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アーヴィングvsリップシュタット裁判資料

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デヴィッド・アーヴィングvsデボラ・E・リップシュタット裁判資料の翻訳集です。
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2021年12月の記事一覧

アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(15):アウシュヴィッツ-14

さて、本裁判の主役であり原告であり、首席弁護人(アーヴィング自身が代理人なしで原告弁護人を務めたからね)である、デヴィッド・アーヴィングについてです。 一応、簡単にアーヴィングについて英語Wikipediaの冒頭だけ翻訳して紹介しておきます。 アーヴィングほどのベストセラーを何冊も出した著名な歴史家になると、Wikipediaの記述も相当長くなっており(その半分以上はアーヴィングが起こした様々な騒動の話だが)、私も全部はまだ読んでません。それに比べ、日本語Wikipedi

アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(16):アウシュヴィッツ-15

今回の部分を翻訳し始めたのと同時くらいに武井彩佳氏の『歴史修正主義』(中公新書)を買ったのですが、すでに再版されておりさすが中公新書よく売れるのだなぁと羨ましい限りです。過去に一冊だけ偶然に小説を出版できたりしてるもので再版はほんとに羨ましいものです。版を重ねるごとにその分の印税もらえますからね。いや、非常に興味深く読めました。 速読ペースで一日で読んでしまったので、もっかいゆっくり読んでから書評でもしようかなと考えていますが、多分ですけど、日本ではこうしてホロコーストを中

アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(18):アウシュヴィッツ-19

何度も何度も言っているように、あまりに長いので、翻訳している最中でもどんな話が書いてあったのかを忘れてしまいます。今回も、アイヒマンの話が頻発しますが、私がこのホロコースト否認の問題に本格的に取り組んで割とすぐに購入したのが、『アイヒマン調書』でした。 それまでも、アドルフ・アイヒマンの名前は当然知ってましたし、いくつかの映画も見ていました。ハンナ・アーレントの『エルサレムのアイヒマン』は未だ読んでませんが、これは私がホロコーストそのものに関心があるのではなく、ホロコースト

アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(19):アウシュヴィッツ-20

あと2、3回かなと予想していたら、予想から2回となる今回でヴァンペルトレポートの翻訳は終了でした。裁判所に提出されたレポートは700ページもあったそうです。アーヴィングの本が嘘ばっかりなのを暴いたエヴァンズ教授のレポートもそれくらいらしいです。ヴァンペルトレポートは裁判の後に出版もされてるそうですが、もちろん日本語版なんてありません。 今回は、アーヴィングが当時、自分のウェブサイトと出版社で扱っていたサミュエル・クロウェルの論述についての話から始まります。クロウェルの論文で