大切な本㊾「やさしい猫」
追いかけたい女性作家②中島京子さん
ご両親ともにフランス文学者で大学教授、お姉さまはフランス在住のエッセイスト。知性にも品性にも恵まれた直木賞作家さんだけれど、その作品はどれもユーモアがあって全くとっつきづらいところがない。そして外れなく、短編も長編も、どの作品も本当に面白い!!
「妻が椎茸だったころ」「ハブテトル ハブテトラン」とか、どんな内容なんだろう??って想像力をかきたてるタイトルづけも楽しい。
特に最近の作品には社会問題を見つめる視点がさりげなく含まれている。ウィシュマ・サンダマリさん事件をきっかけに、入管問題について考えていた頃に読んだ「やさしい猫」は、あたたかさが全編にわたって流れてたから、重いテーマなのに読んでいてもしんどくなかった。読んですぐ甥っ子姪っ子に渡したっけ。
私なんかが薦めるまでもなくどの作品も広く読まれているけれど、アメリカで日本語教師として過ごした日々を綴ったエッセイは本当に面白いから、小説以上に読まれてほしい。フィクションだけでなくエッセイももっと読みたい作家さんの一人です。