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ピエール・ルノワール主演『十字路の夜』La nuit du carrefour(1932)紹介と感想
あらすじ
世の中では自動車強盗も起きているらしいが、今日も村ではいつも通りの生活が続いていた。
しかし、自動車盗難が起きて状況は一変、〈アブランビルの十字路〉に住むデンマーク人の兄妹が疑われる。
早速デンマーク人の家に駆けつけると、ガレージの車からオランダ人宝石商の死体が発見された。
警察は兄のカールを逮捕し長時間の尋問を行うが、決め手がなく釈放となってしまう。
メグレは、十字路まで出向き、妹のエルスや村の人々と交流しながら捜査を進めていくが、新たな犠牲者が生まれてしまうのだった。
紹介と感想
本作はメグレシリーズ初の映像化となります。
元々の作品からフィルムが一部消失しているらしく、結構な速さで物語は進行します。
ストーリーは原作に沿っていますが、原作で殺人の犯人だったぽっと出のイタリア人は、エルスの最初の夫に変更となり主犯格となっていました。
刑事部屋に曇る紫煙の濃さ、広く寒々しさもある屋敷の中でのメグレとエルスのやり取り、モノクロの画面を活かした濃淡の使い方、走行する車上から音と光で表現される犯人一味との銃撃戦を伴う追跡劇など、ノワールとしてのメグレが印象的な作品でもあります。
そんなピエール・ルノワールのメグレは、個人的にはやや端正すぎかなと感じますが、作品を通して頼れる警視であることを印象付けてくれます。
重要人物であるエルスは、原作よりも分かりやすく二面性が描かれており、退廃的な魅力が横溢しています。
また、自動車や水、足音など、世界の中にある様々な音が作品の雰囲気に良い効果をあげています。
原作の持つ雰囲気とは変わっていますが、フィルム・ノワールとして今見ても面白い作品です。
映画概要
題名:十字路の夜 La nuit du carrefour
原作:ジョルジュ・シムノン『メグレと深夜の十字路』(1931)
監督:ジャン・ルノワール
脚本:ジャン・ルノワール
製作:フランス/1932年
時間:75分
キャスト
メグレ警視/ピエール・ルノワール
エルス/ヴィナ・ヴィンフリード
ルーカス/ジョルジュ・テロフ
カール/ジョルジュ・クードリア
オスカル/ディグニモン
グランジャン/G.A.マーティン
ジョジョ/ミシェル・デュラン
エミール/ジャン・ゲレ
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