北京に行ってきた
北京へは日本からではなく、先に滞在していた西安から中国の国内線の飛行機で向かいました。
西安から北京はそれほど距離がないので飛行機は低いところを飛んでいました。正確な航路は分かりませんが、おそらく内モンゴルのあたりを飛行していたのだと思います。砂漠と山ばかりの風景でした。機内食もちゃんと出てたぶん鸡肉饭(中国式チキンライス)でした。ふつうに美味しかったです。
北京首都空港に到着。この飛行場は新しい北京大興空港ではなく、以前からあった方の飛行場ですが古い訳ではなく綺麗です。混雑もなく、ストレスもあまり感じない飛行場ですが、どこにでもある綺麗な飛行場という感じで「北京に来たぞ!」というワクワク感はありません。
北京の街並
空港から環状2号線あたりにあるホテルまてタクシーで移動しました。北京も高層ビルが増えましたが、北京は中国の他の都市のように急激に開発されているという感じではないので、比較的古い感じの低層の建物もよく見かけます。
聚寶源
北京の街は故宮、天安門、天安門広場が中心にあり、その回りを環状1号、2号、3号、4号、5号と幹線道路が走っています。
東京の街の造りとよく似ています。東京では皇居を中心にして靖国通り、明治通り、山手通りと環状道路が重なっていきます。ちょうど環状8号くらいから郊外に出てきたという感じになってきますが、北京の場合は、環状5号線がそのあたりのイメージでしょうか。
宿泊したホテルが天安門広場の南東あたりで、そこからタクシーで移動して牛街という街の「聚寶源」というお店に行きました。
「聚寶源」は北京式しゃぶしゃぶの有名店で、名物は羊肉です。取引先の老板が「北京に来たら必ず羊肉をご馳走するよ」と招待してくださいました。
しゃぶしゃぶの鍋が個別にセットされています。まん中が回転テーブルになっていて、好みの具材を取ってしゃぶしゃぶして食べるというスタイルです。
食材が新鮮でどのお肉も食欲をそそります。日本では羊肉のしゃぶしゃぶはあまりありませんが、中国は羊肉を好んで食べる印象があります。北京は地理的にも北部にあり、モンゴルに近いので、やはり羊肉が名物料理と言えます。
机に食材が所狭しと並べられました。お肉が新鮮で美味しいです。そして、お酒はもちろん白酒です。中国の方は一番いいお酒ということで、心からの歓迎の気持ちで白酒を振る舞ってくれます。しかし、アルコール度数53度。昨年訪れた時はもう本当に飲むのがつらくてつらくて...
でも今年は少し慣れてきたのか?よくわかりませんが美味しく頂けました。
广渠门外站〜牛街站
ずっと車で移動してると街の土地勘が出てこないのでホテルに戻ってから最寄りの地下鉄駅までふらっと散歩に行きました。ホテルが「广渠门外」という駅で、夜ごはんを食べたのが「牛街」という駅のあたりでした。天安門のやや南方を東西に走っていたことを確認しました。
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天安門広場
翌朝は3時に起きて天安門に向かいました。天安門は昼でも見られますが、毎朝日の出と共に国旗を掲揚する儀式があるので、それを観に行きました。3時30分くらいですでにこのような混みようです。
日本で言えば大晦日の除夜の鐘からの初詣という感じでしょうか?しかし、こちらは毎朝行っているので大晦日が365日あるようなものです。
ちなみに天安門広場に入るには事前予約が必要です。そして3回くらい検問を越える必要があります。特に何をチェックされるということもなく、外国人でも予約をしてパスポートを持参すれば入ることができます。
昨年、北京を訪れた時にも早朝にここまで来たのですが予約が必要だとは知らなかったので中には入れませんでした。検問の人も怖くはなくて親切でした。日本のパスポートを見て自動翻訳機で「予約はしましたか?」と見せてくれたので、「没有」と答えたら「入れないよ」と教えてくれました。
そして今年は満を持して予約をして行ったので、ようやく天安門を間近で見ることができました。
最後の検問を越えてやっと天安門広場のなかに入れました。
天安門広場のなかに入ったあとは旗がよく見えるポジションへ向かいました。天安門の正面あたりは旗が昇るのがよく見えるので人が集まってぎゅうぎゅうでした。しかし、せっかくだからベストポジションで見ようとそこで日の出を待つことにしました。
はっきりとした時間は覚えていませんが天安門広場に入ったのが4:30ごろで日の出が5:30ごろだったと思います。1時間近くここで待っていた感じです。そして、ようやく儀式のはじまりです。
天安門の方から兵隊さんたちが行進してきます。そして掲揚台の前で止まり直立します。
中国国歌の演奏と共に国旗が掲揚されます。
前进! 前进! 进!
国旗が掲揚され、観覧していた人々も散り散り帰路につきます。外国人が見て特別な感情は抱きませんが、中国の人は国歌が流れて各々国歌を口ずさみながら眺めていました。遠方から来ている人も多そうで感情の高ぶりを感じているようでした。
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朝食
3時起きだったので眠たいような眠たくないような感じで清々しい朝という感じではありませんでしたが、朝ごはんを食べることにしました。
庆丰包子铺
天安門広場のそばにある「庆丰包子铺」に入って朝ごはん。日の出してからまださほど時間が経ってないので6時前だったと思います。しかし店内はいっぱいでした。中国では朝ごはんをしっかり食べるという習慣が根強いと感じました。
あと興味深いのは、この店では包子が名物だったことです。西安の朝ごはんは肉夹馍(中国式ハンバーガー)や泡馍(モチモチしたお麩のスープ?)でしたし、他のところではお粥だったり、麺だったり。全て軽食と言われればそうですが、朝ごはんと言ってもいろんな好みや地域性があって面白いです。
天壇公園
ホテルに帰って少し休んだあと、ホテルから近かったので天坛公园(天壇公園)にも行ってみました。
天壇公園の建物を観ると、日本の寺社仏閣と同じような感じですが、様式は異なるという印象です。
調べると天壇公園は明の皇帝が天を祀るために建立したとのことです。日本で皇帝、天皇となると神道系の思想になるのかも知れませんが、中国に神道はないので、思想的には陰陽道や道教思想に近いのではないかと思われます。
香港や台湾の寺院も日本の寺院とは趣きが異なりますし、ここ北京の建立物もやはり日本のものとは異なります。一度まとめて調べてみようと思います。
天壇公園は天を祀るというだけあって広く、宇宙を表現しているようでもあります。
祈念殿
しばらく歩いていると天壇公園の中心的な建立物である祈念殿が見えてきました。日本の歴史的建造物で円形のものはあまり思い浮かびませんが、これは宇宙の無限の広がりを表現するなど、思想的背景に強く関係していると思われます。
祈念殿は円形ですが、公園の配置には軸線があって正面がありました。公園の配置に一つ一つ意味がありそうですが、壇上にこの円形の祈念殿が建てられており、この頂点から天へ繋がっているようなイメージです。
祈念殿を観たあとはまっすぐ敷かれた石畳の軸線上を進んで行きました。その軸線上に門や他の建立物が配置されていました。公園を俯瞰すると建物の配置の意図を感じとれますが、公園内を歩いていると単に広いというか、ま、まさに宇宙を彷徨っているような気分でした。
あと、ここでも西安と同じように当時の衣裳をまとった女性がたくさんいました。ここは明朝時代の衣裳ということでしょう。
いわゆるチャイナドレスというのは清朝の頃、中国の東北地方の民族衣裳であって、中国の代表的な衣裳ではないのだと改めて思いました。
成貞門を出てまだまだ公園は広がっているという感じでしたが満足したので一服して帰ることにしました。
売店でアイスクリームを食べて公園を後にしました。
便宜坊(京菜)
お昼は北京料理を食べたいと思い「便宜坊」に行きました。このお店は歴史が長く、北京ダックが有名だそうです。ただお昼だったので北京ダックは注文しませんでした。北京ダック以外の京菜(北京料理)のメニューも豊富で、十分に楽しむことができました。
北京料理のお味は辛くもなく、癖もなく、日本人でも好んで食べられました。そして、担々麺があったので食べたいと思い頼みました。担々麺も日本で食べるのと似た味で食べやすかったです。ただ、お昼ごはんにしては頼みすぎたので食べきれませんでした。
中国ではご飯を残すことは悪くないというか、ご飯に招待された場合など、ご飯をきれいに食べ切ってしまうと歓迎が足りないと思われるから、ほどほどに残したほうがいいとさえ言われていました。
しかし近年は贅沢禁止の風潮があり、食べられないほどの料理を注文するのはよくないし、頼んだ料理はできるだけ食べ切ったほうがいいとのことでした。
眉州东坡酒楼
取引先を訪問したあと、老板と一緒に夜ご飯を食べに行きました。「眉州东坡酒楼」という四川料理のお店です。
四川料理のお店なので、パンダのお客さんもいました。パンダも地元 四川の料理がお口に合うようです。
そして、昨日の夜に続き、今晩も白酒を振る舞っていただきました。美味しいですが、アルコール度数が高いので飲み過ぎには注意です。
四川料理のお店なので麻婆豆腐がありました。四川料理と言っても北京にあるお店なので程よい辛さでした。日本人好みの味です。その他の料理も食べやすいお味でした。
そして、北京ダックも名物料理としてありました。注文するとテーブルの前でシェフがさばいてくれました。
北京に来たら北京ダックを食べたいと思っていたので感無量でした。取引先の老板が「羊肉と北京ダックをぜひ食べてほしい!」と昨日、今日の夜ご飯をセッティングしてくれたのでした。
谢谢您的款待。
北京大興空港
帰りは北京首都空港ではなく、北京大興空港でした。ザハ・ハディドが設計した世界最大級の飛行場だったので観るのが楽しみでした。
さて、北京大興空港に実際に訪れてみて思った感想はというと...
正直、期待外れでした。
巨大な空間とその曲線の造形美には目を見張るものがありましたが、サーリネンのTWAフライトセンターのような木目の細かさがなく、大味な感じでした。
また、これほどの巨大空間を曲線の造形で創り上げる大変さや、パネルの割付の巧みさはわかるのですが、空間として伝わってくる感動がありませんでした。
大は小を兼ねるという哲学に基づき創造されたのでしょうが、搭乗口がこんなにも遠いのはいかがなものか?家早南友。
まとめ
北京を訪れたのは昨年に続き二度目でした。昨年はコロナがおさまってまだ間もない頃だったので、中国に行くためにVISAを取るのも大変でした。しかし今年はVISAを取るのも比較的スムーズでした。
そして北京の街もずいぶん活気が出てきたように思います。昨年は厳戒体制というか、特に環状1号線、2号線の内側、北京の中心部には警官がいたるところにいて、基本的には外出しない方が良さそうという雰囲気でした。
対して今年は中国の人も全国から北京にたくさん訪れているようで、早朝の天安門広場はすごい人出でしたし、日中も街中を歩いている人が多かったです。また外国人に対しても厳しい目が向けられるということもなく、過ごしやすかったです。
今回の北京は滞在時間が短かったので街を見て回る時間が取れませんでした。また今度プライベートでも来てみたいと思います。