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⑥ 【第6章-転機③ 「大魔王面談・そしてパルプンテ」】夢見る社会人バンドマンが13年勤めた会社を「適応障害」発症で清々しく辞めてやった話

○第6章
転機③「大魔王面談・そしてパルプンテ」

摩耗し、憔悴しきった毎日。
終始周りに気を遣い続けていた。
「あとで何か言われるかもしれない」
たわいもない発言をするのさえ怯えていた。
俺は本当にひどい顔をしていたようだ。



10月末の頃だったか、それは突然行われた。

現れた大魔王。

「なぁ、ちょっといいか?」

ホソガイ、別室へ。

戦いの火蓋が斬って落とされる。

光の玉はない。
ステータス異常デバフ状態
HPも黄色い。
ただボコられるのみ。

「どうした最近ずっと暗い顔して、雰囲気悪いぞ」
「もっと本来の自分を出せよ」
「昔はもっと我武者羅だったそうじゃないか」
「酒を飲んでるときのお前は好きだぞー」
「上、目指したいんじゃないの?」

あぁ…とか、いや…とか、うぅ…しか言えない

大魔王の攻撃は続く。

「お前、もう居づらいんじゃないか?」

「こんなに色々言われてて、もう信用なんてないじゃん」

「ほとぼりが冷めるまで異動しないか?」

いや…それは…

早く終わってくれ───

ホソガイ、耐える。

だが、痛恨の一撃が襲う

「どうしたいの?」


オーバーキル。
俺の心は完全に壊れた。


身体が突然震え出し
涙が止まらなくなり
声が出せなくなった


この頃から「何か質問されても頭が動かずパニックになる」という症状に悩まされているのだが、
その真髄であった。

え?俺がどうしたいかって訊いてるの?

どうしたいって、それは…


「悔しさ」「怒り」「悲しさ」
「本当の自分」「仕事の自分」

目まぐるしく全身を駆け巡っていた。


そして、なんとか絞り出した。

「ごべんなさい、おで、今日もう話せないす」

俺、崩壊。

土俵際のパルプンテ発動。


慌てる大魔王。
地獄の面談はお開き。
紙一重で生還した俺は
やっと気づいた。

うん。

俺、変だわ。

ダメだ。

限界だわ。


このとき初めて、ネットで症状を調べた。

「抑うつ状態による適応障害」

これじゃん

俺悪くないじゃん

「ちくしょう・・・」

反撃の火種が芽吹いたのである。

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