私はこうやってコロナ禍を乗り越えた
予兆
2020年1月、父が急逝しました。
その悲しみに暮れる間もなく、同時期に発生したのが、武漢肺炎、
その後、新型コロナウイルスが原因であると知られてからは、
ウィズコロナと呼ばれた暗黒時代の幕開けでした。
まるで、その予兆として「覚悟せよ」というメッセージだったのだと今にしてみれば思います。
業界全体、否、日本全体が、2020年の東京オリンピックという希望、
そして当時は、「それが日本経済の最後の輝きになるかも知れぬ」などと喧伝されていた中、当社にとっても例外ではなく、その前の数年は、2020年というチャンスをいかに最大化するか?に焦点を絞り経営を続けていました。
(今にして思うと、その考え方自体にツッコミどころが多くあることはわかりますが、当時はそうでした)
その過程では社員全体が膨大な業務量の中、オリンピックイヤーに得られるであろう恩恵を信じ、突き進んでいたと思います。2020年1月上旬の年始の挨拶でも「ついに報われる時がきた」的なことを言っていました。
ですが、そのようなことは脆くも崩れました。
3月にはオリンピック延期が決定し、メディアでは、「人命を優先すれば経済はどうする?」「経済を優先すれば人命はどうする?」とどっちにしても批判の声しか出てこない世の中のムードもあり、人の動きは完全に止まりました。
経営者の会などでは「YOY マイナス20%だよー」「俺なんてマイナス30%だよー」という会話を横目に聞きながら、当時の私はYOYマイナス95%という状況でありました。
そのような状況の中、当社の強みの源泉であったフィリピンチームは、業務委託契約であったこともあり、90%のメンバーを契約解除することとなりました。私たちをずっと支えてくれた仲間を守ることができない無力感は想像以上に苦しく、徐々に私の心は、荒んでいきました。
絶望の中、我が子の寝顔を見て思ったこと
そんな期間は2020年3月から4月にかけての2週間でした。
決して長くはないです。
倒産、その二文字が頭を過ぎる中、再び、私の心に闘志を与えてくれたのは、「人」でした。本当に人に恵まれてるなと心底思いました。
会社の仲間、
多くのクライアント様、
金融機関の担当者、
地元の仲間、
経営者仲間、
株主・エンジェル、
挙げればキリがない程ですが、ここで敢えて触れたいのは、2つ。
1つは、まだ3歳だった息子の存在です。
その寝顔を見て「この子には退く姿を絶対に見せるわけにはいかない」
もう1つは、経営者仲間でした。その方から言われた
「生き残れば漁夫の利じゃん!」という言葉は大いに私を勇気づけました。
そんな中、社内にある様々なデータを見てみると、コロナ禍の中でも、
好調なエリアがあったり、同一エリア内で比較的優位な物件の存在があったり、それがどのような特徴なのかをウォッチする中で、様々な気づきを得ることができました。
また、当時もすでに複数エリアで展開してるからこそ、そういう気づきが得られるということに、「気づき」ました。
また私自身もリーダーシップのスタイルをボス型からサーバント型へと転換していきました。そのことで、社内にある知恵がより判断に活かされるようになっていきました。
そういう積み重ねの中から絶望的な状況を嘆くのではなく、
アフターコロナに向けて勝利の原因を今から真剣に作ろう!
そういう期間なのだと腹を括りました。
コロナ禍の中では、これまで多忙さ故に置き去りにされてきた様々な改善に取り組むことができ、結果としては、2019年12月と2022年12月を比較すると、3分の1の工数で業務が回るレベルにまで効率化が進みました。
コロナ禍を総括
この2年間、民泊業界の大手と言われた会社の多くは退場を余儀なくされました。倒産であったり、ピボットであったり、元々の本業への回帰であったりと。
また従来からのホテル旅館業についても、休業や廃業が相次ぎ、アフターコロナにおいても再開の目処が立たないケースも珍しくはありません。
その本質は何か?
私の考えだと、「繁閑差」、これが業界を苦しめる根源であるのだと確信するに至りました。「繁閑差など、どの業界にだってあるんだ、旅館業だけじゃないぞ」という反論もあるかと思いますが、
年による繁閑
季節による繁閑
曜日による繁閑
時間による繁閑
要素が4つもあり、それぞれが非常に大きく、バラバラに動きます。
この4要素が同時に繁忙を迎えたタイミングだと、人は何人いても足りません。逆にこの4要素が同時に閑散を迎えれば、一人も要らない(ちょっと大袈裟ですが)のです。
これほどまでに繁閑差に翻弄される業界は珍しいと私は感じてます。
そのような中、フロントスタッフの配置は必要であり、(それが必ずしも雇用である必要はないものの)基本的には固定費です。(つまり、暇であっても費用は発生する)
それを一つの施設で保とうとすれば、
労働基準法に遵守しようとすれば、24時間365日のシフトを組もうとすれば、どんなに小さな施設でも7人は必要とも言われています。
100室を超えるホテルであれば、その人件費は吸収できるかも知れませんが、ですが、50室未満であれば黒字化は至難の技となります。
(そもそも地方では、7人を採用することもままなりません)
選択肢は、ブラック企業的な労働スタイル、経営者一族が骨身を削って運営にあたる、もしくは赤字か。どれであっても今の時代では持続可能とは言えません。
このことこそが、旅館業に横たわる本質的なペインとはこのようなことなのだと理解しました。私たちは、その問題解消にとっての重要な解決策となること、それが存在意義であると決めました。
そして今という日を迎えています。
そんな当社なのですが、6月8日より6月25日まで「イークラウド」で株式投資型クラウドファンディングに挑戦します!応援よろしくお願いします。