絶対的貧困と相対的貧困とソーシャルワーカー
当記事は「ソーシャルワーカーは“絶対的貧困”と“相対的貧困”を念頭に置いてアプローチしよう」といったテーマで考察します。
みなさんこんにちはKeiです。
救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士7年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。
毎月5,000PV以上のソーシャルワーク関連のブログやX (フォロワー1,500人以上)などを発信しています。
「経済的問題の解決に自信あります!」って言えるソーシャルワーカーってどれくらいいるの?
日本には生活保護や高額療養費制度などフォーマルなサービスで経済的困窮をフォローアップできる仕組みが整っています。
ソーシャルワーカーは、これらの制度や法律などを活用して、クライエントの問題解決にアプローチします。
支援の行き届いていないクライエントと接触した際に、現場のソーシャルワーカーであれば考えたことがあるでしょう。
「どうしてこのような状況(状態、環境)になるまで放置されてたの!?」
多くの原因は「健康」と「お金」です。
貧困に陥ったクライエントの支援を得意とするソーシャルワーカーですが、究極をいえば、貧困に陥る前に要因を叩く(貧困になる手前で問題を解決する)ほうが良いはずです。
しかし、現在にソーシャルワーカーの多くは「貧困になってから」しか基本的に関われません。
理由は簡単で、「貧困になった後の問題解決手段しか知らないから」です。
ソーシャルワーカー自らが「お金を稼ぐことは悪」のレッテルを貼り続けてきた結果、貧困になる手前のクライエントを救える知識を持ち合わせていません。
そもそもソーシャルワーカーのほとんどが組織に雇用されており、一定の賃金が保証されています。
学ぶ必要がないため、当然他人事になります。
クライエントの経済的問題には積極的に介入する一方で「ソーシャルワーカー自身が関わるのお金の問題」に触れるとソーシャルワーカーは「金儲け」「銭ゲバ」などと称して腫れ物扱いされてしまいます。
ソーシャルワーカーだからこそ、貧困に陥る前の段階で食い止めるアプローチ(クライエントにお金の教育)をする必要があります。
事実として「NISAはじめたほうがいいですよ」と提案しているソーシャルワーカーを見たことがありません(既に提案しているソーシャルワーカーさんがいたらすみません)。
※国も金融庁を中心に資産運用を推進しています。
社会制度に精通するはずの社会福祉士が資産運用について「知らない」と言及することは知識不足が否めません。
「投資?貯金が正義でしょ!」「未来じゃなくて今困ってるんだよ!」との声が聞こえてきそうですが、そのように考えたソーシャルワーカーは「貧困になった後に考えればいいでしょ」の思考からくる“水際作戦で乗り切ることが有効”といっているようなものです。
「絶対的貧困」と「相対的貧困」
急性期病院では、急病を引き金としてクライエントの抱えている生活問題や心理社会的問題が顕在化することが少なくありません。
さまざまな問題の中でも、経済的問題がクライエントに与える影響は大きいです。特に、貧困状態にあるクライエントの支援には多くのマンパワーと時間を要します。
少ない年金で1日1日をやっとの思いで食い繋いでいたものの、物価高騰によって生活を賄えなくなった独居高齢者や、失業がきっかけで精神疾患を患ってしまい再就職ができなくなったシングルマザーなど、貧困に陥る要因は多種多様です。
貧困には種類がいくつかあり、代表的なものがブース、ラウントリーの提唱した「絶対的貧困」とタウンゼントが提唱した「相対的貧困」です。
絶対的貧困は日本では起こりにくい
絶対的貧困の例として、フィリピンのマニラに「ハッピーランド」と呼ばれるスラム街があります。
ハッピーランドの人々は毎日金目になるものを求めてゴミ山を探索します。
※タガログ語で「捨てる」の意味が「ハピラン」というらしく、ハピランをモジってハッピーランドと呼ばれているらしいです。
ファストフードの廃棄物から回収された鶏肉を煮沸して、お酢で臭いを飛ばして、新しい食べ物としてリメイク(究極のフードロス削減)されます。
「捨てられた」の残飯をリメイクしてスラム街の道端でお腹をすかせた家族に数ペソで売られているといった状況です。
絶対的貧困は、日本のような先進国では比較的少ないです。
生活に必要な基本的物資やサービス(食料、水、住居など)はほとんどの国民に行き渡っています。
さらに、日本には生活保護制度があるので絶対的貧困には極めて陥りにくい仕組みになっています。
日本が抱えているのは相対的貧困
日本は、相対的貧困率が高い国だと言われており、日本全体の約15%に上ります。
例として、日本の「ひとり親世帯」があげられます。
近年は減少していますが、ひとり親世帯の約50%が貧困です。
ひとり親世帯は、子どもがいる家庭の収入が平均よりも低く、他の子どもたちと同じように塾や習い事に通えない場合があります。
学習機会や経験の差が拡大し、将来の進学や、就職に影響を及ぼす可能性が高まります。
一見、絶対的貧困の方が辛そうだが…
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