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【肩のリハビリにおける超重要筋】前鋸筋と肩甲骨の動きの関係について

このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。

MSIについては、こちらをご覧ください。

MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。

はじめに

今回のテーマは、前鋸筋と肩甲骨の動きの関係についてです。

前回の記事では、肩甲骨の症候群についてご紹介しました。

今回は、肩甲骨の動きの中で最も重要であると言っても過言ではない、
”前鋸筋”について肩甲骨の動きという観点からご紹介します。

MSIの創始者シャーリー・サーマン先生も、上肢の講習会では前鋸筋の重要性を繰り返しお話ししていました。

今回のnoteでは、以下の3点がわかる内容になっています。

・肩甲骨の動きについて

・なぜ肩甲骨の動きに前鋸筋が大切なのか?

・前鋸筋のエクササイズ

是非最後までお読みください。

前鋸筋機能の復習

前鋸筋について簡単に振り返っていきます。

wikipediaではこのように説明されます。

前鋸筋(ぜんきょきん、英語: serratus anterior)は、胸部の筋肉のうち、胸郭外側面にある胸腕筋のうちの一つ。
肋骨(第1~第9)腱弓を起始とし、肩甲骨と胸郭との間を後上方に走りながら、肩甲骨に停止する。
支配神経は、長胸神経。

肩甲骨を前外方に引き、肩甲骨が固定されていると肋骨を引き上げる作用がある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/前鋸筋#:~:text=前鋸筋(ぜんきょき,肩甲骨に停止する%E3%80%82&text=肩甲骨を前外方に引き、肩甲骨,を引き上げる作用がある%E3%80%82
前鋸筋

画像はプロメテウス解剖学アトラスから引用

https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/89448

肩甲骨を前外方に引くという部分をもう少し深掘りしていくと、
なぜ前鋸筋の機能が肩甲骨の動きに重要であるかがわかります。

なぜ肩甲骨の動きに前鋸筋が大切なのか?

まず、肩甲骨の動きの定義を確認します。

この定義は教科書によって、若干異なります。

MSIでは肩甲骨の動きを、
挙上・下制、内転・外転、内旋・外旋、上方回旋・下方回旋、前傾・後傾の10個の動きで考えます。

簡単に確認していきます。

挙上・下制

肩甲骨の前額面の動きです。

肩甲骨の上下の動きです。

主に胸鎖関節で動きが生じます。

挙上と下制

画像は筋骨格系のキネシオロジーより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=265810

内転・外転

肩甲骨の前額面での動きです。

肩甲骨の内外の動きです。

内側縁が脊柱が近づくのが内転、遠ざかるのが外転です。 

主に胸鎖関節で動きが生じます。

画像は筋骨格系のキネシオロジーより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=265810

内旋・外旋

肩甲骨の水平面上での動きです。

肩鎖関節の角度が増加するのが内旋で、減少するのが外旋です。

胸鎖関節・肩鎖関節ともに動きが生じます。

画像はLAMSS2020資料から引用

https://www.nexusmotionpt.com/2020-lamss

上方回旋・下方回旋

肩甲骨の前額面での動きです。

脊柱と肩甲骨内側縁の角度が増加するのが上方回旋で、減少するのが下方回旋です。

胸鎖関節・肩鎖関節ともに動きが生じます。

画像は筋骨格系のキネシオロジーより引用

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=265810

前傾・後傾

肩甲骨の矢状面での動きです。

肩甲骨上部が前に倒れるのが前傾、後ろに倒れるのが後傾です。

主に肩鎖関節の動きです。

画像はLAMSS2020資料から引用

https://www.nexusmotionpt.com/2020-lamss

肩甲骨の問題として生じやすいのが、

  • 肩甲骨上方回旋不足

  • 肩甲骨内旋

  • 肩甲骨前傾

の3つです。

前鋸筋は肩甲骨の動きとして、

  • 肩甲骨上方回旋

  • 肩甲骨外旋

  • 肩甲骨後傾

の3つの動きの作用を有します。

このことから、前鋸筋は肩甲骨に生じやすい問題を修正するキーマッスルと言えます。

前鋸筋のトレーニング方法一例

前鋸筋の活性化と肩甲骨の動きの改善のために、ロックバックは有効なエクササイズになります。

四つ這いで肩甲骨の浮き上がりが生じないように、アライメントを調整します。

その後、肩甲骨から押すイメージでお尻を後ろに下げます。

肩甲骨の上方回旋がしっかり出ているかが、重要なチェックポイントです。

まとめ

今回は、前鋸筋についてまとめました。

肩甲骨の動きにとって、前鋸筋は最も重要な筋肉と言っても過言ではありません。

MSIの創始者サーマン先生も、上肢の講習会では前鋸筋の重要性を繰り返し強調されていました。

肩関節周囲のリハビリの際は、肩甲骨の動きと前鋸筋の機能に注目すると痛みの改善につながるヒントを得られる可能性があります。


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