9.【MSI主要コンセプト8-3】微小な不安定性が痛みを促す
このブログは、MSI(Movement System Impairment)について解説することを目的としています。
MSIについては、こちらをご覧ください。
MSIでは、身体の動きがきっかけで生じた痛みの原因を解明し、改善するプロセスを学ぶことができます。
はじめに
今回は、「微小な不安定性が痛みを促す」についてご紹介します。
MSIでは関節の「微小な不安定性」を捉えることが重要になります。
「微小な不安定性が痛みを促す」とは何か?
日々の臨床に活かすにはどうすればいいか?
解説していきたいと思います。
「微小な不安定性」とは?
「微小な不安定性」とは、一言で言うと関節がグラグラと動きすぎてしまっている状態を言います。
微小な不安定性は、以下の4つのパターンに分けられます。
副運動が過剰
最適な可動域以上動いている
最適な頻度以上動いている
特異的な方向に動きやすい
このように関節がグラグラと動きすぎている部位は、関節にストレスがかかりやすくなり症状につながります。
一つずつ解説していきます。
副運動が過剰
こちらは、以前解説した関節内の相対的柔軟性と似た内容になります。
関節内の運動は非常に小さな動きです。
しかし、特定の方向に動きすぎてしまうと、その方向に関節内運動が生じやすくなりすぎてしまいます。
最適な可動域以上動いている
適切な可動域以上の動きを繰り返すことで、関節が特定方向に動きやすくなりすぎてしまいます。
バレエを例に考えてみます。
この写真のような動作はバレエの基本となる「アラベスク」という動きです。
この動作では、股関節前面の組織は過度に伸ばされます。
これにより、股関節伸展に伴い股関節前面の不安定性が生じてしまいます。
(バレエを例に出しましたが、バレエが身体に悪いと批判しているわけではありませので、ご了承ください。)
最適な頻度以上動いている
何度も同じ動きを繰り返していると、特定方向に動きやすくなりすぎてしまいます。
これは、筋・軟部組織の適応だけでなく神経系の適応の影響もあります。
農作業を例に考えてみます。
写真のように、しゃがんで農作業をする方は、日に何度も股関節を深く屈曲します。
このような動作が繰り返されると股関節後方の組織は過剰に伸ばされます。
これにより股関節後方への不安定性が生じてしまいます。
特異的な方向に動きやすい
特異的な方向への動きやすさも微小な不安定性の原因となります。
ランニングする時の膝の動きで考えてみます。
写真のように膝が内に入るKnee inアライメントの方がランニングした場合を考えます。
何回もKnee in方向に動きが繰り返されることにより、ランニング以外にも歩行時など多くの動作で特異的な方向に動きやすくなります。
これにより膝関節の外反外旋方向への不安定性が生じます。
微小な不安定性が痛みを促す原因は?
上記の4つのパターンが複数からみ合うことにより、関節の動きに微小な不安定性が生じます。
微小な不安定はなぜ痛みにつながるのでしょうか?
これは、微小な不安定性により特定方向に過剰に動きやすくなってしまうからです。
特定方向への過剰可動性については、こちらで説明しています。
関節が動きすぎるところは変形が生じ、痛みにつながり、関節を安定させることで痛みが軽減します。
関節の動きやすすぎる方向を見つけて、その方向に動きすぎないように安定させることで痛みの改善につながります。
まとめ
今回は、「微小な不安定性が痛みにつながる」について解説しました。
微小な不安定性の要素は4つありますが、一つだけが原因の場合は少ないです。
これら4つの要因が重なって、微小な不安定性に繋がっています。
関節の動きやすすぎる方向を見つけて、その方向に動きすぎないように安定させることで痛みの改善につながります。
どのような動作や活動が微小な不安定性に繋がっているか考えることで、痛みの改善のためのヒントになります。
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