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老いた妹から電話があった
やっぱり入院していた。先月ベッドから落ちて骨折したばかりなのに、今度は胃腸障害だった。熱も出た。40度以上あった。やばいと思って救急電話した。・・・独居老人なのだ。
結局一週間以上の入院になった。精密検査をしてやっと帰宅が許された。ヘルパーさんが迎えに来た。玄関で、猫は迎えに来なかった。探したらベッドで冷たくなっていた。
ヘルパーさんに頼んであったから、餌と水はいっぱい残っていた。
孤独感から死んだのだろう。おなじ老類である。
犬だって猫だって一人は寂しい。帰るまで生きてほしかった。でもしかたない。餌は食っている。水も飲んでいる。ベッドも毛布を何重にもしてあるから温かいはずだ。無いのは飼い主の息遣いだけである。
捨てられたと勘違いしたのか。骨折入院の時は有料の一時犬猫預かり所に預かってもらった。でもその猫は妹似で、誇り高く、おまけに自分を人間だと勘違いしているから、他所猫の猫臭が嫌いだったのである。
人間を好きになりすぎた不幸である。
そんなこともあって今回は自宅に置いた。餌と水はヘルパーさんに頼んだ。便所もきれいにしてある。でも孤独には耐えられなかった。待ちきれなかった。お先に失礼したのである。
妹は何時間も泣いた。死んだ猫を抱いて、もう骨折した左腕が痛くなって耐えられなくなって、やっと私を思い出して電話よこした。こんばんは抱いてね寝るといった。100歳で死んだお婆ちゃんの時もそうした。
へいきよ。
そうか。23歳で死んだ「10円恋」のトモの彼女も、同じようなこといっていたな。清瀬の療養所で、一晩中トモの死骸を抱いて朝をまった。怖くはないよ。むしろ、朝になって火葬場に持って行かれるのが辛かった。
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生きるとは死ぬことである。死ぬために生きている。計画では95歳まで生きる。理由は母親が100歳まで生きたから。男のおれは女性に敬意を表して…
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老類学こと始め
老人は人類に入るか。 厚労省はぎりぎりと考えている。財務省は入る訳ないだろ、予算の肥大に繋がると考えている。 首相は寿司を食うだけ。余…
満85歳。台湾生まれ台湾育ち。さいごの軍国少年世代。戦後引き揚げの日本国籍者です。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び頑張った。その日本も世界の底辺になりつつある。まだ墜ちるだろう。再再興のヒントは?老人の知恵と警告と提言を・・・どぞ。