、自己を受容していくことができる成長のストーリーが見えるようになりました。
ここまでいくと、「もうこれで自己受容もできて完璧なのでは?」と思うのですが、隠者はまだ9番目のカードで完成の21番からは遠い位置になります。
自己を受け入れるのはとても大切なことですが、自己の世界と外の世界が統合される世界にはまだ「足りない」のです。
そのため、隠者のカードには自己の内面を見つめ続けた結果「自分はいなくても世界は勝手にまわるのでは?」という「半分の完成」で終わっている運命の輪のカードが続くことになります。
ここまでの解釈はあくまで「私なりの」解釈となります。(戦車が自分を見つめられていない、ということの根拠はアーサー・ウェイトが解説書にて、戦車を「王子のような人物=スフィンクスが出てくる王子=オイディプス王では?」と考えたなど、一応根拠はあります)
この解釈が正しいかどうかではなく、何かカードの理解のヒントになればなと思います。
⑤ ポイント5:セフィロトの木もみてみよう
タロットカードはセフィロトの木に対応しています。ただし、タロットを占いに使うだけであれば、私は必ずしもセフィロトの木への理解は「必須」だとは思いません。
ただ、「ちょっとわかりにくい」カードについてはセフィロトの木に対応して考えるとあっさりと理解できたりすることもあるのかなと思います。
例:女教皇
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女教皇のカードは「わかりにくい」と考える人も多いのではないのかなと思います。
・よくわからない服装
・両サイドに突然現れたアルファベットのかかれた柱
・足元の水と月
など、「何をあらわしたいのか」がわからないカードに見えるかなと思います。
しかし、このカードはセフィロトの木と対照させることによって非常にわかりやすいカードにかわります。
女教皇はセフィロトの木では1のケテルと6のティファレトをつなぐパスに対応します。
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・女教皇の服装
頭の上の円は1のケテルに対応します。そして足元に描かれている三日月は6の下の9のイェソド(対応する星が月)を表しています。
・女教皇の両サイドの柱
セフィロトの木は3本の柱の集合体として見ることができます。
左の3・5・8は女性性・受動性を表す峻厳の柱を。
中央の1・6・9・10はバランスをあらわす均衡の柱を。
右の2・4・7は男性性・能動性を表す慈悲の柱を表します。
これは女教皇の左の黒い柱(B=Boaz:闇)が女性性、受動性の峻厳の柱に、右の白い柱(J=Jachin:光)が男性性、能動性の慈悲の柱に対応しています。
そして女教皇自身は均衡の柱に対応しています。
・女教皇のベールと書物
女教皇の書物にはTORAとかかれています。TORAは一般的にはモーセ五書(旧約聖書の最初の5つ)に対応していますが、ここでのTORAは神から直接手渡された、世界の全てが書かれた書物を表します。そしてこのTORAは女教皇のベールの奥に隠れています。
セフィロトの木では、1と6のパスの間にアビスと呼ばれる断絶があります。これを超えて全ての真理がある1のケテルに到達することは非常に困難であるとされています。アビスを縦断するパスである女教皇のベールはこのアビスを表しています。
他にも女教皇のカードに描かれている数々のモチーフは、セフィロトの木に対応させると理解しやすくなります。
他のカードも「なんでこんなものが描かれているんだろう?」と思ったらセフィロトの木に立ち返ってみてもいいのかなと思います。
まとめ
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みなさまのご参加お待ちしています。
次回の配信について
次回は2024年4月13日(土)配信予定です。恋愛に関する鑑定の解説の予定です!また次回皆様にお会いできることを楽しみにしています!
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