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読書三十六計

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有名・無名問わず本や文学にまつわるあれこれ。 強引に五文で仕留めます!
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記事一覧

相川英輔『黄金蝶を追って』

きっかけはタイトルが気に入って手に取っただけなのであったが、読めば驚愕の一冊だった。 こ…

Masanao Kata
1日前
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ジェイムズ・P・ホーガン『時間泥棒』

タイトルだけだとミヒャエル・エンデの『モモ』かと思うが、『星を継ぐもの』からなる巨人たち…

Masanao Kata
3か月前
2

蓮見恭子『神戸北野メディコペンナ』

万年筆の小説というと、万年筆愛好歴30年の私は読まずにはいられない。 「あなたの人生が変わ…

Masanao Kata
3か月前
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安藤祐介『本のエンドロール』

一冊の本が手元に届くまでにどれだけの人の労力が携わっているか。 この本は、印刷会社で働く…

Masanao Kata
6か月前
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戸板康二『等々力座殺人事件』

取り上げるのが二冊目になる戸板康二の中村雅楽シリーズは、河出文庫より先日刊行された短編集…

Masanao Kata
1年前
1

加多 正直 電子詩集三作

私事で恐縮ですが、今年の一月より三ヶ月連続で10篇にも満たない小さな電子詩集を刊行させまし…

Masanao Kata
1年前
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門井慶喜『定価のない本』

世界屈指の古書店街 神田神保町。 戦後間もない時代、この本の街を舞台に一人の古書店主が商売仲間の死を追う探偵譚がこの物語。 作者は、2018年に『銀河鉄道の父』で第158回直木三十五賞を受賞した門井慶喜。 この物語で平和な時代における書物の力が問われるところは、ラーラ・プレスコットの『あの本は読まれているか』(創元推理文庫)にも通じるところがあり、本の街を舞台にしたところで更にそれを引き立たせていた。 実在した文士の姿もいくつか登場する作者の計らいも面白く、タイトルのセンスも

鯨 統一郎『月に吠えろ! ・萩原朔太郎の事件簿・』

先日、宮内悠介さんが明治時代に耽美主義の芸術家が集まった「パンの会」をミステリーに仕上げ…

Masanao Kata
3年前
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吉原幸子『吉原幸子詩集』『続・吉原幸子詩集』

先日、思潮社の現代詩文庫『吉原幸子詩集』『続・吉原幸子詩集』が重版されたということで、御…

Masanao Kata
3年前
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八島 游舷『天駆せよ法勝寺』

つい読み返したくなる短編小説があるものだ。 第9回創元SF短編賞を受賞したこの作品は、この一…

Masanao Kata
3年前
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田村隆一『言葉のない世界』復刊版

オリジナルを以前に取り上げているので、 https://note.com/msnokata2027/n/n89c402a9de43?ma

Masanao Kata
3年前
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関取 花『どすこいな日々』

シンガーソングライターの関取花さんは、ライブのMCにも定評があるし、またラジオパーソナリテ…

Masanao Kata
4年前
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R.D.レイン『好き?好き?大好き?』

イギリスの精神科医R.D.レインが1970年代に書いた詩集は、みすず書房より二冊刊行されていた。…

Masanao Kata
4年前
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生島治郎『浪漫疾風録』

海外の優れたミステリー小説を紹介するEQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)日本版の二代目編集長である作家 生島治郎の自伝小説だ。 EQMM日本版が立ち上がる直前の昭和30年代の早川書房に入社し、編集部長の田村隆一や初代編集長の都筑道夫、その他多くの作家と関わる中で編集者として成長する青年の物語。 登場人物は実在の名前のままとなっているが、自らを客観的に見たい理由から生島だけが名前を変えている。 この作品での大きな存在は、師匠格にあたる後の大詩人 田村隆一で、良く