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夏休みの宿題のラスボス

2024年8月29日のNACK5『Good Luck! Morning!』内「エコノモーニング」では、こんなお話をしました。

今日は「夏休みの宿題」についてのお話です。
子どもたちの夏休みもいよいよ終わりが近づいてきました。この時期といえば私は、手を付けていなかった夏休みの宿題を終わらせるために一日中机に向かっているような子でした。

漢字ドリルとか計算ドリルなんかは夏休みの序盤に手を付けて終わっているんですが、理科の自由研究ですとか、図画工作ですとか、大物を後の方に残してしまっていましたね。研究することも絵を描くことも嫌いではなくて、むしろ大好きなんですが、好きだからこそ、どんなことをやろうか考えたりしているうちについつい後手になってしまってました。こう考えると、そんな性格は今でも同じだなぁなんて思ったりします。

ところで、この夏休みの宿題について、LINEヤフー株式会社のビッグデータ分析サービス「ヤフー・データソリューション」が、検索データをもとに、面白い調査結果を発表していました。

2023年の1年間を対象として、「夏休み 工作」「自由研究」「読書感想文」というキーワードを検索した人が、その前後15日間にどんなキーワードを検索していたかという分析をしたんだそうです。あるキーワードで検索した人が、その前後にどんなキーワードを検索していたかを調べることによって、ビッグデータから社会の動向を読み取ろうということですね。これによると、「夏休み 工作」を調べた当日に「自由研究」に関する検索をしている人がいることから、どの宿題に取り組むか迷っている様子がうかがえるとヤフーは分析しています。

またその数日後に「読書感想文 書きやすい本」や「読書感想文 書き方」、
「自由研究 まとめ方」を検索しているユーザーがいるということがわかったそうです。つまり、工作のあと数日してから読書感想文や自由研究のまとめに着手しているということのようです。さらに、「読書感想文」を検索したユーザーは、「読書感想文」と検索した3日後に「自由研究 まとめ方」がある以外は、宿題に関連するキーワードがありませんでした。これらのことから、ヤフーとしては、「工作や自由研究に取り掛かった後に読書感想文に取り組んでいることが推察され、夏休みの宿題として最後に残しがちな“ラスボス”は、読書感想文となる傾向があるといえるかもしれません」と結論付けています。私自身の子どもの頃は、読書感想文は早く手を付けてのんびり仕上げて、そのせいで自由研究が遅れていた気がしますが、いまの子どもたちにとっては、どうやらラスボスは読書感想文なんだそうです。

しかし昨今は、生成AIが立派な文章を書いてくれるようになってきていますので、子どもたちの読書感想文にも、どうも生成AIが使われているケースが増えているようだということが、ここ数日、いくつかのメディアで記事になっていました。

半世紀以上の歴史がある「青少年読書感想文全国コンクール」では、昨年、260万件の応募があったそうですが、その中で、本人が「生成AIを使った」と認めたものが10件以上あったんだそうです。協議会としては、AIの使用が全面的にだめだというわけではなく、自分の言葉で書くということが読書感想文の本質だと考えているので、AIの文章をそのまま使うことは不適切な引用だと考えているそうです。

大学でも生成Aとの付き合い方は問題になっています。私自身が大学で担当している授業では、生成AIは使っていい、むしろ積極的に使ってみてくれということにしています。「文責」という言葉がありますが、文責はあなたです、自分で責任を引き受けられるように使ってくださいというのが条件です。その結果どうなったかというと、正直、まだまだ使い方が上手ではないと感じます。どこで使ったのかすぐにわかります。生成AIが書いた文章は、固有名詞のない薄味の文章になりがちで、本文に溶け込んでいない。

生成AIが返してきた回答をすぐに使うのではなく、さらに指示を出して文章を洗練させるなど、もっと練習がいると思いました。私はこのコーナーの原稿を自分でけっこう細かく書いて用意しているのですが、今日は生成AIを…使っていません(笑)。今後は生成AIも上手に使ってみようかなと思います。ということで、今日はビッグデータによると夏休みの宿題のラスボスは読書感想文というお話でした。

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