第5章<成長する>インタアクション・スキル
1.EQ(心の知能指数)を強化する
上級管理職は組織の中心的なポジションである。自分のチーム内外の人に組織の枠を越えてやる気を起こさせ、参画させなければならない。また、リーダーとして人材の能力を開発し、難しい意思決定を行い、それを伝えなければならない。こういった課題には、基本原則をうまく利用してEQを強化する必要がある。
(第2章参照)
上級管理職に就く前に、基本原則を身につけておくべきだが、それを日常的に使えていない人が多い(CEOでも使えていない人がいる)。そのため、上級管理職の多くのカリキュラムの基礎コースにはEQが含まれている。1999年、The Emotional Intelligence Consortiumが、インタアクション・スキルを使うDDIのリーダーシップ能力開発コースを、EQを向上させるモデルプログラムに認定した。
グループベースの上級管理職向けプログラムでは、通常グループ・ディスカッションが行われ、それによって、参加者が課題と解決法を求め、結びつけ、共有する機会ができる。共有、信頼という組織文化が一度築かれたら、多くの上級管理職は、開発中のコンピテンシーに関連する弱点を認めて、話し合い始め、新しいスキルに挑戦する際にグループのフィードバックから学ぶことができるようになる。
2.教室の外に出る
The Institute for Executive Development (IED)とDDIは、2011年、組織がとる上級管理職の能力開発の手法が、彼らの役割と同様に急速に変わっていることを発見した。われわれが採用して成功した取り組みをいくつか紹介しよう。
3.バーチャル・クラスルーム・トレーニング
バーチャル・クラスルーム・トレーニングは、参加者がファシリテーターによるクラスルーム形式の授業とまったく同じ学習体験ができる。異なるのは、学習仲間と遠く離れたところで、自分のパソコンやタブレットを前にして行う点だ。
バーチャル・クラスルーム・トレーニングは、同時性のない自習であるウェブベースのトレーニングと同義ではない。多くの参加者がリアルタイムの話し合いや質疑応答、ゲーム、スキル実習、フィードバックなどによって交流し合う。ファシリテーターは内容を提示し、会話を進め、質問に答え、参加者を小グループに分けて(バーチャル・クラスルーム技術によって可能となる)スキル実習をモニタリングする。チームの一員として学んだりフィードバックを受けたりすることで、クラスルーム形式での授業同様、緊張感が得られる。
🔶長所
🔶短所
4.練習ラボつきのウェブベースのトレーニング
ウェブベースのトレーニングは、実際の教室でのトレーニングと同じ内容を提供するが、学習者の洞察はまったく違った方法で得られる。優れたウェブベースのトレーニングは、参加者の学習の進捗を確認しながら、非常にインタラクティブで魅力的なプログラムを進めていく。また、ゲームなどを利用して楽しめるよう作られている。短所は、多くの学習者にとって重要な、直後の練習、フィードバック、補習が行えないことだろう。
ウェブベースのスキル開発は、練習ラボを加えることで大きく強化できる。ラボでは、ライブ、またはバーチャルなセッションで、学習者が半日あるいは終日かけて、いくつかのコンピテンシーについて話し合ったり、スキルを実演したり、フィードバックを受ける。またラボの前に、参加者にスキル開発の面だけでなく、論理的な面でもトレーニングを与えることができる。
ウェブベースのトレーニングとラボを組み合わせる上でひとつ問題となるのはタイミングである。多くの組織は、ウェブベースのセッションの後、ラボを行うまでに何週間あるいは何カ月も待たなければならない。その長さと実銭する機会がないせいで、学習者は学んだことを忘れてしまう。よってラボが開かれるときには、もう一度最初の学習に戻ったり、進めようとしたコースの流れを修正しながら学習内容を思い出させて、参加者が前向きに学ぶよう仕向けなければならない。
5.アクション・ラーニング
アクション・ラーニングは、上級管理職の能力開発によく活用される手法だ。このチームベースの学習に対しては、多くのCEOが「投資対効果が大きかった」と報告している。チームの参加者は、実際に起きている重要なビジネス問題を探り、解決策を経営幹部に提案しながら、コンピテンシーのスキルを磨いていく。アクション・ラーニングは学習を目的としている点でタスクフォースに参加するといった役割とは異なる。チームメンバーは、意思決定プロセスへの貢献度や、インタアクション・スキルなどのキーアクションの活用度について、多くのソース(チームメート、幹部、チームを担当するプロのコーチなど)からフィードバックを受ける(アクション・ラーニングの要素に関連する「ラーニング・ジャーニー」の開発については、本章で後述)。
6.教えることによる学習
かつてピーター・F・ドラッカーは、「人に教えることほど、勉強になることはない」と言った。開発を加速化する上級管理職が主要なコンピテンシーとインタアクション・スキルを開発するためには、初級管理職相手に、自分の弱点であるコンピテンシーを教えることが役立つ。教える資格を得るには、厳しいファシリテーターとしてのトレーニングを完了し、スキルを習熟したことを示さなければならない。一人で教えることができるようになる前に、さらなるサポートを受けなければならない場合もあるだろう。いくつかのコースを受けて身についたファシリテーターとしてのスキルと経験は、教えたり診断したりするだけでなく、自分自身が対象となるコンピテンシーを使う上でも大きな自信につながるだろう。
十分なトレーニングを受けた上級管理職は、初級管理職の行動を変える成功率が高い。上司が関わることを初級管理職が支援と受け取るためだ。また、上級管理職が初級・中級管理職と協力することにより、組織内で起こっていることが見えやすくなる。さらに貴重な時間を費やして他者を支援しているという評判も立つ。メンツを失うようなことは何もない。教える側になることは名誉なのだ。
7.おすすめ人材アセスメントソリューション
8.DDIとは
DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。
DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。
DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。
◆DDI社の4つの専門分野
DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。
9.会社概要
会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント
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