ADHDの要素がなくなって、冒険できなくなるのが怖いという矛盾。ADHD内服治療についての私見。
突き付けられる事実を知るのがこわい、という気持ちを持ちつつも、書いてみようと思う。
恐い気持ちと、葛藤が、発達障害の治療についてくる。
これは自分だけなのか、ほかの発達障害者もそうなのかは謎だ。
ADHDには、「ストラテラ」というよい薬がある。アトモキセチンというジェネリック薬品が出てくれたおかげで、少し薬価も下がった。私もそちらを内服している。
ADHDの性質を、私は
「開拓者」「冒険者」だと思っている。
それは、
通常では腰が重いらしい、
「目新しいことをはじめる」「思い立ったら即行動」
というあたりが、自分にとっては普通であることで、成功につながってきたことと、常に リスクよりも「好奇心」が勝つからだ。
ふつうに考えたら怖いこと、
勇気がいること、
そんなことをADHDの人間はいとも簡単にやってのけるという印象がある。
裏を返せば、
通常の常識やリスクを考えていると、
人は行動することなどできなくなってしまうのかもしれない。
が、過去を振り返って
興味を持ってからの集中力と機動力のおかげで、自分自身が道をすすむ中でもそれは役に立ってきたし、
何かアイデアが必要とされる場で、
「おお、いいね!」
「なるほど!いいかもね」
そんな反応が返ってくる、ゼロから発想が得意なおかげで、
行き詰っているプロジェクトの突破口を開いてきた。
それも これも あれも
はっきり言って、このADHD能力のおかげだと今は思っている。
この『衝動性』
裏目に出ることは本当にあるし、
挑戦が多いだけに失敗も増えるし、
初期投資したのに、あっという間に飽きてしまった数々の趣味など、
マイナスポイントも数知れず、だが・・・
ASDがベースにあって、本来は一つのことを深く、
があってもいいようなものの、ADHD要素のおかげで強い好奇心がどんどん手綱を引っ張って、じぶんを新しい世界に連れて行ってくれるのは、
楽しいことこの上ない。(笑)
そんな私が怖いのが、
この
アイデアの泉が枯れること
好奇心がしぼむこと
これだ。
ADHDのカギとなる、アドレナリンと受容体
ADHDは、過敏だ。
とても、刺激に弱い生き物だと思う。
私は、とにかくすごく緊張症だ。
すぐに緊張して、胸がドキドキしてしまう。
エレベーターも怖くて、軽いパニックになりそうなのを何とかやり過ごしている。
自己紹介、という言葉を聞いただけでも脳みそが反応して、心臓がバクバクして手汗をかいてしまう。
さて、
脳みその、前頭葉における情報伝達。
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)の分泌やドパミンの分泌が少なくて、
ノルエピネフリンのバランスが不安定なADHD。
前頭葉は、感情や衝動のコントロールをつかさどっている部分。
ここに何らかの障害があると、衝動性が高くなってしまったり、
感情のコントロールに影響して、突然爆発してしまう、ガマンができない、などが起きてしまうといわれている。
感情をつかさどる部分にも近い。
刺激やストレスを受けたときに、これらの分泌が過剰になったり、
かとおもったら全くでないとか、
なんだか、色々なことが神経伝達物質に左右される人生・・・
本当にADHDは大変だと思う。
ふだん、分泌が少ないから、
少ない量でやっていけるように、
感受性が高まっているベースがある。
感受性が、高いのだ。
刺激に対して、すごく敏感なのだ。
そんな中、刺激に反応して、
ふだん少ないノルエピネフリンが
「バッ」と一気に出て、自分の行動を急に加速させる。
ストレスが高まると、余計にだ。
このギャップ(波)が、なんとも辛い。(笑)
自分が、自分に、振り回されてしまう感覚である。
(ノルエピネフリンはもともと、副腎髄質から分泌されるホルモンの一つで、交感神経の活動を高める情報伝達物質です。肉体的あるいは精神的に強いストレスを感じたり、感情が高ぶったりした時に、副腎皮質から放出される情報伝達物質。脈拍数や血圧を上昇させて、体を活動に適した状態にします。通常は、状況に合わせて分泌のバランスが取られているのですが、バランスを崩すことで神経症やパニック障害の原因になると考えられています。ノルアドレナリンとも書かれている場合があります。)
刺激に弱いのに、ストレスが高まると衝動的って、
脳の動きを想像しながらADHDの行動パターンを思い浮かべると、
本当に切ない(笑)
でも、刺激というのは長続きはしないし、人間は慣れてしまうので、
すぐにもとにもどってしまう。
ベースが、感受性高くつくられてしまっているADHDの脳。
対して、ストラテラ(アトモキセチン)は、
再取り込みされすぎているノルエピネフリンを結果的に増やしてくれる。
薬の辞典によると
「脳の前頭前野の神経終末にあるノルアドレナリントランスポーターを選択的に阻害し、ノルアドレナリンあるいはドパミンの再取り込みを阻止することで、これらの神経伝達物質の濃度を上昇させます。」
とのこと。
それによって、感受性がさがる。
厳密にいうと、受容体の感受性が。
これが、個人的には少し怖いのだ。
魅力、といっては語弊があるかもしれないが、
強みともなっている、
この敏感さ(笑)
感受性が強いので、色々なことに気づくとか反応してしまうというのは、
気が散ったり、色々な刺激に弱かったりするけれども、
芸術家が劇的な作品を作れるのは、
普通の人にない感受性があって、人よりもいろいろなことを感じてしまう=感じられるからなのでは?と思ったりするのだ。
受容体の感受性が下がってくれるおかげで、ノルエピネフリンが安定化してきて、感情の振れ幅が落ち着いてくれたり、
頭の中がうるさかったのが、刺激に強くなって、静かになってくれるということが期待できると思う。
でも、繰り返しになるが、
恐い。
私は、日本語教師を目指して活動をしているので、
コンテンツ作成や本ブログ、
インスタグラムの投稿、
日本語の教材の作成など、
アイデアが役立ってくれる場面がけっこうある。
しかし、
そのアイデアの泉が枯れてしまうのがとても怖い。
衝動性が高かったために引き起こされていた行動力の高さが、
落ち着いてしまうのも怖い。
刺激を求めるのが、自分なりの考察では、
「アドレナリンの分泌が少ないADHDが、ホルモンや神経伝達物質を増やすために刺激を求めての行動を取っているんじゃないか」とおもう側面がある。
すると、治療をすることで、
刺激を求める必要がなくなってしまったら、
この行動力も失われてしまうんじゃないか…
そんな風に考えてしまうのだ。
内服をしてみて、どうなのか
さて、総合的に考えて、実際自分の場合はどうなのか、
ということを考えてみる。
私の場合は、内服して2日目の朝に、
かつてない脳の静寂を体感した。
同時に強い吐き気もあったのだが(感受性が高まる中でノルアドレナリンの量が増えることによるかとおもうが、内服2日目では受容体が変化するとは考えられないので、単純にノルエピネフリンの血中濃度が高まったのかも)
そのとき、たまたまピアノを弾き始めていたのだが、
ピアノの音と楽譜、指の感覚が研ぎ澄まされるとともに、
いつもだったら様々な思考で忙しい頭の中が、
「シーン・・・・」
と、かつてない静寂に包まれたのだ。
おかげで3時間もぶっ通しでピアノを弾き続けてしまった。
こんなミラクルな体感は、薬の血中濃度が安定してくるにつれて弱まって(体が慣れて)きたが、作用まで時間がかかるはずのストラテラでここまで頭が静かになるとは少し驚いた。
吐き気と、動機が強かった2日目だったが、何かが明らかに違っていた。
ところでADHDは、その感受性の高さゆえに、
体のいろいろな変化にも敏感だとわたしは思っている。
頭痛や吐き気など、感じやすいし、
疲れも感じやすい。
少しの刺激でも色々頭も忙しく、刺激への対応で疲れるのもあると思うが、
疲れ自体も、感受性の高さゆえに感じやすいと思っている。
(つわりが子供を産むその日まで続いた自分は、もしかしてこの感受性ゆえにだったのか、と色々考えてしまう。)
そのぶん、作用の方も感じやすい。(笑)
薬を飲むと、頭痛薬などはとくにそうだが、
「あ、楽になってきた」とか、
安定剤や眠剤などは、「ああ、血中濃度があがってきたな」というのを感じる。
というわけで、
副作用も感じやすいが、効果もでやすい。
数週間たった現在は、ストラテラのミリ数も増量しているが、
最初ほどの急激な変化というのはおちついた。
もともと、最初の数日が副作用が出やすいタイミングなので、これは自然な反応だといえる。
とまあ色々と書いてしまったが、
「頭の静か感と、平和感」この2つが、じわじわと日常を包んでいることを感じる。
改めて驚くのだが、
「普通の人は、こんなに頭の中が静かなのか?」
ということ。
たとえるならば、平常時(内服していない時)は、
頭の中はベトナムの道路の道路のように、
沢山の乗り物が忙しく行きかっていて、それはそれは忙しい。
絶えずアイデアや思考が流れ続け、
新しい考えが次から次へと出てきて、
やらないことを考えるほうが大変だ。
そして内服をすると、
道路は、田舎の農道。
一時間に2本くらい、車が走る。
というのは若干、言い過ぎかもしれないが、
頭がシンプルで、ピースフルだ。
よけいなことも考えないので、
ある意味、目の前のことに集中しやすくはなると思う。
ただし、意欲となると・・・
なんだか静かだ。
全体的に、地味な人間、「隠居」とか、「静か」という形容詞であるとかが、この状態を表すキーワードな気がする。
色でいえば、今までがレインボーカラーで7色だったのが、
今は、「紺色」「ベージュ」
とかそんな感じだ。
良く言えば、「落ち着いている」という感じだろうか。
今までは、「落ち着いて見せる」のが大変だったのが、
自然と落ち着いているというか。
ドキドキするとかストレスが急上昇する感覚も、以前より少し・・・なんとなく良い感じがする。
さいごに
内服に関しては、あくまで私の場合、ということなので、
これがすべての人に起こるとはいえない。
個人差があると思うし、それこそ頭の中の神経伝達物質なんて、ミクロの世界だ。
環境要因やストレス要因の有無によっても、このあたりの反応は違ってくるだろう。
上記のような怖さもありつつも、効果も実感しつつあるこの頃だ。
いままで「ミステリアス」とか言われていた自分が、
「凡人化」するのは、周囲の身近な人間にとってはいいことなのかもしれない。
あっ、そういえば、カッとなって怒るー対息子 というのが少し減ったかな?と思う。
イライラの原因から距離を置いた生活、というのもあると思うが、明らかに怒らなくなったような。
もしも周囲へのイライラや、怒りの爆発などの他害行動がでがちなADHDの人がいたら、内服してみるといいのかもしれない。
私の今の願いはシンプルに、10月の検定試験のための試験勉強に集中できるようになること。
様子を見ながら、忙しい頭の中が恋しくなったら、
主治医に相談してみようと思う。(笑)
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