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『メグレ罠を張る』個人的視聴ランキング

パリでは無差別連続殺人事件の話題で持ちきりだった。既に五人の女が殺されており、夏季休暇を返上して警察は犯人を追うが手がかりが掴めない。メグレは、警察組織を総動員してある作戦を結構する。その果てに見つけたのは、一人の男と二人の女の姿だった。

原作が名作であり、前半に組織的な捜査パートがあるなどメグレファン以外にも馴染みやすい内容のためか、映像化が多い『メグレ罠を張る』(1955)。

この原作の映像化をいくつか観ることができたので、個人的な好みを書き残しておきます。

観たのは以下4本。
ジャン・ギャバン主演シリーズ01
 「殺人鬼に罠をかけろ」(1958/仏/114分)
マイケル・ガンボン主演シリーズ シーズン1・第6話
 「メグレわなを張る」(1992/英/52分)
ブリュノ・クレメール主演シリーズ 第23話
 「パリ連続殺人事件」(1996/仏/95分)
ローワン・アトキンソン主演シリーズ シーズン1・第1話
 「メグレ罠を張る」(2016/英/86分)

好きな順番は以下のようになりました。

クレメール > ギャバン > アトキンソン ≧ ガンボン

 原作も傑作ですが、全ての映像化が高レベルだったという奇跡の一作でした。ただ、それぞれの特徴により好みが出た感じです。

クレメール版は原作の犯人との対決を最も濃く描いていました。
最初から最後まで緊張感が持続しており、最後に雨に打たれるメグレまで良かったです。
ここまでクレメール主演シリーズ14作品を見たうちでも上位の作品でした。

ギャバン版は映画的なオリジナル展開が結構ありますが、一本の作品としての完成度が高かったです。
警察組織物としての面白さと、ジャン・ギャバン演ずるメグレの存在感が圧倒的で、今観ても色あせない面白さがあります。

アトキンソン版は最新映像で緊迫した捜査の様子を描いており、夫人とのやり取りも原作より濃く満足度は高いです。
ただし、現代ドラマとしての味付けなのか、やたらメグレが周りにプレッシャーをかけられる描写が気になるのと、最後の犯人たちとのやり取りが、丁寧ではありますが、どこか物足りなさがありました。
(このプレッシャー描写があったからこその、最後の晴れやかなパリを歩くメグレの姿は開放感がありとても良かったです)

ガンボン版は丁寧に原作を映像化していて、シリーズの一本として安定の面白さでした。
しかし、ほぼ2部構成な作りの原作を50分に収めているため忙しさがあり、犯人との対決部分が薄いのが残念でした。

それぞれの映像化毎に、メグレの役作りや、シリーズを通した雰囲気に個別の特徴があるので、どれもオススメのシリーズです。


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