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【読書メモ】いのちの初夜(北条民雄)

お疲れ様!
今日は100分de名著で2月に紹介されていた「いのち初夜」について。
これは北条民夫と言う、ハンセン病の患者の方が書いた作品。ハンセン病の療養所にはじめて入った日の夜について書かれた作品。
主人公は、ハンセン病の病院に入って、重病患者を見たり、療養所内のあれこれを知って、自殺を試みるんだけど失敗。同室の片目の視力をしなった男性に、ハンセン病の病院で生きるための姿勢について学んでいく、そんな作品です。
たった50ページの作品なんだけど、「生きる」ということについてとっても考えさせられる作品です。

屈服して新しい勝負を始めよ


一番印象的だったシーンは、
その方片目を失明している男性が、ハンセン病の病院で生きていくことをためらう主人公に
らい病になりきれ」と言う場面。(らい病は、ハンセン病のことね)
「らい病に屈して、新しい勝負をしなさい」と伝える場面がとても印象に残った。
ハンセン病の病院に来たばかりの主人公は、まだ自分の宿命(ハンセン病であり、いずれは死んでしまうこと)を受け入れられていない。自殺したり、他のハンセン病患者を哀れに思ったり、まだまだ自分が病気だと言うことを受け入れられていない。
でも、この先生きていくためには、自分に与えられた現実をまず受け止めること、屈服することが大切というのは、すごくグッときた。

どこか、自分が今置かれている状況から逃げたくなったり、現実を直視したくない時ってあるよね。でもまずはその状況に屈すること、宿命や人生を受け入れること、そこから始まる新しい勝負ってある。

北条民雄の場合は、それが小説を書くことだった。いつ失明するかわからない、いつ死んでしまうかわからない中でも物語を描き続けた。そして、それが川端康成の目に留まって、こうして後世に受け継がれる小説として残った。

私の宿命ってなんだろう。むちの宿命ってなんだろう。
まず誰にでも共通するのは、いずれ死んでしまうということ。その宿命を受け入れて、どんな勝負を自分がしていくのか、考えていきたいね。

では!

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