肩書きはやっぱり大事!~芸人「さん」のプチ違和感~
ちょっと気になっていたことを。
最近、お笑い芸人の方が必ず「芸人さん」と自らの職業に「さん」をつけるようになったのお気づきでしょうか?この変化はここ5年くらいじゃないかな?
元々は自分たちのことを「芸人」って言ってましたからね。
別職種である俳優やモデルが、テレビで共演する芸人を呼ぶ時に敬意を込めて「芸人さん」というのは分かります。でも自分で「さん」を付けるって、ちょっと違和感。芸人さん以外で自らの職業に「さん」を付ける人って見当たらない。お医者さんにしても作家さんにしても弁護士さんにしても、自分では「さん」付けない。
最初は若手が、先輩や大御所の前で恐縮して誤用しているのかなって思ってたんですが、ケンコバさんみたいな中堅かつ破天荒なキャラでも使うし、大御所も使っている。ってか使う人がどんどん増えて、今ではほとんどの芸人さんが使ってる。
結論を言うと「社会的地位向上のためのセルフブランディング」なんじゃないかなって思ってます。これだけ徹底されている点を見ても「会社マター」もしくは「業界マター」の号令が出ているのではないかと。
ちなみに組織ぐるみだとか陰謀だとかステマだとかって批判したいわけじゃないです。むしろ賞賛したいなと。
芸人さんは体を張る仕事も多いし、いじられるようなキャラを演じる場面も多くて、良い意味で言えば親近感があり、悪い意味で言えば軽んじられやすい職業だと思います。一昔前、出川さんや松村さんは外出する度にヤンキーに絡まれるなんて話てましたし、呼称も「出川」「松村」みたいに呼び捨てでしたしね。親しみやすいが故に家族とのプライベートのような場面でも話しかけられたり、スマホで盗撮されたり、twitterで居場所晒されたりなんて話もよく聞きます。
自らを「芸人さん」と呼ぶようになった背景には、社会から下に見られるという位置付けを、社会と同等で、リスペクトされるべき一つの職業であるという位置付けに変えようという意図があるのではないでしょうか。
一部の人には違和感があったでしょうが、それを強行することで、現に最近では、お笑い芸人を「芸人さん」と呼ぶことが一般的になってきたように感じます。「出川さん」のように個人の名称にも敬称をつけるようになりました。
呼称と社会的な認識は相関関係にあって、かつ、社会的な認識と社会の態度も相関関係にある。スチュワーデスからキャビンアテンダントへの変更も、痴呆症から認知症への変更も、社会との関係性を変化させたいという意図の元行われた。「芸人さん」もそれに近い好例だなと思います。(これの逆の使い方としては暴走族を珍走団と呼ぼうみたいな取り組みは個人的にとても好きですw)
最後に余談ですが、コロナ渦でスーパーの店員や宅配事業者を「エッセンシャルワーカー」と呼び始めましたが、これも個人的にはとても良いなと思っています。生活に欠かせない職業であり、社会にとって必要不可欠なとても重要な仕事という認識への変更。この名付けをした人には拍手を送りたいです。