【ナイトメア・アリー] とことん深い人間の業
ナイトメア・アリー
監督/ギレルモ・デル・トロ
原作/ウィリアム・リンゼイ・グレシャム
150分
感想
雨が降っているか、雪が降っているか、もしくは夜、ずっと不穏な世界。徹底して昼間の太陽も、すがすがしい青空もなかった。酔っ払っていたり、怪我をしていたりと、どこかしらに不具合のある人達が登場して、汚れているところはとことん貧しく、豪華なところは本当にゴージャス。すべてに不穏が増して、ざわつき続けます。
誰かをだますウソをついたり、お金を騙しとったりするのは良くない。というシンプルな話はグリム童話のよう。前作シェイプ・オブ・ウォーターもおとぎ話みたいだった、と思い出していたら、今作は原作あり、2度目の映画化のようでした。まったく知りませんでしたが、坊ちゃんや走れメロスのように国によっては有名な話なんでしょうか。
読心術の秘訣を教えるピートとジーナがとても魅力的な良い人で、人相は怖いけど、怪力男も小男も本当に優しい。何より正直な人達。
超絶美女リリスと、悲しい境遇の愛らしいモリー、2人とも身勝手な男の言いなりにならず、最後のたくましい決断もかっこいい。
前作の純愛ファンタジーの記憶と、クラシックな衣装にサスペンス・ホラーという分類から勝手にナイル殺人事件的なモノを想像して行ったので、最後はとてもとても戦慄でした。シェイプ・オブ・ウォーターも、金の亡者の指が腐っていくのに恐怖したのを思い出します。
欲深くならないように生きていきたい。人間の業は深いし、恐ろしい。
ファッショナブルなリリスとモリーをもっと楽しみたいので、先延ばしにしていた【キャロル】みよう。
あらすじ
田舎から出てきた訳あり青年スタンは、見世物小屋がある移動カーニバルに雇われる。そこでいかさまの占いショーをしているジーナとピートに気に入られ読心術を学んだスタンは、ショービジネス界での成功を夢見て、カーニバルで生まれ育ったモリーと共に一攫千金を狙う。
第94回アカデミー作品賞を含む4部門ノミネート作品
2022.4