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24.【リハビリとパフォーマンスをつなぐ】ムーブメントスペクトラムについて

このnoteは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。

MSIについては、こちらをご覧ください。

MSIでは、セラピストに向けて身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。


はじめに

今回のテーマは、”ムーブメントスペクトラムについて”です。

病院でのリハビリとスポーツ現場では、求められることが異なるためギャップが生じてしまいます。

このギャップを埋めるために、身体の動きを段階的に分類したのが”ムーブメントスペクトラム”です。

今回から、”ムーブメントスペクトラム”を基にリハビリとパフォーマンスを、動作の観点からつなぐ考え方について数回に分けて紹介していきたいと思います。

今回のnoteでは、以下の3点がわかる内容になっています。

  • リハビリとパフォーマンスのギャップとは?

  • ロビー・オオハシ先生のご紹介

  • ムーブメントスペクトラムとは?

ぜひ最後までお読みください!

スペクトラムとは、境界線や範囲が明確ではない状態が連続しているさまを表現する言葉

リハビリとパフォーマンスのギャップとは?

アスリートが怪我をした後は、整形外科で診察を受けることが一般的です。

組織の炎症が改善した後は、リハビリで患部の可動域制限や筋力低下の改善を図ります。

関節や筋肉などの組織が治り、痛みが改善したら整形外科の通院は終了するのが一般的です。

その状態で、すぐにスポーツ復帰ができるでしょうか?

もちろん手術や怪我によってスポーツ復帰のプロトコールが決められているため、時期的に復帰できない場合もあります。

しかし、通院が終わったらすぐに復帰できているアスリートは多くないと思います。

これは病院が悪いという話ではなく、病院とスポーツ現場では求められることが異なるためこのような問題が生じます。

私自身、病院で働いている時はスポーツ現場で求められていることが本当に理解できていたとは言えなかったです。

スポーツ現場で働いて、はじめて求められていることの意味がわかりました。

スポーツ現場では求められる事が異なる

病院では、痛みの改善や組織の機能回復が目的となります。

一方で、スポーツ現場ではスポーツのパフォーマンスを発揮することが求められます。

これが、リハビリとスポーツ現場のギャップとなってしまいます。

今回のテーマであるムーブメントスペクトラムは、そのような問題を解決するために作られました。

身体の動きの視点から、リハビリをパフォーマンスレベルに繋げる事を目的としています。

ワシントン大学でサーマン先生の元でも学ばれた、ロビー・オオハシ先生が作られた考え方です。

リハビリとパフォーマンスのギャップを埋める事が大切

ロビー・オオハシ先生の紹介

ロビーオオハシ先生の紹介は、キネティコスのホームページから抜粋して引用させていただきます。

アスレチックトレーナーとして活躍後、ワシントン大学でMSIを学ぶ。
2011年イリノイ州シカゴにてPerformance In Motionを設立。
様々な運動競技のトップアスリートの指導・治療を行う。
室伏宏治選手・錦織圭選手の理学療法士としても有名。

https://kinetikos.jp/contributors/robbie-ohashi

理学療法士として、MSIの知識をベースに世界のスポーツ現場で活躍されています。

日本でも、東京化学大学(旧・東京医科歯科大学)のスポーツサイエンス機構の教育プログラムの講義を行なっておられます。

私も複数回参加し、ムーブメントについて多く学ばせていただきました。

ロビー・オオハシ先生

ムーブメントスペクトラムとは?

先述した通り、ムーブメントスペクトラムは、身体の動きの観点から、リハビリをパフォーマンスレベルに繋げる事を目的としています。

こちらの図をご覧ください。

ムーブメントスペクトラム(PIM講義資料より修正して引用)

身体の動きを、

  • 分離運動

  • 基礎的運動

  • 統合された運動

  • 活動特異的運動

の4つに分類しています。

各動作の定義は、簡単にまとめると以下のようになります。

  • 分離運動は、1-2つの関節の動きを指します。

  • 基礎的運動は、上肢・下肢の基本的な運動で自重での決められた動作です。

  • 統合された運動は、基礎的な運動に様々な負荷を加えた動作です。

  • 活動特異的運動は、統合された活動をスポーツごとに合わせてカスタマイズした動作です。

このような考え方をすることで、動作をリハビリレベルから段階的にパフォーマンスのレベルにつなげることが出来ます。

病院でのリハビリでは、基礎的運動である単関節の機能改善がメインになることが多いです。

単関節の機能改善は非常に重要です。

しかし、パフォーマンスへの復帰を考えると、ここだけで終わってしまうとスポーツ復帰には不十分になってしまいます。


また、この考え方は、アスリート以外の方のリハビリにも、応用出来ます。

日常生活動作の中では、歩行や階段昇降など複数関節の協調的な動きが必要になることが多いです。

単関節の機能改善からのステップアップとして、基礎的運動や統合された運動の要素を理解することで身体の動きの観点からステップアップした課題を選択することが出来ます。

リハビリをパフォーマンスに繋げる考え方

まとめ

今回は、”リハビリとパフォーマンスを繋ぐムーブメントスペクトラムについて”ご紹介しました。

身体の動きをリハビリからパフォーマンスレベルにつなげるために分類する。

この考え方を持つことで、リハビリで改善した単関節の機能をスポーツ現場のパフォーマンスにつなげることが出来ます。

また、ムーブメントスペクトラムの考え方はアスリート以外の方のリハビリにおいても有効に活用出来ます。

次回からは分離運動、基礎的運動、統合された運動、活動特異的運動の4つの分類をもう少し深掘りして紹介していきます。


手前味噌で恐縮ですが、ロビー先生から許可をいただき、こちらのオンライン講義でムーブメントスペクトラムについてご紹介させていただきました。

より深く知りたい方は、こちらの講義も参考にしていただければ幸いです。


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