時刻表に乗る vol.4
東京-大阪各駅停車の旅 No.2
2.東京-三島②
電車の揺れで目を覚ますと、車窓左側には明るい相模湾が広がっている。
●6時32分JR御殿場線との分岐駅である国府津に到着する。6時35分発車の御殿場線経由静岡行の313系電車が2両編成で3番線の長いホームにちょこんと停まっている。あちらの列車は富士の裾野の御殿場を経由し8時2分に沼津到着予定である。こちらの列車よりも30分ほど余計に時間がかかるようだ。
丹那トンネル開通まで御殿場線が東海道本線であった。しかし、御殿場線は勾配がきつく輸送の障害となっていたため、勾配のない丹那ルートの開通が国鉄の悲願でもあった。勾配に備え編成後方に後押し機関車(後方補機)を連結するためすべての列車が停車し、国府津は鉄道の要衝として大いに栄えた。
特急燕号は少しでも国府津の停車時間を短くするために、後方補機の連結を30秒で行ったり、御殿場線の最も急である60‰(パーミル)の勾配を越え、さらに長い勾配を登り、最高地点である御殿場では、走行しながら後方補機の切り離しを実施したりしていたのはもはや伝説である。
国府津では御殿場線に乗り換える登山姿の乗客が数名下車していった。この時期であれば丹那山系への登山であろうか。
●定刻通り6時42分に小田原に到着し、2分ほど停車する。
小田原では横浜を過ぎてからぽつぽつ乗車してきていた乗客のほとんどが下車をしていった。
小田原は豊臣秀吉の小田原攻めで有名な小田原城があるが、背後は箱根山系がそびえ、南側は相模湾が広がっており、複雑な地形に守られ関東の端に位置する小田原は後北条氏5代が関東を100年支配するために拠点としたにふさわしいような地形となっている。
小田原を発車し、相模湾沿いの崖のような地形を橋やトンネルで抜けながら進み、東海道本線屈指の景勝地を眺めながら熱海に到着する。熱海を発車するとすぐに丹那トンネルに入る。
トンネルの工事は難工事であり、多くの犠牲を出しながら15年の年月をかけて昭和9年(1934年)に開通した。
丹那トンネルを初めて通過したのは小学生の頃であったが、この暗闇は一体いつまで続くのだろうと、今でもそれほどの長さを感じることはないほどの時間がかかったように感じたことを記憶している。
●定刻7時21分、次に乗り換え予定である列車の始発駅である三島に到着する。この列車は沼津行きではあるが、今回はここで下車する。
三島は源頼朝旗揚げの地として有名な三島大社の門前町であり、西伊豆方面観光への玄関口でもある。
次の乗り換え電車は7時48分発豊橋行(931M)であるので、しばし駅構内で待つこととする。
コーヒーを飲みたくなったので駅構内でトイレを済ませてから自動販売機で缶コーヒーを購入しホームのベンチに腰を下ろす。
次は一気に静岡県を走破する予定である。
次回へつづく
〔表記の分け方について〕
※太字表記した部分については時刻表や地図帳などの事実に基づいた内容である。
※時刻表の羅列だけでは寂しいのでフィクションで私の行動や周囲の乗客の様子や風景を書き加えた。その部分は細字表記となっている。また、歴史的背景の描写や街の紹介などは事実に基づく内容である。その部分は時刻表には無関係のため、細字表記となっている。
【今回のルート】
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