秋の修羅
僕という事象は君に仮定され
光線の中で燃える秋です
硬質インクで書き連らねてる日常の
何度も出てくる名前がにじむ
スクラップ・アンド・ビルドで
増えていく心象スケッチ これより進むな
抜け落ちた前後の声が知りたくて
宇宙塵をかき集めてる
あと何年も会えないのなら
せめて銀河鉄道の夜を一緒に飲もうよ
虚無という言葉がしみる
空風の強い夜は東京駅へ
そのうちさ、あの日も全部
教科書になって神も観光名所に
われわれは変わらぬままだ
二千年経っても君はいないままだ
あと何度この道通れば
透明の足跡追い越し春が来るのか
人類の命題は全て
僕の恋の性質としてのみ主張されます
※映画「シン・ゴジラ」の作中に登場する文部科学省研究振興局基礎研究振興課課長 安田龍彦(演:高橋一生)が、ゴジラの放射熱線で恋人を喪ったという仮説の設定で作られている短歌です。公式による明言はありません。
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