私には嫌いな言葉が幾つか存在する。 その数あるひとつに 人それぞれが横たわっている。こいつはかなり厄介で、使い方の問題で一気に嫌いになる。つまり、普通にしていたら特に問題は生じない。 むしろ、人間が人間たるオリジナリティを感じられる言葉で好感を持っている。言い換えるなら、十人十色という綺麗な表現になるのもグッとくる。 では、使い方の問題というのは何かと言うと、議論の場でみられることがあることに対して指している。それも、逃避のようなニュアンスでなされる"人それぞれ"にはいつも
ずっと誰かに銃口を突きつけられている気がする。 そういった経験はないにもかかわらず、緊迫した空間にあがるのは銃と引き金に置かれた人差し指だ。 観念して目を瞑る。ここは夢の中なのか、走馬灯なのか、国なのか、獄なのか、おのののか。とにかく私は長いトンネルを走っているようだった。体力には自信があった。なのに、風も坂もない鉄の上を駆けていることで、どうしてか息があがっていた。苦しさのあまり膝をついてしまったが、息切れは治まらなかった。この場所から早く抜け出さなければいけない。直感的に