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ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視25「聖歌隊少年の証言 Maigret et l'enfant de choeur」(1997)

原作:「児童聖歌隊員の証言」(1946)『メグレと無愛想な刑事』所収
脚本:ドミニク・ルレ、ピエール・グラニエ=デュフェール
監督:ピエール・グラニエ=デュフェール
本編:91分


あらすじ

メグレはエチエンヌに、少年時代に聖歌隊に入っていた思い出を語る。
「でも、君が話したような出来事には遭わなかった」

1953年10月22日、火曜日。エチエンヌは教会へ行く途中にナイフが刺さった死体を見つけた。その時に犯人も見たのだという。
しかし、誰も少年のいう事を信じなかった。少年が見たという死体は消えていたからだ。
メグレは、半信半疑ながらエチエンヌの話の検証を始める。

町には子どもっぽい所がある引退した老判事に、胡散臭い骨董店の店主など印象的な人が多く住んでいる。メグレは一人一人を訪ね歩き、真相へと迫っていく。

視聴記録

原作はポケミスで40ページ程度の中編となります。
しかし、ドラマは90分の長丁場なため、原作よりメグレが聞き込みをする範囲が広くなっています。
そのため、ドラマオリジナルの登場人物が多数出ており、オリジナルエピソードも多くなっています。
この変更により、事件が起きた町全体を描こうとしている感じがしました。

原作でも印象的な登場人物である、判事の出番も増えています。
犯人は原作から変更されていますが、原作の犯人自体が、ある意味誰であろうといいような話だったので、不自然さはありません。

基本はメグレが次々に証言を聞いて歩く構成ながら、エチエンヌとエレーネ母子との交流や、判事など住民のキャラの濃さもあり、飽きずに観ることができます。

原作と違い、メグレ夫人はいなく、メグレもインフルエンザにかからず、最後まで元気いっぱい自分で捜査を行います。

メグレが時折過去を振り返る時には、画面はモノクロになります。
エチエンヌやエレーネとメグレの交流も増しており、自分の子ども時代を振り返りながら楽しそうな表情を見せてくれるメグレの雰囲気が良いです。
笑顔で自転車に乗っているメグレは、他では見られないと思います。

シリーズでもお気に入りの一本になります。

「私も子供のころ聖歌隊にいた。1910年くらいだと思う。狭い協会だった。襟に白いレースのついた赤い服を着てた。40年以上前のことだ。
教会では皆、女性ダンサーの話ばかり。毎日近道をしていったものだ」

エチエンヌに自分の少年時代を語るメグレ

キャスト

   ジュール・メグレ/ブリュノ・クレメール
      エチエンヌ/スタニスラス・クレヤヴィヤン
       エレーネ/アンヌ・ルーセル
       ドニーズ/ジネット・ガルサン
デュパン・デュクロ夫人/シルヴィー・グラノティエ
    メジエール判事/ジャン・マルタン

同一原作の映像化

ジャン・リシャール主演シリーズ(仏) ※日本未紹介
 第78話「Maigret et le témoignage de l'enfant de choeur」(1988)


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