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映画を観たよの記録 #1

昔から、映画を観るのが好きです。
映画館でじっくり観るのも好きなのですが、周りを気にせずに笑ったり泣いたりできる自宅鑑賞会も大好きです。ここ数年は、ベッドやソファや風呂場でのんびりと、配信サイトの映画を観る楽しみを覚えました。

せっかくnoteを始めたので、自分が観た映画の記録を付けていこうと思います。今回は、2024年3月前半に観た映画の感想文です。ネタバレを含みますので、ご注意くださいませ。

『ゴールデンカムイ』

<あらすじ>
説明不要の有名漫画の実写化作品。明治時代の北海道を舞台に繰り広げられる、金塊争奪戦を描いたもの。今回の劇場版では単行本の1〜4巻あたりが描かれている。

元々、ヤングジャンプで連載されていた頃から6年以上追いかけていて、最終回も本誌で見届けた大好きな作品です。実写化と聞いてやや不安だったものの、アニメも面白かったし、なんやかんやで実写版も面白かろう!と、ほとんど前情報を入れないままに観に行きました。

結果。とっても面白かったです。

各キャラクターの再現度高ぇとか、アクションすげぇとか、語りたいことは色々あるのですが。私が特に感動したのは、杉元とアシリパさん、それぞれにとって根幹となる出来事が丁寧に描かれていたことです。

杉元は冒頭の二〇三高地で、塹壕の中に単身突っ込んで白兵戦を繰り広げる様子から、彼のぶっ飛び具合が印象付いてすごかったです。そして終盤の回想シーンでは、戦場での「不死身の杉元」とは対照的な、戦場へ行く前の「佐一」の真っ白な感じと梅ちゃんへの不器用な想いなどがしっかりと表現されていて、その後彼がどうなるか知っているだけに、見ていてつらかったです。寅次の訃報を持ち帰った時、視力を失った梅ちゃんが杉元から戦場の匂いを感じ取って「あなた誰……?」って言う場面、原作以上にきつかった…泣ける……。

アシリパさんについては、レタラが助けに来てくれた場面で、思わず、といった感じで一瞬泣きそうな表情をするんですよね。あれで涙腺ガッツーンいかれました。あの時、あの瞬間、レタラが現れたことが、彼女にとってどういう意味を持つのか。それを改めて思い知らされました。
また、終盤に杉元に対し、「相棒だから信じて欲しかった」と言葉をぶつける場面も、表情や声からアシリパさんの憤りや覚悟が伝わってきて、彼女の気高さが表現されているなと感じました。胸が熱くなりました。

他にも、北海道の大自然の雄大さとその恐ろしさ、アイヌの暮らしの様子など、実写で観るからこその、自分の生きる世界との地続き感のようなものを強く覚えました。特にアイヌの生活用品は、質感などが分かってよかったです。ストゥは思っていたよりも小ぶりだった。

自分的に、主人公二人の内面描写が丁寧だったことがとても嬉しかったので、今後の続編も楽しみです。

『星の旅人たち<字幕版>』

<あらすじ>
息子が巡礼の旅の途中で事故死したという知らせを受けた主人公のトム。60歳をとうに過ぎたトムだが、息子が辿れなかった巡礼路約800kmを己の足で歩き、息子の遺灰を散骨していくことを決意する。

フランス南部の街から、スペイン北部のサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの道を、ひたすらに歩き続けるロードムービー。

主人公のトムは決して社交的とは言えない性格だけれど、そんな彼と旅路を共にしようとする人たちがいる。彼らとの距離感が実に絶妙で。互いに踏み込んだ話をしたかと思いきや、次の瞬間にはスンッと距離を取って離れる。決して相入れない価値観を持っているけれども、相手を拒むことなく、けれども受け入れることもなく……ということを繰り返すうちに、付かず離れずの距離を保ちながら一緒に歩き続ける、という不思議な関係性が築かれてゆきます。

美しい牧歌的な風景の中、淡々とした会話と静かな展開が積み重なって旅が続いてゆくのですが、その積み重ねがやがて、旅の終盤における彼らの絆に繋がっていく様子は、なんだか目頭が熱くなりました。野宿続きの果てにようやく高級ホテルに宿泊できた時も、お互い一人部屋では何だかしっくりこなくて、結局は一つの部屋に集まってみんなでダラダラと過ごす。その場面の彼らの表情がとても楽しそうで、こちらも思わず、ふふって笑ってしまいました。

印象的だったのは、巡礼路の終着地点であるサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着した後、窓口の人に改めて「巡礼の目的は?」と聞かれた時のそれぞれの反応です。みんな、はぐらかすような回答をするんですよね。でも、ここまでこの作品を見ていた人ならその理由は分かると思う。きっと、初対面の相手に対して言葉で表現しきれるものでもないし、簡単に分類できるものでもないのだろうなぁ。

心が疲れた時に観ると、じんわりと泣けてくる作品。

『ケープタウン<字幕版>』

<あらすじ>
高層ビルとバラック小屋が混在する街で、子ども達が失踪する事件が相次ぐ。別事件の黒幕と思われる組織を追っていた刑事たちは、二つの事件が絡み合う背景に恐ろしい計画が隠されていたことを知る。

黒人刑事アリと白人刑事ブライアンが、一つの殺人事件をきっかけに、街に蔓延る「邪悪」と対峙するクライムサスペンス。かつてアパルトヘイト政策が取られていた国が舞台となっているので、登場人物たちの根底には常にその事実が横たわっています。

作中では、裏で糸を引く白人組織が、地元の黒人ギャングたちを使って非人道的なことを繰り返しています。現在は白人と黒人が「融和」されている社会だからこそ起こり得た事件なのかな、とも思いました。表面上は「融和」されているけれど、一部の人にとってアパルトヘイト時代からの根本的な思想は変わらず、またそのことが歪んだ社会構造と根深い怒りを生み出しているというか。

「怒る権利があるのはアリだけだ。でも彼は自らの強さで許している」
この、同僚のダンの台詞がとても印象的でした。物語序盤だったので、「へぇ、アリは人格者だなぁ」としか思っていなかったのですが、終盤になると、この台詞の重みが分かってきました。アリは確かに、自らの強さでもって怒りを抑え込んでいた。アパルトヘイトの時代から現在に至るまで、40年以上ずっと。でも街の「邪悪」の蓋が開いたことで、彼の忍耐を凌駕するほどの悲劇が次々に起こってしまう。

アリの感じていた「怒り」というのは、決して白人に対するものではなく、理不尽な暴力が罷り通るあの社会に対するものだったのだろうな、と思います。

最後の展開として、「凶暴化して他人を殴り殺すことができる薬」を生み出した人間が、薬を使っていない、真っ当な怒りで拳を振り上げた人間によって殴り殺される、という結末が非常に皮肉めいているなと思いました。後味は悪い、けれども観てよかったなと感じた作品でした。

大人の身勝手さによって、たくさんの子どもが理不尽に犠牲となる物語です。また、わりとあっさり人が死んでいきます。グロ表現もあるので苦手な方はご注意くださいませ。『ボーダーライン』と似た空気感のお話です。

あと個人的な好みになりますが、本作のようなオーランド・ブルームをもっと見てみたいと思いました。一見するとだらしのない、けれども仕事への熱意が人一倍高くて情のある人間……最高じゃないですか。


この他にも、クレヨンしんちゃんの劇場版である、『謎メキ!花の天カス学園』を観たりもしました。めちゃくちゃ泣いた。

3月後半も、何か観れるといいなぁ。

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