ベーシックインカム時代の子供の動き
「学校が辛い辞めよう!」そう決断した子供数はベーシックインカム制度を導入してから年間10万件前後で推移していた。元々不登校の数は制度導入前から常時20万人前後で推移していた。これまで子供達は親や世間の偏見に支配され、学校を辞める勇気がなかった。カースト底辺に慣れすぎた子供の多くは成人するまでにコミュ障を併発、社会に出でもうだつが上がらず、片隅でひっそりと生きるか、ニートになるか引きこもりになるかばかりだった。
ベーシックインカムの導入をキッカケに、将来の不安が消えると、大量の子共が学校から姿を消した。
政府は対策を講じた。しかし、政府の言いたい事なんて結局「社会に適応しろ」という事で、なんのフォローにもなってなかった。
役に立ったのは企業だった。
ベーシックインカムの件で働かない大人が増え、企業は人材確保に困っていた。しかし学校をドロップアウトしてしまった子供達を人材対象として見るなら大いに活用できると考えた。
社会に出た経験が無いからこそ社会に出たい子供は多かった。また学校を逃げ出した負い目から罪悪感、劣等感も強い。多くの子供が学校に行けている人と比べて何か秀でたものが欲しかった。「他の奴らが大学を卒業するまでには自立して見返したい!」そう考える児童は多かった。企業側は実務経験を学べる施設を作れば勝手に人材が集まってきた。幸いな事に企業の100万社程は小学レベルの学力あれば十分であり受け入れ可能だった。
虐待の相談件数は年間20万件あったのが半減する。オカネを持った子供は簡単に親を捨てられるからだ。嫌だと思ったら友達の家を転々とするだけで生活は成り立つ。子に捨てられた親はそれを世間に隠していてもバレやすくブラックリストに入れられる。一定のプログラムを受けないと、子供に接近することさえ許されない仕組みが作られた。
子供を取り巻く環境がベーシックインカムで大きく変化したが、政府はほんとんど何もしなくても良かった。どれも民間で対応できるからだ。ベーシックインカムで余裕が生まれるというのは、人々が寄付しやすい体制もできあがるという事。時代的なクラウドファンディングな流れもあり、子供達に必要だと思われる保護体制はあっという間に作られた。
人は不安の中では建設的な考え方ができなくなる。
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