お金持ちで見た目もいい夫が浮気しているかもしれません(4)
前回からの続きです。
今回のお話は、今モラハラ離婚問題・浮気問題に直面している凛子さん夫婦のなれそめの話と、離婚弁護士に相談するまでのお話です。
夫の俊介さんがモラハラ夫かもしれない……
そんな疑念をもとに結婚後の記憶をたどってみると、その疑念が確信に変わっていくのを感じる凛子さん。
凛子さんは夫のことを「尊敬」していました。結婚を決めたのも尊敬の気持ちが強かったからです。
凛子さんは、ぼんやりと、結婚前の恋愛のきっかけを思い返していました。
最初から「格差」のようなものがあった、俊介さんと凛子さんの関係。
はじめはよかったのですが……
「その靴、マルジェラでしょ?」彼の車に乗ることに
東京の有名大学を卒業した俊介さんは新卒で金融機関に就職。数年ののち自分のビジネスを興し、今や国内でいくつかの拠点を持つまでに成長させた、若手のやり手ビジネスマンです。
会社員当時から外見もよく、ポール・スミスのスーツを着こなし、たまにスポーツカーで出勤する姿はちょっと知られた存在で、社内外にファンが多かった、そんな人です。
凛子さんも当時、同じ会社に勤務してはいたもののアシスタント職。もっと派手できれいな女性は社内にも取引先にもたくさんいたので、自分は地味な存在だと自己評価が低かったこともあり、俊介さんのような存在には憧れることすらしませんでした。
ところが、ある日の帰り道、小雨の中で駅までの道を歩いている凛子さんに車で通りかかった俊介さんが声をかけたのです。
「その靴、マルジェラでしょ? 濡れたらダメじゃん、駅まで乗りなよ」。
と助手席のドアを開けて、「後ろから車来てるから、早く」と凛子さんに乗るよう急かし、
「オレ、靴好きなんだよね。木下さん(凛子さんの旧姓)、いつも靴きれいに履いてるよね。それが濡れるの耐えられなくて」
と笑顔で言うのでした。
とりあえず助手席に座ったものの驚いている凛子。
そんな凛子さんに向かって、
「強引でごめんね? 営業部の人、って感じでしょ」と言ってアクセルを踏んだ横顔を、凛子さんはあれから何年も経った今もまだ覚えています。
「本当に営業部の人、って感じだなあ」というのが凛子さんの率直な感想で、特に気に留めることもなかったのですが、それ以来なにかというと俊介さんは凛子さんに所用を頼んでくるようになりました。凛子さんも、業務の一部として通常の対応をしていました。
社外に呼び出されて
ある夏の日。凛子さんが勤務中に外線が回されて出ると俊介さんからの電話でした。
「本当にごめん! 木下さん、得意先で明日アサイチでミーティングなのに資料を忘れてきちゃってさ…。これから別の先でプレゼンがあって、そのまま直帰なんだ。
俺の家、木下さんの最寄り駅の3つ手前なんだけど、駅まで持ってきてくれないですか?」
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