恋人を喪った安田短歌「13%以上、××してる未満」
街中がおしゃべりすぎて思い出す(喪ったことが日常ですから)
この國が正常なのは人々の孤独の下に生きる命だ
再開のリミットカウント動かないように僕の記憶も凍結
どうでもいいことばかりを覚えてる日々だ ブルーベリーのモンブランが好きとか
世の中に自分と同じ人は三人といるらしいから幸せ願うよ
わかってる、わかってるんだ、もう君がいないし何も喪わないって
思い出せないときはいつも目を瞑る。僕の名前を呼ぶ声は今、
「安田くん」「休みはいつなの」「安田くん」「そろそろ起きてよ、もうすぐ朝だよ」
許されることはありますか?君のこと忘れてしまう罪をさばいてよ
北風が吹きつく夜はもう一度ポケットの中の君の手なぞって
忘れないままでいる13%以上よりも忘れることが許しか
君の名は一生我に刻まれる紫色の直光レーザー2016
キスをする、手をつなぐたびに思い出す、僕の罪か もう君はいない
新宿の下で眠れよ瓶ビール祝杯代わりにかけてあげよう
シナリオの通りに行けばこの冬は指輪を買っていたんだろうね
スクラップ・アンド・ビルドだ 立ち直ることはあっても君はいなくて
あくまでも最善策です ひとりでは生きていけない(でも好きはなく)
線香の代わりに嫌いなマルボロで弔わせてくれ、好きだよ君が
選択肢としてはありだよ、だからって置いていくなよ もう一年だ
※映画「シン・ゴジラ」の作中に登場する文部科学省研究振興局基礎研究振興課課長 安田龍彦(演:高橋一生)が、ゴジラの放射熱線で恋人を喪ったという仮説の設定で作られている短歌です。公式による明言はありません。
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