2022カタールW杯試合分析 大会12日目
この日から12月に差し掛かる。
この日から筆者は新型コロナウイルス感染症に罹ってしまい、大幅にW杯の視聴と分析が遅れることになる…
グループF クロアチアvsベルギー
まずはクロアチアのKOから。おそらくレアルマドリードでも行っているものなので、モドリッチが仕込んだのであろう。
3人目を使い、試合開始から相手の虚をつく。
先日投稿した記事のサウジアラビアvsメキシコでも紹介したが、得点の4割がセットプレーから生まれている。
昨今はCK・FKだけではなく、KOやスローイン、GKもセットプレーとして各チームの色がでるようになった。
試合の中身はミドルブロックのカウンターを4-1-4-1のような形で待ち受けるクロアチアに対して、ベルギーは4-2-3-1でBU。2VOのヴィツェルが少しアンカー気味にピックアップして打開を図る。
この試合はハイライトでもさんざん取り上げられていたが、ルカクがとにかくゴール前のチャンスを外していた。今までのルカクのプレーからは想像できないような形である。
終始押し込むベルギーはクロアチアの守備に阻まれ、結果はスコアレスドロー。グループリーグで引き分けとして終わるのではなく、決勝Tで勝敗を決してほしい内容のゲームであった。それくらい締まったゲームで、見応えがあった。
ただ、ここでベルギーはGL敗退が決定。
サイドに侵入するも、そこからのスピードアップが図れず、クロアチアの守備陣に弾かれていた。
MVPはグヴァルディオル。ただ一言。
よお守った!!!
グループF カナダvsモロッコ
このグループで世紀の番狂わせが起こるゲームとなる。
カナダは自分たちのミスから立ち上がりに失点。どのように持ち直すかというところのゲームプランに注目する。
カナダは既に敗退が確定していることもあり、思いっきったプレーが随所にみられる。
対してモロッコは引き分け以上で決勝T進出ということと前半開始早々の相手ミスからの得点ということもあり、余裕のある立ち上がりになった。
対局的な両チームの立ち上がりは、ゲームプランにも色濃く見える。
モロッコは自陣深くからでも丁寧にBUを開始するが、2点目のように相手のラインが上がっていることを確認すると、ロングパス1発で局面を打開する柔軟さをみせる。
そのため相手の前線からのプレスになかなか捕まらず、3CBの両脇のスペースをしっかりと支配し、クロスからゴール前に侵入していた。
対するカナダはエースのA・デイビスが執拗なマークにあうことで、ボールを触って自身のリズムを出す為に、前線から離れてボールに寄ったポジショニングをとる。
すると、カナダは前進することができないため、負の連鎖に陥り、相手のプレスにはまってしまう。
A・デイビスのプレーは分からなくもないが、チームのこと思うと、我慢して前線で駆け引きをしたいところ。しかし、自身がボールに触れることができず、試合に入り込めていないのであれば、そのようなプレーになってしまうのも仕方がない。
それなら、スローインを受けるだとか、違う方法でゲームに入っていくなどの個人戦術も必要になると感じた。
MVPはモロッコのエンネシリ。BUの起点になり、背後へ抜け出し相手のDFラインを押し下げ、柔軟なプレーを見せてくれた。
ピークの平山相太をも思わせるプレーにあっぱれ!
この勝利でベルギーの敗退を確定させたモロッコは決勝Tの台風の目として注目を浴びることになる。
グループE 日本vsスペイン
「三苫の1ミリ」
その言葉が日本中を席巻するのに時間は必要なかった。
日本は5-4-1のブロックからカウンターを試みるも、スペインの2CB+1アンカーのBUにプレスのスイッチの入れどころを見つけることができずにいた。しかし、それは”敢えて”ともとれるゲームプランでもある。
時々、鎌田や田中碧などのIHが我慢できずに相手CBに押し出していたが、スペインはその機会を待ってましたと言わんばかりに空いたスペースを利用し、前進していた。
しかし、そのIHのアタックでボールを奪えていることは多く、個人の判断?チームの約束事?という形で狙いがはっきりしているようには見えなかった。
スペインはSBは高い位置はとらずに、CBと並行のポジションをとる。
そうすることで、日本の中盤4枚のサイドが食い付き、CBからIHに縦パスを簡単に入れていた。
スペインのP・トーレスはボールの持ち方がうまく、左利きということもあり、どこにでもボールが出せるので、日本も容易に飛び込めないという感じ。
日本は前半11分に失点するも、想定内という感じで勝負は後半まで我慢という感じ。
後半になると日本は切り札の三苫を投入。これが流れを変える。
スペインのCBからWGへのパスを2回程インターセプトしたことで、スペインも容易にしかけることができなかった。
ただ、三苫はWBだったので、インターセプトする位置が低く、ゴールまで直結はしなかった。
スペインのネガティブトランジションが速い(GKまでプレスにくる)ため、日本はロングボールを強いられその2ndボールを回収され、相手の保持時間が多くなった。
ただ、日本の2得点のきっかけはFW前田のプレス。2列目も連動していくことで高い位置で回収でき、ショートカウンターが成功する。
この試合は内容よりも目の前の勝負にこだわる姿勢が見て取れた。
何が何でも勝ち点3を取るという気迫が伝わったナイスゲームである。
MVPは田中碧。
グループE コスタリカvsドイツ
日本vsスペインと同時刻KOだったため、速報で結果をしることになるが、試合途中まではコスタリカ優勢でこのままいけば、日本とコスタリカがGL突破という二か国にとっては、不名誉な結果になる可能性もあった。
コスタリカはドイツを苦しめはしたが、最後にはドイツの地力が勝り、勝利を収めた。
MVPはナバス。
筆者が少年時代から活躍しているGKであり、今もなお活躍している姿をみて、月日の流れを感じた(笑)