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大切な本㊵「自転しながら公転する」

もっともっと読みたかった

3年前急逝の報を知ったときは信じられない気持ちだった。ジュニア小説時代の作品は読んでいないのだけど、高校生の頃に彼女の作品に出会い「パイナップルの彼方」「ブルーもしくはブルー」あたりからの作品はたぶんすべて読んでいる。
純粋に面白いし、非凡でないすぐ隣にいそうな女性像を描く才能が抜群に優れた作家さんだったと思う。もう新作を読めないのが本当に悲しい。

うつ病に苦しんだ時期、離婚や再婚を経ての生活、突然のがん宣告…ご自身のことも赤裸々に綴られていて、深刻な内容にもどこかあっけらかんと達観した視点もあって。特段自分と共通点があるわけではないのに勝手に身近なお姉さまのような親しみを覚えていた山本文緒さん。

映像化された作品がさほど多くないせいか(私が知らないだけかもだが)、あっという間に亡くなってしまったせいか、彼女の功績がその死後あまり語り継がれていないように感じる。一ファンとしてもっともっと今の若い世代にも読まれてほしいと思うし、小説新潮(2021年12月号)に掲載された角田光代さんらの追悼エッセイに改めて目を通してみたい。


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