インド-野良茶葉

友人から貰った、いろいろと不明なお茶。「インド人から貰ったたぶん紅茶」と言われて渡された。この茶葉鑑定を頼まれた。

いや、鑑定って。そこまで出来上がった舌は持ってないぞ、というかポンコツですよ。前にお茶ジェダイ達に紛れてテイスティングしたときに、かなり気圧されたもん。そんな味しねぇ! って。でも面白そうだから受けてみた。

茶葉の時点で。茶葉はしっかり捻られてる感じ。というか固そう。あと茶葉がかなり大きくて黒い…。香りは…煙い…ホコリっぽい香りがする。茶葉のサイズがダストとかではないから、普段使いの茶葉ではないのかも…??

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それにしても、お隣さんが作ったんだよっていう雰囲気がする。そしてこのホコリっぽい香り…。屋根裏部屋に入れていたのを忘れていたような匂いがする…。とりあえず、野良茶葉と名付けてみた。
飲んで大丈夫なのかな、これ。正直言って、飲む前からあんまり美味しそうではない雰囲気を感じてしまっている。

2g / 150ml 100度 蒸らし3〜5分
蒸らし3分、4分、5分で3煎淹れてみた。3分でも渋すぎて凶器的な味がする。舌が痛い。そして煙い。甘みはない…。とにかく渋い。強いて言えば、ダージリンの1stっぽい気がするけど、もはやよく分からない。3分でもこれなのに、5分は言わずもがな。

もう鑑定とか、どこの茶葉かとか、そんな話どころではない。なんということか、お茶が暴れている、舌が死ぬ! 飲み終わった後、半日経っても舌が痺れてる。どうしよう、これは100歩譲っても飲みきれない。でもたくさん貰ってしまった!!

とりあえず友人に報告。なんでこんなもん渡してきたんだ、とは言わなかった。ストレートでは飲めないという結論に至る。そこで牛乳で煮出す案が出てくる。ネパールではミルクのみで煮出すとのこと。なるほど、それなら強すぎる茶葉も大人しくなってくれそう。しかしながら、舌もメンタルも大きなダメージを食らったので、しばらくはリベンジは無理。

約1週間後、リベンジ。茶葉を150mlに茶葉1gにして、半量の水で煮だした後に牛乳で淹れてみた。完全に怯えています。煮出しすぎるのが怖いので、牛乳を入れたら温める程度で引き揚げる。恐る恐る飲む。

あれ、美味しい。華やかな香りとかはないけど、スモーキーさと香ばしさがほどよくミルクに馴染んで落ち着く美味しさになった。ミルクのおかげか、渋みも感じない。うん、全然飲める。貰った茶葉も飲み切れそうだよ。ちょっとココアみたいな雰囲気。淹れ方でこんなにも落ち着いてくれるものなんだなぁ。お茶って面白いね。 

で、これを書いている間、すこし思い出した事がある。記憶は曖昧だが書いてみる。
茶葉の歴史を遡ると、薬の神さまである神農皇帝にたどり着く。現在は神さまと言われているが実在していたらしく、この人、ちょっと変わった趣味を持っていた。ふらりと野山をさまよって、手当たり次第にそこら辺の草木をむしっては食べたり煎じて飲んでいたりしたらしい。もちろん毒のある植物もあるから、しょっちゅう気分を悪くしたり下痢をしたりもしていたらしいが、その妙な行動のせいで薬やお茶を発見し、今や神さまと言われるまでになったとか。うん、たぶんかなり記憶が脚色されているような気がするけど、面白い神さまである。

それで今回の野良茶葉。植物の強さと野生の凶暴さを思い知ったわけで、神農皇帝もこんな感じだったのかなぁ、よくやるなぁ。さすが神さまと言われるだけあるよ。まぁ、この茶葉、二度とストレートでは飲まないけどね!

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