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春一番
「桜はね、散るからいいの。この感覚、日本人しかないらしいよ?」
道一面覆い尽くす薄紅が踏み潰される度思い出すのだ
行ってきますの声が明るかったこと、返事もせずに見送ったこと
さみしさに立ち出でてみれば春暁で東京息づく 洗濯がゆれる
祈りとは両手をあわせ横たわり二度と夢見ぬよう願うこと
流れ散る血潮ひとつも残さずに消えた君の足跡がひとつ
「しあわせは歩いてこない」というけれど、走った先でも会えないのなら
顛末書、事業再生申請書、書けない赤ペン、机上の写真立て
突風と豪雨が乱れて葉桜になる頃、記憶は残り何mm
※映画「シン・ゴジラ」の作中に登場する文部科学省研究振興局基礎研究振興課課長 安田龍彦(演:高橋一生)が、ゴジラの放射熱線で恋人を喪ったという仮説の設定で作られている短歌です。公式による明言はありません。
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