落ちゲーのレベルデザインを考えてみた
はじめに
落ちゲーのレベルデザイン、といいますか、難易度設計を考えてみました。
実際のレベルデザインにそのまま利用するのとは少し違うと思いますが、参考になると思い、書いてみました。
汎用性を考えて、ゲームとしてはテトリスを題材にしています。
レベルデザインの目的、あるいは、与えたいモノ、奪いたいモノ
アーケードゲームの場合、100円(あるいは50円)を投入して、ゲームオーバーになるまでプレイできます。
これをゲームセンターを経営している側から考えると、お客さんが100円で延々とプレイし続けると、儲かりません。ゲームメーカーもゲームセンターにゲームを買って貰わないと儲かりません。
そうすると、ゲームオーバーになってもらう、というのがレベルデザインの最終目的になります。
ただ、難しければ良いという訳ではありません。プレイヤーが上達し、ある程度は長く遊べるようになる事。でも上限はある。そういうバランスを取る必要があります。
さて、広告収入ベースのゲームではどうなるでしょう?
ある程度プレイしたら、広告が入る。あたりのマネタイズの仕組みもレベルデザインと関連してきますが、話題が広がりすぎるので、ここでは「長く楽しくプレイして貰える」と収益が上がる、という程度に留めます。
ゲームセンターのゲームとは目的が全く異なっている事に気づくと思います。
どのように遊ばせるか、最終目的は何かで、レベルデザインの方向性は大きく変わって来ます。
ここでは、「長く楽しくプレイする」デザインを考えてみたいと思います。
「面白い」を定義する
さて、落ちゲーで面白いとはどういう状態でしょう?
人にもよると思いますが、私の場合、頭が高速回転して、ブロックがどんどん消えていく状態、だと思います。
もちろん、人によって考え方は異なりますが、今回はこの「頭が高速回転してブロックが消えていく状態」が面白い状態と仮定して、この状態を作り出すレベルデザイン、を考えてみます。
頭が高速回転してブロックが消えていく状態は、どういう状況か?
テトリスのブロックが積み上がっていく状態を大まかに3つに分けると、下の3つのエリアに分けられると思います。。
頭が高速回転する状態は危機状態のはずです。また、ブロックをどんどん消すためには、ある程度ブロックが積み上がっている必要があります。
と考えると、「頭が高速回転してブロックが消えていく状態」は、この「お手上げのエリア」と「危機感はあるが、なんとかなるエリア」の境界線あたり、という事になります。
このエリアでブロックが消えていくと、緊張感と達成感がプレイヤーにゲームを解いていく快感をより強く与える事になります。
ここでレベルデザインを考えてみる
この「頭が高速回転してブロックが消えていく状態」のエリアはプレイヤーのゲームの習熟度、疲労度によって変わります。
初めの内は、ゲーム画面の下の方にありますが、習熟していくに連れて上の方になって行きます。
また、緊張感が続く場合などでは、下に下がっていく傾向があります。
この点を考慮すると、大まかには下のようなレベルデザインになります。
・ゲームの初めの方では、習熟度の低いプレイヤーに対応するため、ゆっくりブロックがゆっくり落ちてくる。
・ゲームが進むにつれて、ブロックの落下速度が速くなっていく。
ただ、このデザインは、アーケードゲームに適合するデザインになっています。
アーケードゲームでは、1コインで長時間遊ばれると、利益率が下がりますので、できればプレイヤーにはある程度遊んでもらったら、ゲームオーバーになって貰う必要が出てきます。
このため、先の様なデザインになります。
広告収入の場合のレベルデザインでは?
もし、これが、広告収入を得る場合のデザインだったらどうでしょう?
もちろん、広告がどのタイミングで入るかなどで、変わってきます。ここでは、1ゲームでのプレイ時間が長いと広告回数が増える、という場合として考えてみます。
その場合、できるだけ早く「頭が高速回転してブロックが消えていく状態」に移行する方が、単位時間あたりプレイヤーの得る快感の量は増えます。
では、そのプレイヤーの「頭が高速回転してブロックが消えていく状態」をどう見分けるか。
初回にはチュートリアル的な部分を入れますが、2回目以降はそれを外します。
ブロックの落下速度は、ゲーム画面の下の方では速く、上に成る程ゆっくりにします。
こうすると、プレイヤーの技量と落下速度が早く均衡するので、「頭が高速回転してブロックが消えていく状態」に早く到達します。
この時、落下速度、もしくは、画面で積み上がったブロックの高さ、で得点が変化すると、プレイヤーの技量が得点に反映されます。
また、プレイヤーは疲労します。ブロックは次々と積み上がっていくでしょう。それを検出したら、通常よりも落下速度を遅くします。この数値はほんの数%程度にして、プレイヤーに気付かれないようにします。
ここの調整はデリケートです。レベルデザインする人の力量が問われる所でしょう。
この他にも、幾つかの方策があると思います。
おわりに
とてもざっくりとですが、落ちゲーのレベルデザインについて考察してみました。
例にあげた広告収入は、とてもシンプルなモデルです。実際にはもっと複雑な要因が絡むと思います。
それぞれのマネタイズに合わせたレベルデザインの仕方があると思います。
その参考になれば幸いです。