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32.【動きすぎの問題につながる】関節弛緩性について
このnoteは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIは、
セラピストに向けて、
身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
今回のテーマは“関節弛緩性について”です。
MSIの主要コンセプトとして、運動病理学的モデルがあります。
運動病理学的モデルは、
生活の中で繰り返す動きや姿勢が、身体の動きの問題を引き起こし、筋肉や関節の問題に繋がるという考え方です。
関節弛緩性は運動病理学的モデルと痛みの関係性を考える際に、非常に重要になります。
今回のnoteでは、以下の3点がわかる内容になっています。
関節弛緩性とは?
関節弛緩性の3つの種類
関節弛緩性と運動病理学的モデル
ぜひ最後までお読みください!
関節弛緩性とは?
関節弛緩性について復習していきます。
GoogleのAI Geminiにまとめてもらいました。
関節弛緩性(かんせつしかんせい)とは、関節の可動域が標準よりも大きく、関節が過剰に動く状態を指します。
関節が緩いと、一定の可動域を超えても関節運動が行えてしまう状態です。
関節弛緩性の原因には、先天的な要因と後天的な要因があります。
先天的な要因:骨格や筋肉、腱などの体質
後天的な要因:捻挫・脱臼・靱帯損傷などの関節への外傷
関節弛緩性は、臨床現場で経験したことがある方も多いと思います。
例えば、膝関節の過伸展は若い女性で多く見られます。
また、日本人は正座をする習慣があるため膝関節屈曲の柔軟性が高いと言われています。
個人的な経験ですが、以前カナダ人の方の膝を評価させていただいた際に、非患側の膝関節屈曲の硬さ(屈曲角度約130°)に驚いた記憶があります。
生活習慣や人種によって、運動系は大きな影響を受けます。
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関節弛緩性の3つの種類
Geminiによるまとめでは、関節弛緩性は先天的要因と後天的要因の2つに分類されるとされていました。
しかし、MSIの知識を基に考えると以下の3つに分けることができると私は考えます。
先天的な要因
個人の持つコラーゲン繊維の特性などにより全身の柔軟性が高い方がいます。
評価方法としては、東大式関節弛緩性テストなどがよく知られています。
https://clinic.adachikeiyu.com/4677
外傷による後天的な要因
外傷により、関節組織(靱帯・関節包など)が損傷することにより関節の過剰柔軟性が局所に出現することがあります。
例として、足関節捻挫後の足関節底屈内反の過剰柔軟性、膝関節内側側副靱帯損傷後の膝関節外反の過剰柔軟性などが挙げられます。
持続的姿勢・生活習慣による後天的な要因
MSIの知識を基にすると、この3つ目の過剰柔軟性が非常に重要であると考えます。
持続的姿勢や生活習慣によって特定の方向に動きすぎるストレスがかかった結果、関節には特定方向のみに過剰な柔軟性が生じます。
例として、立っているときに右足に体重をのせる癖がある方を考えてみます。
右膝関節を過伸展して膝関節をロックして運動を制御していた場合、右膝関節は徐々に過伸展しやすくなっていきます。
このように持続的姿勢や生活習慣による後天的な関節柔軟性も存在するということも、頭に入れることが重要になります。
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関節弛緩性と運動病理学的モデル
持続的姿勢や生活習慣に伴う関節弛緩性と痛みの関係は、運動病理学的モデルを基にすると理解しやすいです。
持続的姿勢や生活習慣によって特定方向に関節が動きやすくなります。
これにより特定方向に関節の過剰可動性が生じます。
特定の組織に物理的ストレスが集中することが、痛みにつながります。
これが持続的姿勢や生活習慣に伴う関節弛緩性と痛みの関係になります。
また、一般的に加齢に伴い関節可動域は低下すると報告されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/30/2/30_239/_pdf
しかし、個別の症例を見ていくと一見過剰柔軟性が生じていなくても、相対的に特定の関節が動きやすすぎる状態になっている場合があります。
例としては、脊柱管狭窄症などで下部腰椎が股関節や胸椎などと比較して過剰に動きすぎている場合などです。
関節の過剰柔軟性自体を評価することも大切ですが、相対的に動きすぎている関節を動きの評価から判断することも重要になります。
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まとめ
今回は、”関節弛緩性について”ご紹介しました。
関節弛緩性とは、関節の可動域が標準的よりも大きく、関節が過剰に動く状態を指します。
関節弛緩性は先天的要因と後天的要因の2つに分類されるとされていました。
しかし、MSIの知識を基に考えると3つ目の持続的姿勢や生活習慣に伴う関節弛緩性も考える必要があると私は考えます。
関節弛緩性が痛みにつながるメカニズムは、運動病理学的モデルを用いることで整理し、理解することができます。
明日からの臨床を見る目が、少しでもアップデートされる内容であれば幸いです。
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