戸籍収集の注意点
相続登記における戸籍の収集は、難しいです。そして、戸籍の収集こそが相続登記の肝となる作業です。
戸籍の収集がヌケモレなく行われ、登記申請書の添付書類として添付されなければ、相続登記は完了しません。
ここでは戸籍収集の細かい事項は解説しませんが、お客様が戸籍収集をした際によく誤っているポイントを中心に紹介します。
収集する戸籍謄本
収集する戸籍謄本を書くと、以下です。こう書くと簡単な印象を受けるかもしれないですが、これが結構難しいです。
被相続人(死亡した人)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍
相続人の現在の戸籍謄本
戸籍は本籍地の市町村に請求する
戸籍は本籍地のある市町村で管理されているため、戸籍の収集にはまず本籍地の確認を行います。本籍地は住民票に記載がありますので、本籍地がわからない場合は住民票で確認します。
本籍地の住所の市町村に戸籍謄本を請求し、入手した戸籍謄本に記載されている昔の本籍地の住所の市町村に戸籍謄本を入手する、ということを繰り返して、死亡した人の出生から死亡までの戸籍謄本を繋げていきます。
戸籍は、主に婚姻、離婚、転籍等で改製されます。本籍地が変更なくとも、法律が改正されたことによっても、新しい戸籍が作成されます。
戸籍収集における「出生」の意味
戸籍収集における「出生」の理解を誤っているケースが多く見られます。「死亡者の出生から死亡までの戸籍謄本」をご提供くださいと依頼すると、多くの人が勘違いして、死亡した人の除籍謄本(死亡したことが記載される)提供して終了と思っている人が多いです。
除籍謄本を見ると「出生日○年○月○日」とあります。そのため、その除籍謄本で足りると考えがちです。しかし、そうではありません。
そもそも、こちらの言い方に悪い所があります。「出生」とは、「死亡した人が【出生した時に入籍】した戸籍謄本」を指しているということを細かく伝えなければなりません。
つまり、大抵は、「死亡した人のお父さんが筆頭者(婚姻していない場合は、お母さん)となっている戸籍謄本を入手しなければならない」ということです。今だとまだ、いわゆる縦書きの古めかしい戸籍謄本です。これが死亡者の出生時の戸籍謄本です。
したがって、収集すべきは、死亡した人のお父さん(婚姻していない場合は、お母さん)の氏名と住所を死亡者の住民票の除票から読み取り、その住所地の戸籍謄本、除籍謄本の写しを送付するよう役所に依頼します。
死亡者の戸籍謄本を収集するために、その父母の戸籍謄本(除籍謄本)を収集しなければならないというのはヘンな感じがしますが、「出生時の戸籍謄本」とは「父母の戸籍に入籍したときのもの」を指すということなのでそうなってしまします。
この理解が重要となりますので、戸籍を収集する際はご注意ください。
戸籍の収集がし易くなった:広域交付スタート
2024年3月1日より、戸籍の広域交付がスタートし戸籍の収集が少しラクになりました。但し、古い縦書きの戸籍謄本等、電子化できないものは対象外です(今までどおり役所に個別請求が必要です)。
本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で請求できる(郵送不可、代理人による請求不可)
ほしい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求できる
請求できる人は、本人のみ
請求できる戸籍は、本人、本人の配偶者、本人の父母・祖父母、本人の子・孫