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アンチノミー50

時間は簡単に過ぎる。
それは愛の力か、恋の力か、それとも単なる忘却か。
愛子と出会って、4年か、って考えると長いけど、ついこの間であったかのような、いや、生まれてから今まで一緒に生活していたかのように感じる。

結婚して一緒に生活を始めて、何も違和感なく過ごして、小説とか絵とかを忘れるくらいに生活がスムーズに安定して、続く。

子供が生まれた。

簡単に。
僕からしたら簡単かもしれないけれども、愛子からしたら大変だっただろう。僕の仕事中に妊娠が発覚して、産休ってやつを愛子が取って、実家に愛子が戻って、一人でも生活が始まり、なんだかモゾモゾする気持ちを抱えながら仕事に行く、寝る、仕事に行くという最中、夜中に着信があって、飛び起きて、立ち会い出産みたいな感じの準備をしていたけれども、僕は眠くて待合室で居眠り。居眠りをしている間に生まれた。名前は千尋にした。

子供がいる生活。

おしめを変えてあげる。
お風呂に入れてあげる。
一緒に遊んであげる。
お仕事に行く。
少しは子育ては疲れるけれども、根をあげるほどではなく。
寧ろ仕事に違和感を感じ始める。
子供ができたからなのか、それとも、僕自身の価値観が変わってきたのかわからないけれども、毎日同じことの繰り返しに違和感を感じるって感覚は誰にでも訪れるのではないだろうか。

感情が雨上がりのアスファルトのように段々と乾いていくのを実感し始める。

よろぴく!