田中一村展に行ってきた
東京都美術館で開催されている田中一村展に行ってきました。
ジムトンプソンの話を母にした時、田中一村に通じるものがあるねと言われたことで興味を持ち、この日を楽しみにしていました🌿
まず、一村の幼少期からの奇才ぶりに驚かされました。
手先の器用さは木彫家である父から受け継いだもので、立体的なものの見方が後の作品にも活かされていると感じました。身内の不幸や転居の多さにも関わらず、表現することを絶やさなかった一村。その創作への情熱が今こうして多くの人々の心に響いていることに感動しました。
一村は自分の描きたいものを描くだけでなく、個人から依頼を受けて雛図や兜図、屏風、天井画などの制作に取り組むことも多かったようです。この展覧会では一村の絵だけでなく、そういう“生業としての画家”の部分も紐解かれていて見応えがありました。
没後にその作品が広く認められ始めた一村は、若い頃から支援者や後援会との関わりも深く、「自身が求めるものと世間が求めるもののバランスをとって作品に仕上げる」という現実を生きたアーティストとしての軌跡を辿ることができました。
お世話になった人に絵を贈るなど、一村の「周囲の期待に応えたい、奉仕したい」という精神が伝わってくる一方で、自らの感情に忠実である姿勢も印象的でした。気に入らない作品を破ったり、入選を辞退したりといったエピソードからは、一村の表現者としての一貫した強さが垣間見えました。
何より、一村の絵そのものが本当に素敵でした。
和漢を交えた田園風景や鳥、花、果物、奄美大島の自然。豊かで美しく、どこか親しみと懐かしさを感じさせる世界から目が離せませんでした。引き寄せられるように近づくと、鋭い線や色使いが示す自然の脅威に緊張感が走り、見ていて全く飽きないんです。
展覧会のポスターにもなっていて、一村が生涯手放さなかったという『アダンと海辺』は、風が葉を揺らす音や湿度に包まれた果実の甘い香りが漂ってくるようでした。金箔(?)を使った空の描写からは神秘的な生命力を感じました。
特に心を奪われた作品名と作品番号📝
芍薬図 047
秋色 074
黄昏 134
枇榔と浜木綿 297
いつか奄美大島の田中一村記念美術館を訪れてみたいです🏝️
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