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台北ゲームショウ遠征記2025(前半)

台北ゲームショウに参加してきたよ

こんにちは。むげんびっとこと、村上です。
はじめましての方に自己紹介しますと、元建築士で住宅設計などに携わっていましたが、40歳目前にゲーム制作に挑戦し、今はインディーゲームのクリエイターをしています。2022年に福岡インディーゲーム協会を立ち上げて、福岡でゲームのイベントや勉強会などを開催しています。

今回、初めて台北ゲームショウ(以下TGS)に参加したのですが、その理由は主に3つあります。

1つ目は、自分のゲームを海外イベントに展示したときの反応を見たかったため。
僕の作っているゲームは16ビット時代の古き良きドット絵のゲームを現代風にアレンジしたRPGやパズルゲームなどです。それが海外の人に受け入れられるのかを確かめたかったし、もしパブリッシングなどのお話があれば最高だなと。

2つ目は、TGSを他の開発者におすすめするために体験しておきたかったため。
福岡インディーゲーム協会は2年前からTGSの運営と連絡を取り合って、お互いの情報を広報し合う関係なのですが、TGSを人に勧めるのであればまずは自ら体験しないと無責任だと思うので。もし良いイベントなら来年は福岡のインディーゲーム制作者たちとツアーを組んで参加したいと思っています。

3つ目は、純粋に台湾をエンジョイしたかったため。
台北は福岡市のテック系イベント「明星和楽」の一員として1年前に訪れており、そのときの体験が楽しかったので、もっと台湾を知りたかったし、台湾人と交流をしてたかったのも理由です。

いざ台北へ

僕は福岡に住んでいますが、今回台北に行ってみて改めて近いなと実感しました。
太宰府の自宅を8時に出ても12時には台北に到着しています。福岡空港がめちゃ便利というのもありますが、飛行時間が2時間というのも素晴らしい。乗ってすぐに2時間の映画を見ようとしたら「到着までに視聴が終わらない可能性があります」って出ます。福岡から東京まで行くのと同じでお手軽感がありますね。ちなみに台湾は旧正月の休暇シーズンで飛行機もホテルも若干割高のようです。チャイナエアラインのエコノミークラスで往復7万円くらいかかりました。

TGSが開催されるのは台北南港展示センターという大きな会場で、空港からMRTと地下鉄を乗り継げば1時間半くらいで到着します。

写真は公式サイトから拝借(建築当初?)実際はもっと人通りが多くて賑やかです。

台北市内から30分ほどで到着できますが、台北市と会場のちょうど中間あたりの松山市という地区のホテルに宿泊。
料金は朝食付きで2泊で26,000円程度。帰国は朝早いフライトなので3日目は台北桃園空港内のカプセルホテルに宿泊です。

会場から3駅の後山埤という地下鉄駅すぐ横のホテル

前日の会場設営!

TGSは昨年の来場者が36万人という、かなり大きなゲームイベントです。あの東京ゲームショウでも27万人とのことなので、イベントの大きさがわかるのではないかと思います。
台北ゲームショウには主にB2CとB2Bゾーンがあり、B2Cコーナーはいわゆる一般展示コーナーで、企業などが大きな展示をメイン会場。インディーゲーム用のINDIE HOUSEというコーナーもあります。
今回、僕が出展したのはB2Bゾーンというメイン会場の上の階で、一般来場者は入れず事前申込をしたゲーム関連会社などが入れるゾーン。その中でインディーゲームなどが出展するエリアになります。このエリアで日本からの参加はうちだけでした。

一般来場のB2Cの1つ上のフロアで入るにはパスが必要です。

僕がブースを構える場所はB2Bの一番隅の方。ただ、後日わかるのですが、エレベーターの近くで人通りが多い場所だったので、目立つ場所が取れたのはとってもラッキーでした。

1800✕600の長机のみのブース

このブースの出展料は5250台湾ドル。日本円で25,000円ほどです。事前に申し込めば24インチモニターや展示パネル台などがレンタルできるようなのですが、それを直前まで見落としていたので27インチモニターを持ち込みました。

今回のために用意したテーブルマット。いい感じ。

気合を入れて大きなモニターを設置して、テーブルマットを使用して飾りつけをしましたが、B2Bインディーコーナーはどこも簡素で、良い意味で目立っていました。特に大きなトラブルもなく設営は30分ほどで終了。

台湾NIGHT(初日)

宿泊するホテルから15分ほど歩いたところに饒河街夜市という有名な夜一があるのでレッツゴー。

夜一らしい電飾の門構えを見るだけでも心が踊ります。

2時間位くらい散策してたくさん写真を取りましたが、口にしたのは有名な胡椒餅とお芋の揚げ餅、フルーツジュースだけでした。どれも美味しそうなんだけど、そこまで安くはない。普通に1000円くらいする揚げ物とかがあるので、日本のお祭りの出店と大差ないかも。でも夜一のほうがバリエーションは豊富で、味は形と匂いから想像するしかない。僕は八角の独特な風味が苦手なので、特に肉料理はトライできなかったです。
写真を載せたいところですが、それだけでnoteが埋まってしまうので割愛。

結局、ホテルに戻ったら小腹がすいたので近所のお店へ。台湾の餃子は鍋貼というそうなのですが、八角の風味も無く美味しかったです。コンビニで台湾ビールを買ってホテルでよくわからない番組を見ながら飲んで24時前に就寝。

ビールってお店には売っていないらしく基本持ち込みなのだそう。ビールと一緒に味わいたかった。

いよいよ出展初日。スーパー助っ人登場!

さぁ、いよいよ出展初日です。準備万端のつもりでしたが、唯一の心配は言葉の壁。B2Bコーナーを訪れるのはほとんどが海外の人のはずなので、今回の出展に合わせて通訳さんを雇っていました。現地に留学している学生さんが所属している日本人会を通じて募集をかけてリモート面接をして、一番ゲームへの理解があって英語と中国語が話せる福岡出身の留学生Yさんに依頼をしていました。

イベント当日に現地集合でしたが、時間取りに合流。私服でいいですよと伝えていたのに、シャキッとスーツで来られました。話し方もおおらかでスラッとしていて笑顔が素敵な好青年。色々と話を聞いてみると、コロナ禍で留学を諦めて就職していたが、コロナ明けに改めて台湾へ留学。成績も首席だったので早期卒業が可能となり、4月から外資の金融企業の日本支社への就職も決まっているとのこと。またゲームも大好きで、コロナ禍にプログラミングを学びアプリを作った経験もあるので、大きなゲームイベントで通訳の経験ができる事が嬉しいとのことでした。

会場とともにB2Bゾーンにも続々と来場者がやってきました。
次々と英語や中国語で質問が飛んできます。

英語と中国語を切り替えて対応するYさん

テキパキと対応をしてくれるYさん。ビジネスに関する質問は私に確認に来ますが、ゲームの遊び方などは全部答えてくれます。聞くと、出展予定のゲームを事前にダウンロードして遊んでくれていたようで、操作方法はマスターしたとのこと。

本当は僕がつたない英語でも伝えられたら良かったんですが、Yさんが優秀すぎて言いたいことを的確かつ爽やかに伝えてくれるので僕がやることはほぼ無し。基本的に彼の横でにこやかにやり取りを見ながら最後に名刺交換をするだけでOKでした。Yさんは通訳するだけでなく、相手が僕のゲームの何に興味を持っているのかを教えてくれて、僕の思いを相手に翻訳して伝えてくれます。もう通訳の範疇を越えて、ただただ優秀なスポークスマンでした。

訪れる人の多くは向こうから営業をかけてくる形で、楽曲制作している方や翻訳者の方、グラフィック制作者の方々が、ぜひ協力させてほしいといった内容。
他にも誰もが知っているゲーム会社やIT関連の会社なども訪ねてきてくれました。
Yさんに聞いたところ、みんなが口を揃えて16ビット風の美しいドット絵をOld School(古き良き雰囲気)だと褒めてくれるのだそう。
台湾人、とくにゲームが好きな人達は日本のカルチャーを敬愛していて、海を超えて台湾にやってきた日本人インディーゲーム制作者に、好意的な興味を持ってくれているのではないかとのこと。

とにかく初日の出展は、客足が途絶えることもなく大盛況でした。

行ってみたかった九份へ

展示は17時で終わるのですが、その後にネットワーキングパーティという交流会が開催されます。参加企業がそれぞれセッティングするので市内の至る所で催されるのですが、僕が参加する予定のパーティは20時からだったので、3時間どこで暇をつぶそうかと考えていたところ、Yさんが九份に行きませんかと提案してくれました。(というのも、雑談の中でいつか九份に行きたいと言っていたから)

聞くに、レンタカーを借りて高速で行けば1時間かからないので、往復3時間あれば可能とのこと。通訳の仕事なのにそこまでしてもらうのも悪いよ、と言ったら「台湾をもっと知ってもらいたいですから」と爽やかに返してくれました。

Yさんはタブレットでレンタカーの手配を済ませ、会場から徒歩3分くらいの駐車場に停まっていた車で出発。ちなみに日本では販売されていないトヨタのハイブリッドカーでした。

しかし、台湾の運転は良くも悪くもエキサイティング。煽られているのかなと思うくらい、車間距離も1mくらいで結構な速度で走ります。Yさんも車に乗っている時は結構飛ばすし信号が黄色でも止まらないので僕が怖がっていると、なんでも台湾では黄色で止まったら追突されてしまうとのこと。Yさんは台湾で自動車免許をとったそうですが、ノロノロ走っていたらものすごい罵声を指導教官に浴びせられたとか。
まぁ、でも慣れとはすごいもので九份に着く頃には台湾の荒い運転にも慣れて、Yさんと政治や経済の話、台湾での生活などの雑談で盛り上がっていました。
ちなみにYさんの専攻は国際政治学で、ゲーム会社やIT企業への就職も考えたけど、各国を飛び回れる仕事をしたいと外資系の金融会社を選んだとのこと。彼ならどこに行っても重宝されるでしょう。
そして45分ほどで九份に到着。千と千尋の舞台のモデルになったという所ですが、Yさんはすでに10回くらい案内したことがあるらしく、撮影スポットやおすすめの道順などを教えてくれました。1時間ほどの滞在で満喫できました。
Yさんは優秀なツアーガイドでもありました。もうなんか凄すぎて怖いよ。

観光に来ていた日本人のグループに写真を撮っていただきました。

Yさんの言葉通り20時前にパーティ会場に到着して、時間外なのにパーティでも通訳をしてくれました(後日その分の謝礼も差し上げました)
おかげで開発者の方々とも交流ができて、楽しい夜を過ごせました。
彼がいなかったらどうなっていたことか。今思うとゾッとします。

思ったより長くなってしまったので、後半に続く。

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