ファーストラブ49
結婚か、なんとなく声に出して言ってしまったがその実態はどんなものなのかわからない。
契約か?
守らないといけない約束だろうか
それを破ったら、罪に問われるのだろうか
僕の感覚としては結婚を選んだのは愛子を独り占めしたいという気持ちだけだ。簡単に承諾した彼女はいつも見せる笑顔以上の笑顔を僕に見せてくれた。結婚の報酬というのはこういう形のないものだろうか。
長年の付き合いではあったが、愛子の親には会ったことがなかった。
一応、背広なんてものを装備して挨拶に行く。
「あら、君がみつくんね、毎日のように愛子から話を聞いていたわよ。答えはイエス。あなたと話すことはない。あなたの自由にしなさい。それがあなたのお父さんとした約束よ。私はあなたのお父さんが好きだったのだから、子供を産んだ。ただそれだけなの。」
「あ、ありがとうございます。」
「私は一目惚れだったの。だからねあの人以上に好きになる人なんてその後にも先にも現れないと信じているの。」
「ああ、僕は一目惚れかどうかはわかりませんが、愛子さんを好きです。幸せにします。」
幸せにします、か、スラスラと口から出てきた言葉たちはなんの意思もなく配慮も迎合も忖度もなく飛び出した。
よろぴく!