さよならパイパイ
息子がパイパイを卒業した。
1歳7ヶ月になった日。平均で見れば、遅い方かもしれない。
4月から保育園の入園が決定した。と同時に、断乳がわたしに課されるミッションとなった。
1歳を過ぎてから、もうごはんはモリモリ食べてるし、いつやめてもいいような状況ではあったけど、とにかく寝かしつけにおける万能さからパイのカードを手放せずにいた。
息子も、パイパイがだいすきだった。まだ喋れないから、寝室にある授乳クッションを引きずってきて、パイくれアピールをしていた。それが可愛かった。
3月に入ったその日に断乳しようと決めて、最後の授乳までの期間をそれはそれは大切に過ごした。パイパイもうすぐバイバイだよ、と毎回言って聞かせた。パイを飲む息子の表情を見逃すまいと凝視して、記念写真も撮った。
最後の授乳は3月1日のお風呂上がりに。心ゆくまで飲ませてあげようと、息子が口を離すまで見届けようと思った。けど、何かを察してかいつまでもいつまでも離さず、結局は耐えきれずこちらから離してしまった。執念を感じた。
入院中の病室で上手く飲ますことができずに2人で泣いたこと。
ゲップが上手くできなくてよく吐き戻していたこと。
初めのうちは補助具がないと上手く飲めなかったこと。
小さい頃はよく飲んでる最中にパイを見失って、ひー!ひー!と泣いていてそれがとても可愛かったこと。
前屈みの姿勢が辛くて肩も腰もガチガチになったこと。
飲みながらバタバタと動く小さな足。
飲みながら眠った息子をそっとベッドに置く時の緊張感。
出先の授乳室では何か落ち着かなくて短めに切り上げてしまってたこと。
乳腺炎になってきつかったこと。
がちがちになったとき、飲んでもらうとすっきりしたこと。
飲む時に添えられるかわいい手。
飲みながらもなんか退屈そうな顔。
パイパイする?と聞いた時の嬉しそうな顔。
何度も何度も繰り返した夜中の授乳。
1年半で培ってきた、私と息子のチームワーク。
大変なこともあったけど、とても幸せな授乳生活だったな。
断乳して最初の夜は少し泣いて、夜中に再入眠の仕方がわからないのか1時間半ほど起きてしまったりしたけど、翌日からは大泣きすることはなかった。
まだ喋れないから催促の仕方がわからず諦めているのか、あまり苦労することはなかった。
わたしのおっぱいも、断乳から24時間後にはガチガチになってかなり痛くなったものの、一晩寝るとかなり落ち着いて1週間後にはほぼ張りも痛みもなくなった。
本当に終わった。終わってしまった。
もちろん、息子との日々はこれからもずーっと続いていくわけだけど、一区切りがついたような、そんな感じ。
今までは授乳があったから、息子には私がいなくちゃダメなんだ!と思っていたけど、それがなくなった今、私がいなくても大丈夫なんだ、となんだか少し寂しい気持ちになった。
だからこそ、もっと息子と向き合って触れ合って、愛情を伝えていかなくちゃと思う毎日です。
とはいえ、妊娠以降約2年半「私以外のための身体」だったのが、「私の身体は完全に私のもの」状態になったのは、これはもう最高に自由というか、とても荷が軽くなった。
ずっと飲めなかったお酒が飲めるようになったし、大好きなコーヒーも罪悪感なくガブガブ飲めるようになった(今までも罪悪感を感じながらもガブガブ飲んではいたけど)。もう本当に嬉しい。おかえり、私の身体。
1年半、たくさんパイパイ飲んで、大きくなってくれてありがとう。本当にかけがえのない幸せな毎日だった。
こんなにも尽くしたこと、息子の記憶には何にも残らないだろうけど、私の中では幸せな記憶として残り続ける。だからいいのだ。
少しお兄さんになった息子。これからもどうか健やかに。
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