マルチピッチデビュー

「山に行くと人生がシンプルに感じる」
マーク・アンドレ・ルクレールというアルピニストが言ったセリフです。

今年の夏は山に登りました。
6月1日にリーダーの山本さんと先輩の橋本さんのおかげでマルチピッチデビューできました!3人でトップロープで6ピッチで比叡山のTAカンテに登りました。

大変勉強になりました。いつもありがとうございます。

忘れられない日になった。山が与えてくれた喜びか、アドレナリンのせいかわからないけど、帰った後に泣くくらい感動した。笑
(やっぱり私は何でも泣くタイプなんだけど、、)

比叡山に登るのは人生が変わるくらいすごい経験でした。

経験者のクライマーとしてエル・キャプに登るのと同じではない。
フリーソロと同じでもない。
だが、私はどこの山でも、どんな難しさでも、全てが知恵を与えてくれると信じてる。

比叡山もそうだった。

2ヶ月経って、日常生活に戻ってきても、心の中で比叡山に登った経験を思い出す。生活の中で恐れることが多くても、登る前に比叡山の下で立ったのを思い出す。

初めて足をあげたり、比叡山の岩を掴まったのも思い出す。
普通の生活で緊張しても、比叡山のことを思い出す。

でも、結局、実際に「自分自身」を思い出す。自分の魂、自分の命。

頭では理解できないくらい山ってすごい力がある。

山に勝てるとは思わない。
山に登れても何かに勝つわけではない。
自分を乗り越えて、人生の喜びと知恵を与えてくれるだけ。
比叡山が教えてくれたのは「幸せに生きるには不安があっても、進むしかない。」っていうことです。
平和と喜びって自動的に来るわけではない。自分で得るものです。幸せに生きるには修行しないといけない。
英語だと幸せに生きるってよくソウルフルライフっていうけど、ソウルフルライフって自分から始まるものだ。

いつも完璧なわけではないけど、私はこうやって生きていきます。

どんなに絵とか言葉とかでこの日を描写しても、言葉が足りない。比叡山が教えてくれたことを全て伝えたいなら本が書けるかもしれない。笑
結局全ての冒険って無数の始まりがあるから、この日については何回でも書きたい。


比叡山のデビューでした。忘れられない瞬間。

空は夕日で桃色になったようだった。

車が田舎道をグルグル回り、比叡山が現れてきた瞬間にハっとされちゃった。

「明日、あそこに本当に登りに行く?!」って感じ。
でも明日をどうなるか考えるよりも、キャンプ所に着くまでの道のりの景色を楽しみながら、運転する。

山本さんと橋本さんと一緒に美味しいご飯を食べたり、深夜までお話したりした。

そして川の音を聞きながら、眠りに落ちた。

すぐに明日が来る。

ギアとかシューズとかを着用してから、皆と比叡山まで歩く。
アプローチは10、15分ぐらいだったけど、もう疲れてきたなーと思ってた。
やっと最初のビレーステーションに着いた。
二人がビレイの準備をしている間、私は緊張していた。まだ登り始めてないのに、ビビって、「私は何をやってるの?!」って感じになった。
だから呼吸に集中して、落ち着こうとした。

この瞬間に橋本さんに「ローレン、靴の準備して」と言われた。
今から始まる。上まで登るしかない。

橋本さんは「黄色、登りまーーーーす!」って叫んだ。
山は山本さんの声を反響させる。
怖くても、私は登り始める。
山本さんは上から応援してくれる。
「簡単なルートでもいい!ガンバ!落ちても大丈夫!」
やっぱり最後に応援した「落ちても大丈夫」って一番難しい。
後250メートルぐらい。最後まで登るしかない。

比叡山は外国語の歌みたいな感じ。リズムとか分かっても、言葉の意味が全くわからない。
上を見て、ルートを読もうとしても、岩ばっかりで見えない。ルートが全くわからない。
上まで登る時は真っ直ぐなわけでない。
私はボロボロになりながら登ってるけど、学ぶのは楽しい。

左まで登って、「あっ、無理だ!」と思った。だから下に降りてから右までトラバースする。まだルートをちゃんと読めなくても、ムーブを解決するのが楽しい。
山本さんはまた上から応援する。
「簡単なルートでいい!ガンバ!落ちても大丈夫!」
まだ恐怖心があったけど、応援してくれた言葉を信じるしかない。自分を信じるしかない。
やっぱり登る時に信じるしかない時も結構ある。
これが挑戦。山に登るだけじゃなくて恐れが多い私が乗り越えるチャンス。

登りがまだ続く。
山は不動なのに、海みたいにリズムがある。
山には命が溢れている。
それぞれの隙間から出ている雑草。
日常生活をしているハチとか蝶々とか。
掴んでいる岩の近くでも小さい花が咲いてる。
足を入れ替えるために下を見る時は比叡山にお辞儀するみたい。

恐れはまだあっても、やっと登りの流れに慣れてきたような感じがする。
「次の一歩、次のホールド」
どうなるか分からないけど、できるだけ勇気を持って、上まで登る。山は不動で、古くても、この岩が将来落ちる。永遠なわけではない。
この黄色のロープは自分の命。
やっぱり山に行くと人生の価値を考える。日常生活のせいで生きれていることを忘れやすい。どんなに人生をコントロールしても、明日が来るかは誰もわからない。一番大事なのはこの瞬間。山に行くといつも思い出すけど、大事なのは日常生活でもそれを忘れずに生きること。
だから登っている瞬間、恐れがあっても、頑張って強く登る。
白石阿島っていう女性クライマーは「静かで強い気持ち」って言った。
とても暑い日に登っている時、「エアコンを付けたまま布団でゆっくりできればなぁ」と思ったことがあったけど、広がっている景色を見ると全く帰りたくないとも思った。
何よりもモチベーションは挑戦して、自分を乗り越えること。

頂上まで狭い階段みたいな石を乗り越えないといけない。
やっと上まで登った後に、私は景色を見て、感動した。

キラキラした綱の瀬川はダイヤモンドみたいに山の真ん中にある。昨日、あそこにいたけど、今日はここにいるなんて信じられない。

私は腕を広げて、「神様!ありがとう!」って言った。

「後、風、お願いします!」って祈った。(本当に暑かった!笑)

橋本さんと山本さんと一緒に笑いました。

膝が痛いけど、楽しい気持ちで皆と下山する。
森から出たら、比叡山がどんどん遠くなってしまうけど、どんなに遠くなっていっても比叡山が与えてくれた喜びがまだ残ってる。

一日中自然の中で過ごすのは凄い。終わったのに、今、始まったみたいな感じ。

アレックス・オノルドはエル・キャプにフリーソロした後にどんな気持ちになるかわからない。(知りたくないけど!笑)
でも、この伝奇的な行動の後に彼が「エル・キャプの頂上で1時間景色を楽しんだ後、リュックの整理して、下山を始めた。新しい1日が始まる。」と言ったように。

マルチピッチのおかげで人生が変わった。やっぱりクライミング が大好きだなぁ。
この後、好きなプロクライマーをもっと尊敬するようになった。

比叡山、ありがとう。

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