もうすぐ38歳、2児とともに人生初スケート
娘の8歳の誕生日に、こどもの国に行くことになった。
行くことになったというか、ここ数年のお決まりの行事になっている。
広い芝生とか、大型遊具とか、牧場とか、動物園とか、乗り物とか…
広大な敷地に子どもの喜ぶあれやこれやが散りばめられている。
ここに、毎年娘の誕生日周辺の週末に遊びに行っている。
出発前日に、ホームページを開いたら見つけてしまった。
「ねぇねぇ、スケートができるんだって」
こどもの国の中央にはプールがあって、夏はたいそう賑わうらしい。夏に行ったことはないけど。そのプールが冬季はアイススケートリンクとして営業してると知って提案すると、
息子も娘も「え!やる!」と乗り気になった。
実は私もアイススケートの経験がない。
全員初挑戦。まぁ、でもどうにかなるだろう。
当日は防寒対策もばっちりに、入場券と貸靴券を購入。
一緒に行った私の父(子どもたちから見てじいちゃん)は、カメラマンとしてリンク外から見守ることとなった。
スケート靴を履き、その場で歩くだけでも結構大変で。
娘は身のこなしも軽くバレエを習っているバランス感覚のおかげが、わりと苦労なく歩いているように見えたけど、私と息子は苦戦した。
いざ、リンクへ
リンクはかなり賑わっていた。
老若男女揃ってとはこのこと、という感じで、性別男女問わずファミリーからカップルからソロスケーターから…とにかくみんなそれなりにスイスイ〜と滑ったり歩いたりしていた。
よし、我々もリンクに入るぞーと、一番近い入り口の壁に手をかけて
氷に降りたった瞬間
「あ、これ無理だわ」
全くコントロールが効かない。でも、リンクは一方通行。戻れない。
これはどうにもならないけどどうにかしなきゃいけないやつ。
無理、と思うと同時くらいに
大好きな浅田真央ちゃんへのリスペクトが100倍くらいになった。
この氷の上で廻って跳ぶってどういうこと、っていうか地上でもできない。
一番に降りたったはいいものの、後ろを振り向くこともできず、子どもたちがどういう状態なのか確認できたのは、3メートルくらい進んでからだった(体感数分後)
娘も息子も、壁にへばりついていた。
へばりつきながらよく分からないけど少しずつ進んでいる。
3人が3人とも顔面硬直で壁を掴み、必死だった。
2人とも「母さん!母さん!!」と助けを求めている。
そうか、こんな場面でも子どもは大人が助けてくれるに違いないと信じてやまない生き物なのだ。でも、申し訳ないけど、今の母さんはあなたたちと同レベルで手を差し伸べるどころか、振り向くこともままならない。必死なのである。
ブレードの角度を変えたり
足首の角度を変えたり
体重の乗せ方を変えたり
試行錯誤しながら氷の上でなんとか立位を保持する術を研究した。
これこそ「学び」だと思った。
40歳手前に、初めての経験。
なんだか新鮮な喜びである。
それをきっと、後ろで子どもたちもやっているに違いない。
これがもし私が経験者だったら、
子の手をとり、「足を曲げて〜」「目線前にして〜」などとアドバイスをしながら
一緒に滑ったのかもしれない。
大人が指導する立場となり
子どもがそれに従って動く
なんの違和感もない図式である。
日常の中でその図式が当たり前に繰り返されている。
だから大人は子どもに指示するし
子どもは大人の指示を待つ。
しかし、今、氷の上で私たち3人は同レベルである。
私は何も指導できないし、
子ども達もそれを悟ったようだった。
それぞれが試行錯誤する他ない。
これこそ主体的な学びである、というか切羽詰まった状態で動くほかないのだ。
ちなみにあとでじいちゃんの撮影した動画を見ると、遠くにいる私たちがちっとも近づいてこなかった。静止画でいいんじゃない、というレベル。
一番はじめに壁から手を離せたのは私だった。
これまで生きてきた経験の中で培った感覚が役立った瞬間だった。
しかし、足首から膝、腿の裏まで変に力が入って体勢が辛い。
氷に立てるようになった母を見て、
娘が意を決して壁から離れた…そして、私の手を掴んだ。
ピンチである。
お互いがお互いに支えられてるんだか引きずられてるんだか分からない状態で、一緒に転んだ。転倒のダメージは、大人は大きいが子どもは小さい。
娘はそこからコロコロと転びまくりながら、気づいたら私より上手くなっていた。
息子も一人で苦戦していたが何度も転倒しながらも
「もう1周いっていい?」
と尋ねてきた。
そう、私は体の痛みに耐えかねて、もうリンクの外に退散したのである。
私がギブアップした後、子どもたちは2週半滑って帰ってきた。
そして「楽しかった〜」と言っている。
完敗だ。
私は翌日以降の筋肉痛に怯えているし、すでに足が痛い。
子どもたちに普段偉そうにあーだこーだと物申しているが、
ただ30年くらい長く生きてるだけ
38年分の経験値があるだけで
実際は子どもに敵わないことがいくらでもあるんだと、でも「一緒にやる」機会じゃなければ気づけなかっただろうなと
そんなことを考えた、アイススケートデビューでした。
来月また行こうと言われているけど、あまり気が進んでいない。