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寿命が尽きるその時まで活躍を願いたい

今回も買って良かったのもの(車用バッテリ寿命判定器)と、その特許調査です。

いつまで使えるのか分かりにくい

自動車のバッテリは使用頻度にもよりますが、2年の車検ごとに交換すればバッテリが不意に使用不能になったりということはないかと思います。
ただ、自動車のバッテリって、なかなかお高い買い物です。

もっぱらユーザ車検の私としては、普段からメンテすることもあり、無理に車検のたびにバッテリ交換したくないです。だって、まだまだ使えるんですもの。
ちょうど寿命が尽きる頃に、タイミングよく交換するためにはバッテリの状態(寿命)が分かるのか?というのが、問題になります。

バッテリ自体にも簡単な表示(インジケータ)が出るものもありますが、あまり信用できませんし、寿命とは無関係のようです。バッテリの端子電圧でも全然分かりません。

バッテリにあるインジケータの例

エンジン始動時に一発でかかるかどうかとか、ヘッドライトなどの輝度が落ちたなど、「いつもより弱々しいな」という主観的な判断くらいが個人でできる判断の限界です。

ディーラーなどにある高価なバッテリチェッカーを使えば、状態が分かりますが頻繁にチェックだけをお願いするのも気がひけますね。
とどのつまり、個人では、いつまでちゃんと使えるのかというのが分からないのが実情です。

取付け制限があるが寿命が分かる

パナソニックの指定バッテリで、かつ新品のバッテリを取り付けた時のみとなりますが、バッテリ寿命を判定できるセンサ兼インジケータがあります。LifeWINKという商品ですが、これが今回買って良かったものです。

2年以上使っていますが、今だ良好

それほど新しい製品ではなく、メーカのHPによると2006年ごろ発売の製品のようです。
発売から年月が経っていることもあり、ネットの口コミもそこそこ多くあります。口コミによれば、結構な精度で寿命が分かるポイです。
LifeWINKを取り付けた場合には、バッテリ自体の保証期間も1年延長するというセット販売もあるくらいなので、メーカとしてもそれなりの自信があるのだと思います。

使用してみて

嫁さんが普段乗っている、充電制御ありのデイズルークスに取付けましたが、今のところ全然劣化している感じはなく、まだまだ使えそうです。以前、5つあるLEDのインジケータが、4つ点灯になり、性能劣化を知らせてくれたことはあります。
ただ、すぐに復活したため、新品の時と同じ表示なったままです。

普段の使い勝手は決してイイとはいえません。
LEDのインジケータの点灯具合で判定するのですが、ボンネットを開けないと見れないため普段の運転では状態が分からないのです。
以前は車内で確認できるタイプも販売されていたのですが、現在は製造中止となっており、ボンネットを開けるしか方法はないようです。

前述のとおり、バッテリ自体が高価な昨今、本当に寿命ギリギリまで使えるのであれば、非常にハッピーですが、少なくともチェックした瞬間の状態がはっきり分かるだけでも安心感があってうれしいです。

特許調査

発売時期から推測して、出願日が2007年8月6日の特開2009-40070、特許第5309492号が使われている技術だと思います。パナソニックの出願ですが、事業譲渡されている関係で、現権利者はGSユアサです。

寿命の判断の方法はそれほど難しい考え方ではないです。我々が経験的にエンジンをかける際に「弱々しさを感じる」のと同じ発想です。実際の回路などはハイテクなのに、判定するための要素はローテクな感じなところが面白いですね。

より具体的にはエンジンをかけた際のエンジンがかかるまでの時間と、バッテリ電圧の変化を10回分以上蓄積しておいて、その蓄積データで判定しています。特許請求の範囲の請求項1の後半部分を抜粋して引用しておきます。また、メーカHPの説明も合わせて引用しておきます。

バッテリの状態検出装置であって、前記始動中のバッテリ電圧は、始動中の最低のバッテリ電圧であり、前記エンジンの始動時間の判定方法として、始動開始前のバッテリ電圧に対し約1V以上電圧が低下した瞬間を始動開始と判断し、始動開始前の電圧に対し、高い電圧値を検出した時を始動終了と判定し、前記エンジンの始動時間と始動中のバッテリ電圧との関係からの判定が、判定を行う時点から遡り過去10回以上の最近の始動に関するデータに関して、それらのデータを用い前記エンジンの始動時間を従属変数、バッテリ電圧を説明変数として回帰分析を行い、その回帰式に始動中のバッテリ電圧を当て嵌め求めた算出始動時間に対し、前記エンジンの始動時間の残差を求め、更にこの残差の偏差を算出し、その偏差が予め定めた値以上である確率が、予め定めた率を超えて出現したことを検出する方法である事を特徴とするバッテリの状態検出装置。

特許第5309492号の【請求項1】 の一部抜粋

バッテリー新品時のエンジン始動時の電圧変動を記憶し、エンジン始動のたびに電圧変動を比較する事で、高精度に寿命判定します。このため寿命末期まで安心してバッテリーを使用することが可能です。さらにバッテリーに関する車両の異常や充電不足もLED点灯で知らせてくれます。

パナソニックのHPより抜粋

この特許の内容を読むと、パナソニックの指定バッテリに限定しなくてもいいのでは?と思います。
ただ、エンジン始動時の電圧変動カーブなどがバッテリによって異なるハズです。専用設計になるために、どのバッテリでもよいという訳にはいかないのだと思います。

特許第5309492号の図3より:新品バッテリのエンジン始動時の電圧特性

最後に

車検や整備を業者にお願いしている方にとっては、不要なものだと思います。
私のように、オイル交換、ウォッシャー液補充、車検のための整備といった、それほど頻繁でない整備をするDIYユーザにはいい製品だと思います。

パナソニックのHPにも類似の記載がありますが、やはり寿命ギリギリまで使い切ることが、省エネや廃棄物削減に寄与すると思います。
消費者としても、余分な部品購入も避けられますしね。
SDGs向きのいい製品だと思いますので、各社に広まることを望みます。

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最後までお読みいただきありがとうございます!
特許調査に間違いなどがあれば、ご指摘をいただければ幸いです。

趣味と実益を兼ねようと、家電修理をしています。今はまだ修行ということで、無償で対応します。修理して欲しいものを募集中です。第2回の修理の状況はこちらに。

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