さくら色が好きになった春

長かった冬を飛び越えて、3月を迎えた。
ダウンを着て駆け回っていた季節から、薄手の上着を羽織って街に繰り出すようになる。
気温は10度を超えるようになり、少しずつ春の匂い、春の風を肌で感じるようになった。

もう2月も終わるのかとハッとしたのが数日前のこと。
最近はもっぱら桜風味のスイーツやドリンクをSNSで辿る日々である。
それだけではない。桜の香りの柔軟剤、桜モチーフの小物、桜色の車、エトセトラエトセトラ。
頭の中は完全にさくら色に染まっている。見るもの全てに春の息吹を感じ、浮き足立ってその時を待ち続けているのだ。

春は好きだ。
元来寒がりの私は、冬場はこたつから一歩も出れずに活動範囲を狭めてばかりいる。
けれども少ぅしだけ暖かくなると、冬眠から醒める生き物のようにひょっこり頭を覗かせ、きょろきょろと春を探して準備運動を始める。
その習性ともとれる行動は今年も健在のようで、早速本日無印良品の桜スイーツをかき集めた。
つい一気に食べ尽くしてしまいそうだが、少しずつ、大事に食べようと思う。
春を、ひとつずつ味わうように。

3月の目標のひとつに、"春を探す"ことを挙げた。
だから、今月はそれに明け暮れることだろう。植物を見に行きたいし、春の曲を車で沢山流したいし、さくら色に胸をときめかせたい。

約2年半、何だか心身ともにぼろぼろで、あれをしたいこれをしたいなんて思考は疎か、そもそも働きながら何かを楽しむ余裕なんてものは無いから、ずっと殻に閉じこもってきた。
それが最近、外に目を向けられる余裕がでてきた。

だからこそ、今年は春を全うしようと思う。
ふわりと軽くなった身体で、何処へだって行く。
見たいものを見て、五感で楽しみ、自分を満たしていく。

去年より好きになったさくら色を探して、私は春のもとへと歩き出していく。