偉人の言葉を刻む~勝海舟 「方針は不要」~
はじめに
「うちのチームは○○の方針でいきます」「我が社のビジョンとミッションに従って…」
最近このようなフレーズを耳にする機会が増えていませんか?
しかし、その方針、本当に意味があるのでしょうか?
偉人の言葉
<勝海舟>
人はよく方針々々といふが、方針を定めてどうするのだ
この言葉は、「世の中の出来事は予測できないので、状況に応じて判断するしかない」という意味です。
方針を立てることが重視され、まさに手段の目的化や形式主義への問題提起が含まれています。
時代背景
勝海舟が生きたのは、幕末という激動の時代でした。外国や朝廷派、幕府派など様々な勢力が各々の目的や野心を実現させるため、日々事件が勃発し、誰も明日がよめない状況でした。
そんななかで、勝海舟は柔軟な判断によって「江戸無血開城」を成し遂げます。元々幕臣(幕府側)であった彼は、最後にはその幕府を説得する役目を果たしたのです。
そしてこの言葉は当時の武士たちの固執しがちな硬直的な思考に警鐘を鳴らし、状況に応じた判断を求めたのです。
現代に通ずる価値
現代の我々は深い形式主義に陥っているように感じます。
中期計画書を作ることが目的化し、そしてそれも社会の変化で実現が困難になっていることや、マニュアル主義による現場の硬直化がその例です。
これは個人にも当てはまります。
当初立てていた計画が崩れた途端、何もかもがダメになったかのように振る舞う「もうどうにでもなれ病」がこれにあたります。
またコミュニケーション術を学ぶと称して、本や動画で知識として学び、「○○の場合は△△の質問をする」というテンプレ(形式)を使って会話することもそうです。
(何あれ僕がこの状況に陥っていました)
まとめ
方針は道具であって目的ではありません。
常に目的を据えて、その目的の達成のために状況に応じてとる行動を都度判断することが、この変化の激しい世の中で求められている姿勢です。
「方針」「ベストプラクティス」「テンプレ」といった形式に囚われず、自ら考え自らの行動を答えにする気持ちを忘れないことが重要なのです。
自らが形式主義に陥っているのを感じたら、勝海舟の言葉を思い出すようにしたいと思います。
偉人紹介-Chat GPT-
勝海舟(1823-1899)
幕末から明治にかけて活躍した勝海舟は、単なる武人ではなく、教育者、思想家、そして先見性に優れた改革者でした。
江戸の町医者の子として生まれた彼は、幕臣でありながら、既存の価値観に縛られない柔軟な思考の持ち主でした。「氷解塾」を開き、身分を問わず人材を育成。後の西郷隆盛や坂本龍馬など、立場の異なる人々との対話を重ねました。
特筆すべきは、彼の先見性です。日本で最初の海軍を創設し、咸臨丸でアメリカへ渡航。世界の潮流を肌で感じ、日本の近代化の必要性を説きました。「このままでは日本は世界から取り残される」という危機感から、積極的な海外視察と知識の吸収を推進しました。
最大の功績は、江戸無血開城の実現です。武力による対決ではなく、対話による解決を選択。徳川慶喜に「大きな目的のためには、個人の面子にこだわるべきではない」と進言し、多くの人命を救いました。
維新後も「氷川清話」を著すなど、その洞察力と先見性は、現代にも大きな示唆を与えています。彼の「実学」重視の姿勢は、理論と実践のバランスを説く現代のビジネス教育にも通じるものがあります。