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精神障がい者雇用のメリットとデメリット
精神障がい者雇用のメリット
社会とのつながりと自立する喜び
無職の期間がうれしいと感じるのはほんの数カ月でした。
私が働く中で最も実感するのは、仕事を通じて社会とのつながりを得られ、経済的な自立ができることです。仕事をするという行為そのものが、自分が社会の一員として役に立っている、自分の存在が価値あるものであると感じさせてくれます。
精神障がいを抱えていると、それだけ孤立感や疎外感を感じることも多く、社会から隔離されている感覚に陥ることもあります。
職場という場は人との交流や、自分の努力が形になる達成感を得る貴重な場となります。仕事を終えた後に「今日も働いた」と思える瞬間は、自信や自尊心を育むきっかけになります。
支援者がいる安心感
障がい者雇用には支援者が職場に関与できる環境があるため、なにかあったときあったときに助けを求められる安心感が非常に大きくなります。
たとえば、仕事をしている中で直面する問題や困難を自分ひとりで解決しようとすると、精神的な負担が増してしまうことがあります。しかし、支援者が間に入ることで問題の整理ができたり、解決に向けた具体的な助言を得られたりすることで、不安が和らぐことが多いです。
支援者とのやり取りを通じて、「自分はひとりではない」という感覚を得ることが、働く意欲の維持にもつながります。また、支援者がいることで、職場でのトラブルが未然に防がれることもあり、精神的な安心感が大きく向上します。このような安心感は、長期的に働き続ける力になります。
また、症状が再発したり悪化するまえに客観的にアドバイスや対処いただけるのもメリットだと感じます。
オープンにすることのメリット
精神障がいをオープンにして働くことには、特有のメリットもあります。
職場で自分の状態について理解を得ることで、適切な配慮を受けられるようになる場合があります。
例えば、調子が悪いときには無理をせず休むことができる、業務の内容やペースを調整してもらえるといった形で、働きやすさが向上します。
このような配慮があることで、精神的な負担が軽減され、安心して働き続けることができるようになります。さらに、障がいをオープンにすることで同僚や上司からの共感や支援を得やすくなることもあります。
これにより職場内での孤立感が減少し、より良い人間関係を築ける可能性も広がります。
精神障がい者雇用のデメリット
しかしながら、いいことばかりでもないようにも感じています。
賃金と経済的不安
精神障がい者として働く中での課題も多く存在します。そのひとつが、賃金の問題です。
精神障がい者の雇用では、一般的な雇用形態に比べて賃金が低く設定されることが少なくありません。
また、契約社員のような期限付きの雇用形態も比較的多いように感じます。
これには、障がい者年金の受給を前提とすることや、合理的配慮、業務量業務内容などの考え方が影響している場合がありますが、実際には年金を受け取れない人も多くいます。
そのため、仕事をしても生活費を十分に賄えない。余裕のある生活ができないという現実に直面することがあります。
この問題は、当事者にとって経済的な不安や将来への不透明感を生む大きな要因となります。特に、自立を目指している人にとっては、この経済的不安が大きなハードルとなり、努力を重ねてもその成果が生活に直結しにくいというジレンマを抱えることがあります。
適切な業務量の見極め
また職場での業務量の適切な調整が難しいという課題もあります。
与えられる仕事が多すぎると、精神的なプレッシャーが増大し、体調を崩す原因になることがあります。一方で、仕事が少なすぎる場合には、「自分は役に立っていないのではないか」「いらないのではないか」という自己否定感を抱いてしまうこともあります。
適切な業務量を見極めることは簡単ではなく、そのバランスを取れない場合、働き続けること自体が困難になることもあります。これに加え、業務内容が自分のスキルや体調に合わない場合、さらなるストレスが生じることもあります。そのため、業務内容や量についての継続的な見直しが必要不可欠です。
周囲の理解不足による壁
周囲の理解が不足している場合には、さらに大きな壁に直面します。
障がいをオープンにせずに働く、いわゆるクローズの状態では、同僚や上司からの配慮を得ることが難しくなり、無理を重ねた結果、心身の健康を損なうリスクが高まります。
一方で、障がいをオープンにした場合でも、「不公平だ」や「仕事をしない」「わがままだ」という誤解を受けることがあります。
このような状況が続くと、精神的な負担が増し、働く意欲を維持することが難しくなります。また、職場での孤立感やストレスが蓄積されることで、職場を離れる選択を迫られることもあります。このような経験を繰り返すことは、将来の働き方に対する不安をさらに深める原因ともなります。
グレーゾーンの苦しみ
障がいが軽度である、いわゆるグレーゾーンに該当する人々にとっては、支援を受けることが特に難しいと感じます。
配慮が必要かと言われればあった方が働きやすくなる。でも、なくても頑張れば人並みに働けると感じている。
障がい者としてのサポートを受けられないまま、無理をして働き続けることは、最終的には心身の健康を損なう結果を招きます。
このような状況では、自分の状態をどう説明すれば良いのか分からず、相談もしにくく理解も得にくいと感じます。それがさらなる混乱やストレスを引き起こす要因となります。
働きやすい環境を目指して
こうした課題に向き合う中で、精神障がい者が働きやすい環境を整えるための工夫が重要です。
たとえば、柔軟な環境づくりは大きな助けになります。業務内容や勤務時間の調整を柔軟に行うことで、無理なく働ける状況を作り出すことができます。
また、職場内で相談しやすい雰囲気を作ることも大切です。信頼できる同僚や上司に相談できる環境があれば、問題が深刻化する前に対処することが可能です。これにより、精神的な安定を保ちながら働くことができるようになります。
さらに、自分がどのような配慮を必要としているのかを明確にすることも重要です。
自分に何ができて、何ができないのか。できないことを免除してもらえるのか、工夫をすれば行えるのか。
具体的な要望を伝えることで、雇用主や同僚との意思疎通がスムーズになり、結果として働きやすい環境が整いやすくなります。
また、支援機関や専門家との連携を積極的に活用することも、解決策を見つける上で非常に効果的です。専門的な知識を持つ人々の助けを借りることで、働き続けるためのヒントや具体的な工夫を見つけることができます。これらの取り組みを通じて、自分自身の可能性をより広げることができるのではないでしょうか。
少し言葉は悪いですが、福祉は自分から助けを求めないと動いてはくれません。支援が必要であれば自分から頼りに行く勇気が必要だと思います。
希望を持ちながら前進する
精神障がい者として働くことは、決して簡単な道ではありませんが、それによって得られるものも少なくありません。
一歩ずつ、自分に合った働き方を模索しながら前進していくことで、少しずつ社会とのつながりを築き上げることができるはずです。そのプロセスは、決して無駄ではなく、大きな希望をもたらしてくれるものなのです。そして、その希望を胸に抱きながら、より良い未来を目指していくことが、精神障がい者としての人生を豊かにする鍵となるのではないでしょうか。
あなたには何が必要ですか。お金ですか。働きやすさですか。人とのつながりですか。人によってポイントは違います。すべてを望み通りに手に入れることは難しいとは思います。
どこかで折り合いを見つけ、妥協することも時には必要なのかもしれません。
最後に
私は精神障がい者として手帳を受けています。病名は正直これだと確定するのが難しいと医者はいいます。双極性の傾向があったり、発達障害傾向もあったり色々混ざった感じだそうです。
私はいままで障がい者雇用の面接をうけたことはありますが、障がい者雇用で働いたことはありません。
私のなかで賃金が低いというのがどうしてもネックでした。障がい者年金もない状態で最低賃金に近い額で働くことに不安を感じていました。
また、一般雇用の派遣で働くことができていたこともあります。でも、それは正直「頑張れば」一般雇用で働くことができる。というレベルであったことに気づきました。
きっと無理をしていたんでしょうね。けれど、その無理は働く人皆感じるものだから我慢しないとと思っていたところが大きいです。
世渡り上手に生きれない自分に問題があるのだと責めていたところもあったように思います。
転職を繰り返してもう40代になってしまって思うことは、お金は欲しいけれどストレスなく日々を過ごしていきたい。そのためには配慮をしてもらう必要がある。そう感じています。
精神障害の雇用は、身体障害に比べて採用が難しいように個人的には感じています。特にグレーゾーンにいる人たちは、なぜこの人が障がい者雇用にきているのか?という疑問を説明する必要がでてきます。
どう伝えてどう理解してもらうか。理解してもらえないこともありますが、それでも次の職探しでは障がい者雇用にチャレンジしてみようかと思っています。