見出し画像

(会期終了)ブスイ・アジョウ 個展「Mother / Amamata」@"後ろの正面"@nca 日動コンテンポラリーアート 他

いつの間にかふた月経ちそうなのでそろそろ書く
東京現代とかまとめてたせいで遅くなったとか言いたいが、そっちもとっくに終わってたやつなのであんま言い訳にはならない

あと道中のトラブルで偶然見ることになった宇都宮琴音氏の個展についても末尾に番外としてまとめた



会場はガチの老舗!(・・・が、現代美術用に派生したやつ)

例によってそのパターンだが、母体の日動画廊はマジで古い
どんくらい古いかっていうと、美術手帖の創刊第1号表紙裏に広告出してるくらいは古い
(国会図書館で読んだんでガチ

美手帖の創刊は1948年1月
昭和世代にとっては常識だが、まだ敗戦から3年しか経ってない

しかも美術雑誌が美手帖しかなかったわけじゃない
「アトリエ」、「みづゑ」、「三彩」などがすでにあり、さらにほぼ同時期に「美の國」、「創美」が創刊される
(「みづゑ」があまりにもガチすぎ素人には意味不明ってのがが美手帖創刊のきっかけらしい

・・・あれ、ほんまに戦争負けたん?
(画壇ノーダメージだったみたいなこと読んだ記憶ある

場所はギロッポン

駅近! これなら迷わんだろ!(断言)
(まあ、実際行くぶんには迷わん

よっしゃ、ついたで!

いかにもギャラリーっぽい入口!
表札にも「nca」ってあるから正解やろ!

で、どっから入るん??

つーわけで、場所は間違いなくここなんだけど
なんか地図と地形がかみあってないのは、気のせいすかね・・・

どうすればいいん?
  1. 正面の階段はあっているが・・・

  2. その先にあるはずの02、01へのアクセス方法が不明
    →自分の目的地は02

なんかイヤな予感だが、とりあえず気にせず階段のぼってドア入ってみると

確かにそこはギャラリーだったがncaじゃなくてクマ財団

「クマ財団」ってとこが運営してるギャラリーだった
もらったパンフによると、コロプラの社長が金出しとるらしい
えらい!

金かき集めてるだけの会社と違って社会貢献してるのは素晴らしい!
正直、活動のレベルはわからんけど、やんねえより100倍ましなので素直にほめたい

※ちな財団の作家の展示してたので、それについても↓にまとめた

振り出しにもどる で、どっから入るん

このあと、以下の仮説を立てて行動した

①地下にビル入口あんじゃね?
 →確かに階下があった
  が、そこは美容院っぽい場所でガラス張りの店内からの視線をあびつつ素通りした

②横とか?
 →ねーんだな、これが

と、そこに同じく途方にくれる社会人が!!

完全に俺とおんなじムーブしてうろうろしてる社会人が登場
(広告代理店風ニキだった
しかも、携帯で誰かと連絡とってるっぽかったので聞いてみると・・・

わて「もしかしてこのビル入ります?」

アニキ「ええ、なんだけど入口わかんなくて

わて「っすよね!! 頭おかしくないすかこの建物!」(言い過ぎ)

アニキ「なので今、会社の人に迎えに来てもらいました

さす社会人、有能!!

めっちゃ助かる!!!

それから30秒後にはワイシャツ姿の人が小走りにきて、ついでに俺もついていったわけだが・・・

到着&ネタバラシ

ワイシャツの人についていくと、無事にncaを発見
(アニキはその人と一緒にビルの中に入ってった

あるやん
ちゃんと看板出してくれてるだけ助かる(くそ小っさいけど・・・)

で、わけわからんかった事情はこういうことだった
そら入れんわ

無茶苦茶地図拡大すれば書いてあった

いや、でもな
だったら「裏手に回ってください」とか「入口側反対です」とか書いてといてくれや!!!

入口ない方にあの地図出されても混乱するだけやで!
(実際2人迷ってたわけだし・・・

冷静になってみれば「01」「02」のテナントには「逆側からアプローチしないといけない」ようにみえるが、なんか建物内からアクセスできそうにも思えるのでこっちに罪はないと信じたい

ようやく個展の話

ギャラリー名物、ガラスの下隅に一番みえにくい文字色で書かれたギャラリー名
どこまでシャイなのか

作家については以下

タイ最北の地、チェンライ出身のブスイ・アジョウ(b.1986)が描くペインティングは、少数民族のアカ族である彼女のバックグラウンドや日常生活に密接につながっています。

15歳でドローイングを描き始め、さらに精神性など不可視なものも絵画に表そうと発展させてきました。ミャンマーの遠く離れた山岳地帯で生まれたブスイは、すぐに軍事侵攻によって家族や仲間とともにやむなくその土地から追われます。ブスイの芸術的実践はユニークな教育と家庭環境から得ており、また表現のなかに口承文学を引用しています。近年は木彫制作も積極的に行っています。インスタレーションとともに視覚的言語を用い、アカ族の文化や民族の歴史、伝説、風習を表します。

https://www.nca-g.com/artist/busui_ajaw/

以前書いた東京現代と会期が近いこともあり、そっちの会場で見た作品もおいてあったりした
とりあえずざっと展示風景

展示風景とか 天井の鏡面のおかげで広く感じるがけっこうせまい
We get what we choose | 2023 | 100 x 100 cm | acrylic on canvas
なんかしらんが、くそかっこいい
On the day when father is away | 2023 | 100 x 100 cm | acrylic on canvas
Amamata the first Mom | 2023 | 200 x 200 cm | acrylic on canvas
Modern mother | 2019 | 80 x 60 cm | acrylic on canvas
右上 Dear child | 2023 | 100 x 120 cm | acrylic on canvas
中下 Crying | 2022 | 80 x 60 cm | acrylic on canvas
左下 Mermaid | 2023 | 100 x 100 cm | acrylic on canvas (これ東京現代で見た気がする)

みてわかる通り、すさまじい何かを感じる
気がくるってる感じではなく、つもりつもった怨念というか、何かしらのプレッシャーが伝わってくる作風

個人的には「Dear child」が好きっすね! 表情がいい!
ムンクのあれは叫べたけど、これは叫ぶこともできないんじゃねえかと思う

女性へのプレッシャーとか、育児ストレスとか、母になることへのあれこれ、とかで読んでしまうところだが、この作家の背景はより複雑で、だから作品的にも深みが出てるんじゃないかと思った

ブスイ・アジョウは鮮やかな色とドラマティックな筆致で知られる画家。彼女の作品には暴力的や心理的な要素があり、これらは彼女のアカ族という民族の背景から来ている。アカ族は東南アジアと中国南西部の高原地帯に住んでおり、異なる国家との関係や信仰、文化の中での生活が彼女の作品のテーマの一部となっている。アジョウはミャンマー生まれで、政情不安からタイに移住。彼女は伝統的なアカ族の文化や信仰、神話を視覚的に描写し、特に「アママタ」という母神を中心に作品を制作している。彼女の作品は、アカ族の経験や彼女自身の生い立ち、そして現代社会の抑圧や差別に対する批判を含んでいる。

ステートメントのGPT4による要約
  • 他民族との摩擦民族の宗教や伝統の希薄化 → アイデンティティ喪失と差別

  • 半遊牧の生活からの都市生活化 → 現代社会の問題

っていう二重構造があり、この複雑な状況で生きる女性の視点を、(失われた母神である)アママタの神話を借りて表現しているって感じだろう

なので、民族・伝統的な抑圧というでかいものの中に、さらにその中で抑圧を感じている女性としての個人があり、それらをまとめて神話のモチーフで貫通してる、ともいえるだろう(同じことじゃねえか・・・)

なので、もちろん社会的な女性としてのテーマも含まれてるんだろうが、それのもっとでかい上部構造まで射程に入れてるところが、この人の作品のいいとこだろうという気がする

そういう気持ちというか、あれな状況を「感覚的に」伝えることができるのが絵のいいとこ
すくなくとも自分はアカ族についての活字を出されても読む気力がおきなかったと思うが、絵を見たあとはステートメント全文を真剣に読んだ

こういうのが美術の役割なんじゃないですか!!!と声を大にしていいたい
ナイスな展示だった

ステートメント全文

画像ocrでチラシからひろったステートメント全文も最後に転載しとく

Busui Ajaw / ブスイ・アジョウ個展
Mother/ Amamata

■展覧会概要
場所: nca | nichido contemporary art
会期:2023年6月16日 (金) - 7月29日 (土)
*営業時間: 火-土 11:00-19:00 (日・月・祝日休廊)

nca | nichido contemporary art は、 ブスイ・アジョウ (1986年生まれ、チェンライ在住)による、「Mother / Amamata」を開催いたします。
nca で初の個展となる本展では大作含む未発表最新作のペインティングを発表いたします。

母:アママタ

ブスイ・アジョウの作品は、鮮やかな色使いと、 筆致が生み出すドラマティックな質感を用いる表情豊かなスタイルの絵画で知られている。 作品は暴力的で心理的な面がある、 と時に言われるが、それらの説明が、 彼女の生い立ちに由来するユニークな側面をないがしろにしているようで、私には不満に思う。 それは上から高く、遠くから深く、 異なる視点から私たちを照らしているのだ。 アジョウは、 もとは東南アジアと中国南西部の高原地帯の小さな村に住んでいた民族、 アカ族に属している。 半遊牧民のような生活をしていた彼らは、平地からやってきたハン ( 漢民族)、タイ(タイ族)、バマー (ビルマ族) などの政府権力に抵抗し、逃れてきた人々であり、 程度の差はあるものの、 この地域の5つの異なる国家に同化して生活している。 アカ族はアニミズムと祖先崇拝を組み合わせた信仰体系が元であるが、現在ではキリスト教や仏教に改宗している者も少なくない。

アジョウはミャンマーで生まれた。 一家は政情不安から逃れるため、彼女が幼い頃にタイのチェンライへ移り住んだ。 アジョウは美術学校には通
っていないものの、職人家系に生まれ、 工芸家である彼女の父親は、 語りや木彫りの制作を通して彼らアカ族に関する知識を伝えている。 アジョウは15歳の時、父の跡を継がず、画家を目指した。 20世紀にキリスト教の宣教師がやってきて、ラテン語をアカ族に持ち込む以前、彼らには文字がなかった。 そのため彼らの知識は、口承と象徴主義を通して伝えられた。 その後、 アカ族が高地のあらゆる地に散らばったため、彼らの知識は統一性に欠ける結果となる。 そのような背景を持つ意味で、 アジョウの作品はアカ族の経験を視覚的な表現という形式で収集し、描写する最も実質的な試みであろう。

「Mother / Amamata」 は、 アジョウの日本での初個展である。 nca | nichido contemporary art では、彼女の制作の中心であったテーマを再考している。 それは彼女がアカ族の女性としてのレンズを通して、自身の物語を表現したシンガポール・ビエンナーレ 2019 での初の国際的なプレゼンテーションの続きである。 シンガポールでは、アカ族の英雄の叙事詩を伝える大型ペインティングのシリーズを発表した。 アジョウは裸の女性を赤色で描いた作品で物語を始めた。 女性はアカ族の象徴である頭飾りと、 髑髏を身に着けている。 これは人間と幽霊の両方を産んだすべての母、「アママタ」を描写したものだ。 彼女はアカ族、そして人間と幽霊どちらをも導くために神々から授けられたタイタンである。 残念ながら、 彼女がこの世を去ったことで、人間界と霊界の間に隔たりができてしまった。 神話に詳しい方なら察しがつくかもしれない。 幽霊を出し抜いたのは人間で、人類は長きにわたり呪われる結果になったのだ。とはいうものの、 アママタの物語は伝統的なアカ族の文化において、女性や母親が重要な役割を担っていることを示すものである。

本展では、アジョウが母親としての経験から、アママタという像を再考している。本展で展示される絵画は、彼女が第一子を育てながら描かれたもので、彼女が経験した現実についての熟慮から生まれたものだ。アジョウ自身の独特の立場から伝統を語るだけではなく、現代の家父長制社会が山間部にまで及んでいる一方で、アカ族が苦しんでいるという抑圧を明確に示している。これらの作品は遠く離れた高地からきたものであると同時に、低地からきたもの、すなわち、タイ社会の一般よりも下部からきたものである。アジョウは絵の中に幽霊をも呼び戻している。 「アママタ時代に、人間と幽霊が一緒に暮らしていたのには理由がある。 人間の心は揺れやすく、私たちは自身の特性を否定しがちである。こうして私たち人間は、闇の中に自分自身の対を創り出す。 幽霊の中に自身の弱さを見ることで、差別と搾取の無限ループを引き起こしているのだ。」とアジョウは言う。彼女は対象をオブラートに包むことなく描こうとし、影に隠れていた人々、つまり不安定な状況にある女性たちに焦点を当てている。彼女たちは無国籍でホームレスかもしれない。 娼婦かもしれないし、 シングルマザーかもしれない。 あるいはその全てかもしれない。アジョウは私たちが長い間忘れていた原初の世界観を生み出すよう、アママタに戻ろうとしている。 最も必要とする人々に光を投げかけられるように。こうして、 私たちは幽霊と向き合うことで、 差別と搾取の輪は断ち切られるのだ。

by Vipash Purichanont / ヴィパッシュ・プリチャノン
キュレーター

本展ステートメント
現場でもらった紙からOCR

(番外)宇都宮琴音 個展「MY JOURNEY」@クマ財団ギャラリー

金とるケースもあるが、ふつう無料だろう・・・という気持ち

最初に入ったギャラリーでやっていた展示も写真をとっていた
なんでこっちも感想書いときます!

作家については以下
(いずれも情報は画像ocrのため、もし間違ってたらごめん

宇都宮琴音 / Kotone Utsunomiya
[ プロフィール ]
1995年 東京都生まれ
2018年 多摩美術大学 テキスタイルデザイン学科 卒業
2021年 プラハ工芸美術大学 イラストレーション学科 卒業
現在 東京を拠点にイラストレーター、絵本作家として活動中
[ キャリア ]
2018年 Svenskt Tenn (スウェーデン ストックホルム)
パターンデザイン "The Story of Flowers"
2019年 株式会社 イッセイミヤケ me ISSEY MIYAKE (東京都)
イラストレーション提供
2020年 Miroslav Sa?ek Foundation (チェコターボル)
絵本コンペ審査員
2022年 米沢絨毯有限会社 (山形県)
イラストレーション提供
[受賞歴]
2022年
Book Vision (チェコ プラハ)
絵本『とこしえの物語』受賞
2022年 The Most Beautiful Czech Books Of The Year 2021 チェコ プラハ)
絵本『とこしえの物語』 学生部門ノミネート
2022年 ボローニャ国際絵本原画展 (イタリアボローニャ)
The Children Spectator 2022- 選出

現場に貼ってあったものより

ばりばりプロとして仕事してるように見えるが、財団にサポートしてもらえるん??とか思ってたらこういうことだった

公益財団法人クマ財団は「クリエイター奨学金」の卒業生を対象とした「活動支援」制度を通じて、中長期的な支援を提供しています。この度、活動支援生らによるシリーズ企画「KUMA selection」のプログラムとして、絵本作家・宇都宮琴音による個展『MY JOURNEY』を7月27日(木)〜7月31日(月)の5日間にわたり、クマ財団ギャラリー(六本木)にて開催します。本展では、絵本作品のみならず、ドローイングやシルクスクリーンなどの平面作品やラグやトートバックなどプロダクトも展示予定です。

公式より

支援もらえるのは25歳までっぽく、なので今回はこの「卒業生を対象とした「活動支援」制度を通じて、中長期的な支援」ってことらしい

理解したが、めっちゃいい場所にあるギャラリーつかわせてもらえるのはすごいな、おい

ちなみこの箱、さっきのncaより展示スペースは広かったと思う

▼ステートメント

ocrしたけど、これは画像の方が作家の意図が伝わると思うので画像で

しょうじきよくわからん

▼展示風景

プライスリストが別にあるんではなく、直にキャプションに値段が書いてあるデパート美術部形式だった
ちな中堅とは言わないが、新人作家よりは高めの値付け
(いちおうプライマリーってことになるんだろうが、画商ってわけでもないと思うので、だれがどう値付けするんだろう・・・

ホワイトキューブ! でかい!

ちなみに↑のモニターは別に制作風景とかじゃなく、ヘルシンキかどっかの観光案内的なのが流れていた

▼おもったこと

・絵本作家っぽい作風だった
・デザインとして見るのが正しそう
・テーマは自分にはよくわからんかった・・・

作家在廊していたので話を聞けばよかったんだけど、正直それどころじゃなかったので入口で挨拶しかしてない・・・

とりあえず以上!!!


いいなと思ったら応援しよう!