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噂のイヤイヤ期、頼りになるのは…
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子がまだ赤ちゃんの頃に恐れていた、イヤイヤ期がやってきているなっと言う感じがしている。少し前から、怒った際に黙って立ち尽くすことから始まり、最近は「しない」、「イヤ」、「non」、「ちがう」等を連発していて、とにかく私の言うことは気に食わないし不正解らしい。しかし、いつも子の満足いくようにこちらが動くのは単純に無理である。普通に疲れるし、物理的にできない時だってある。自分の方向性的にもダメなものはダメだし、「あなたに毎度合わせません」というスタンスでいるのだけれど、毎日のようにイライラするし、かといってイライラする自分にも悲しくなったり、あぁバランスが難しい……
彼女にとって、私の提案の正解率は1割ないし高くて2割くらいだろう。私なりに優しく明るい口調で「散歩いこっか〜」とか「チーズ食べる?」とか聞いても、とりあえずの反射的に「non」と言う。会社や取引先の気難しい上司とか堅物のオッサンと接しているような心持ちである。
ある時、おもちゃ箱の中身全部が床にぶっ散らかっていたので、「そのおもちゃを、お片付けしようか」と提案すると、「しない。」と静かにキッパリと断られた。「じゃあマモが片付けるから手伝ってくれない?」にも真っ直ぐした目で「しない。」と言う。どんなに「あなたが頼りなんだ」とか、「やってほしいな〜」と甘えてみたりしても全然ダメ。
ところが、ぬいぐるみを使うと事態は一転する。このところは彼女の大好きなコキンちゃんによくお手伝いをお願いする。
私 「コキンちゃん、お片付け手伝ってくれる?」
コキン(私) 「うん!いいよ!」
と言った具合で、会話を進め、コキンちゃんの腕をトングのように使っておもちゃを一つ一つ箱の中に入れると、子の目は輝き初め「ノミちゃんも!」と一緒に片付け始めるのだ。声色は別に変えないが、コキンちゃんを操って「えぇ、ノミちゃん一緒にお片付け手伝ってくれるの?」などと誘うと、「うん…照」ととても嬉しそうな顔で返事をし、せっせと片付けを始めてくれるのだ。
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一体何がちがうんだ… と思うんだけど、同じ声で私が操作しているのは明らかなのに、彼女としてはコキンちゃんが彼女に話しかけているように見えてるのかな?
こないだもジャケットを着たくないというので「じゃあコキンちゃんが着る?」とコキンちゃんに羽織らせると、「ノミちゃんも!」とジャケットを着てくれたのだった。とにかくコキンちゃんや他のぬいぐるみたちがいなかったら、日々が成り立たないなぁとしみじみ思う。
そんなみんなには、子が寝静まった夜にはしみじみと礼を言い、たまに洗って労っている。
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みんないつもありがとう…