むちむち

本好きな在日コリアン/ソーシャルワーカー https://www.instagram.com/muchimuchi0418/ https://muchimuchi0418.theletter.jp/

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最近の記事

大切な本69「余命一年、男をかう」

地元名古屋でまた会いたい♡ 幼い時から今に至るまで、本はとにかくずっと身近なものだったけれど、最近はついつい実務的なノンフィクションものを手に取ることが多い。 東京の図書館で働いていた頃が一番、物語・小説世界にどっぷり浸れていたように思う。 一般的に大学を出て働き始める年齢の時期。今思うと、脳も柔らかく吸収力抜群で、社会人として仕事に留まらないスキルアップや経験を積む時期…今後のキャリアデザインを描きながら色々学べる頃合いでもあり、そして存分に遊び人生を満喫できる時期で

    • 大切な本68「言えないことをしたのは誰?」

      性暴力は社会問題 教師による生徒への性暴力を描いたさいきまこさんの漫画。7月に単行本化されて、♯『言え誰』を私たちの学校にプロジェクトも始まっている。 生活ニュースコモンズのインタビューでさいきさんはこう話されてた。 「一方で、被害者は自分が受けた被害を自覚するまでに、長い時間がかかります。名古屋のピアサポートグループで数人から話を聞きましたが、一番若かった人でも20代後半でした。実際に被害にあってから十数年経って、やっと言える人が多いんです。これが、事件の発覚の遅れに大

      • 大切な本67「菜食主義者」

        祝!ノーベル文学賞受賞 メンタルヘルスデーの10/10に嬉しいニュースが飛び込んできた!もともと海外の文学賞を多く受賞されているハン・ガン氏の実力による受賞であることは当然のこととして、女性の書き手が韓国の文壇を盛り上げている昨今の風潮が受賞を後押ししたに違いないと勝手に感じている。 ハン・ガン氏の著作、最初に読んだのは「新しい韓国文学シリーズ」第1作の「菜食主義者」。日に日に痩せゆく妻を見守るしかない夫… 静かな筆致の中にどこか怖さも感じる彼女の独特な世界観に惹きつけ

        • オンライン読書会のご案内

          社会福祉士を目指す仲間うちで始めたオンライン読書会も6回目。 今回は私が偏愛する医学書院 ケアをひらくのシリーズから「その後の不自由」をとりあげます。 この本に出会ったのは出版当時だと思うので既に十数年経つと思います。 上岡陽江さん・大嶋栄子さんのその後のご活躍は言わずもがなですが、「生きるための犯罪(みち)」ほかお2人の他のご著書や寄稿文を読んだり、シリーズケアをひらくのその他の作品に触れたり、そして今や自分自身も「精神保健福祉士」を名乗る身に。 (実践やスキルが伴

          大切な本66「ショートケーキは背中から」

          美味しいもの界隈 以前「「596.04」分類の本」でとりあげたフードエッセイストの平野紗季子さん。 美味しいものばかりが詰め込まれた初の著書「生まれた時からアルデンテ」、彼女のセンスや感性の高さに一気に惹きつけられた。待望の新刊も期待以上の充実度!東京界隈や地方など、物理的に行けそうにないお店も多いけれど、ネットで取り寄せられそうなスイーツなどは早速チェックしてみよう。贅沢なグルメガイドとしても使えるけど、ただ読むだけでも楽しく美味しい一冊。 同世代の小説家・千早茜さんも

          大切な本66「ショートケーキは背中から」

          大切な本65「小泉今日子書評集」

          忖度なしの生き方、在り方 本が好きだという人がいるとついついおすすめ本を聞いてしまう。自分と同じ作家さん好きだったり、好みが似ているとそれだけでもう仲良くしてください!って言いたくなる。 知らない作家さんの本や、知ってはいたけど読むきっかけを逸していた作品、気にも留めていなかった新しいジャンルのものを勧められることで新たな出会いや気づきがたくさんあるから、人を介しての本との出会いは面白い。おすすめしてもらったら少なくとも一度は手に取るようにしているものの、どうしても読む気

          大切な本65「小泉今日子書評集」

          大切な本64「韓国文学の中心にあるもの」

          文学を通して文化を伝えあう  一躍ベストセラーとなり日本でも注目された「82年生まれ、キム・ジヨン」。映画はコン・ユによる夫役が「きれい」に描かれすぎてて原作の毒が抜けきってる感があったけれど、それでも興味深く観た。  私が学生時代の頃は朝鮮(韓国)の文化は日本にほとんど紹介されておらず、映画もせいぜい「風の丘を越えて」を観る機会があったくらいだった。99年の「シュリ」を機に韓国の映画界は目覚ましい発展を遂げ、今では国をあげての一大産業に。韓国映画についてはまたどこかでじ

          大切な本64「韓国文学の中心にあるもの」

          大切な本63「科学のトリセツ」

          苦手な「カガク」が面白い! 福岡ハカセの本を探しているときに同じ404の棚で出会った元村有希子さんの本。テレビを観ない(去年遂に捨てた💦)から、報道番組のコメンテーターなどを務められていることも知らなかった。 理系への苦手意識が強くて、4類の棚はいつも49以降の医学くらいしか足をとめていなかったけれど、福岡さんと元村さんのおかげで図書館に行っては4の棚にも立ち止まるようになった。 週刊誌の連載コラムをまとめた著作は、どの章も日々起こる事件や社会問題と科学を絡めて書かれて

          大切な本63「科学のトリセツ」

          大切な本62「迷走生活の方法」

          ハカセの頭の中を覗く 生物、、高校では苦手な科目のひとつだった…東大出で卓球部の顧問をされていた生物の先生、とても可愛がってくれたのだけど、授業中あてられても答えられないととっても悲しそうな顔をされるから申し訳ない気持ちでいっぱいになったものだった。いつもとても楽しそうに講義をされていたから、興味のあることを学ぶ楽しさは十分伝わってきた。 福岡伸一さんのエッセイほか書かれる文章はどれも知的好奇心に満ち溢れていて、読んでいるだけで賢くなった気分になれるすぐれもの。 難しい事

          大切な本62「迷走生活の方法」

          大切な本61「カメラを持て、町へ出よう「観察映画」論」

          世界の見方の指標にしてます 「観察映画」と称し、多くのドキュメンタリー映画を撮られている想田和弘さん。映画「精神」「精神0」では、精神疾患を持つ当事者・精神医療の現場だけでなく、山本昌知さんという素晴らしい精神科医のありようをカメラで捉えている。特段大きな事件も起こらない、静かな内容だけれど、いずれも胸に深く大きく刻まれる作品だ。 他の映像作品も毎回とりあげるテーマも興味深く面白いのだけれど、私は想田監督の綴る文章がとても好きだ。思考回路や頭の中が整理されているのだろうな

          大切な本61「カメラを持て、町へ出よう「観察映画」論」

          I♡アジュマブックス

          お気に入りの出版レーベル 「シスターフッド」の出版社と謳っているアジュマブックスは、実業家で作家でもある北原みのりさんがたちあげたレーベル。親しみを込めて「おばさん」を呼ぶときの韓国語である「アジュ(ン)マ」、私は方言の「アジメ」を使うけれど、どこかあたたかくて好きな言葉だ。立派に?「おばさん」の仲間入りを果たした自分、シスターフッドの強さ頼もしさを実感する日々。 韓国のエッセイやノンフィクションものも多く出版されていて、その中でも「ハヨンガ」は今を生きるフェミニストとし

          I♡アジュマブックス

          大切な本60「n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録」

          #MeTooを加速させよ ハリウッドでのワインスタイン事件から火が付いた#MeToo運動、日本でもフラワーデモという形で広がりを見せ、今でも全国で継続されている。私の住む地域でも毎月11日あたりに若い運営メンバーが主体となって開催してくれていて、声をあげること・続けていくことの大切さをひしひしと感じる。お互いの名前も所属も知らない、月に一度顔を合わせるだけの関係性でも、何にも代えがたい心強さを感じられる共同体。 ジャニーズ問題の国内の報道には問題がありすぎて、口をつぐんだ

          大切な本60「n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録」

          お気に入りのポッドキャスト「ラジオクライニ」  

          政治のハードルを“ラジオくらいに”下げたい! 車を持っていないから出かけるときは基本公共交通機関を乗り継ぐ。電車やバスの中では本を読めるけれど結構歩く時間も多くて、そのあいだは専ら色んなポッドキャストを聞いている。自分はSpotifyを利用していて、ダウンロードしておけるから外出中いつでもどこでも聴けてとても便利。 スウィングの木ノ戸さんがやられていることで知った「ラジオクライニ」。最近は木ノ戸さんは参加されていないけれど、他のメンバーの皆さんもとっても素敵! とりあ

          お気に入りのポッドキャスト「ラジオクライニ」  

          大切な本59「カメラを止めて書きます」

          朝鮮、韓国、コリア 日本の学校には法律により養護教諭、スクールカウンセラーなどの専門家が配置されているけれど、朝鮮学校は「各種学校」という位置付けのために保健室という部屋すらないところもあるそうだ。常勤の養護教諭を配置するなど、朝鮮学校(ウリハッキョ)の学校保健の改革に向けた取組みが今広がりつつある。 朝鮮学校で長く務められた後相談支援専門員として障害福祉分野にもかかわってこられた大先輩が、私の両親が通っていた愛知朝鮮中高級学校にも保健体制の整備を!と手弁当で活動されてい

          大切な本59「カメラを止めて書きます」

          大切な本58「やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記) 」

          日記で読む海外の日々 アイオワ大学に世界の書き手が集まり約10週間を過ごす、IWP(インターナショナル・ライティング・プログラム)に参加された滝口悠生さんの日記。自分はただの一人の読みびとでしかないけれど、なんて素敵すぎるプログラム…と、現地の様子に思いを巡らせながら楽しく読んだ。 IWP…どこかでも聞いたことのあるプログラム?と思ったら、柴崎友香さんも滝口さんの2年前に参加されてて、彼女は「公園へ行かないか? 火曜日に」という連作小説集のかたちで記録されている。日記形式

          大切な本58「やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記) 」

          大切な本57「ペルーからきた私の娘」

          宝物のような聞き書き・掌編 海外の小説をむ貪り読んでた20代はじめごろ、村上春樹さんや小川洋子さんらの影響で手に取ったリチャード・ブローティガン「西瓜糖の日々」。正直内容はあまり覚えていないけれど、「ウォーターメロン=西瓜糖」ってことばがとても魅力的で、内容よりもタイトルが印象に残っている。その翻訳をされたのが藤本和子さん。 斎藤真理子さんのおすすめで「イリノイ遠景近景」を読んだことをきっかけに、藤本和子さんが翻訳だけでなくたくさんの聞き書きやエッセイを書かれていることを

          大切な本57「ペルーからきた私の娘」