ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視12「メグレと幽霊 Maigret et le fantôme」(1994)紹介と感想
原作:ジョルジュ・シムノン『メグレと幽霊』(1964)
脚本:アンリ・ドゥ・チュレンヌ、アクリ・タジェ
監督:アニュ・カハコルピ
時間:86分
あらすじ
〈無愛想な刑事〉ロニョンが、フィンランドの路上で撃たれて重傷を負う。
ロニョンは意識を失う前に「幽霊……」と呟いた。
更に、ロニョンと同居していた娼婦のポレットも、事件後に姿を消していた。
フィンランドへ向かったメグレは、現地警察アリ・ヴァーの協力を得ながらロニョンの足取りを追っていくと、画廊オーナーのギュスターへとたどり着く。
ギュスターの妻、ミレイラと愛人と思わしき男との不審な行動を目撃するメグレとアリ。
ロニョンは何を知ったために命を狙われたのか。
メグレは異国の地で起こった犯罪に切り込んでいく。
視聴記録
物語上、最大の違いは部隊がフィンランドへ変更になっている事です。
そのため、メグレは単独でフィンランドへ向かい、現地の警察と協力して捜査にあたることになります。
物語は、幹の部分は原作を踏襲しながら、肉付けや魅せ方が大きく変更されています。
登場人物面では、女性陣が原作との変更が多かったです。
ミレイラはメグレとの直接交流も増え、受ける印象も原作と変わっていました。
また、ポレット(原作におけるマリネット)周辺も大きく変わっています。
原作通りロニョンは意識不明ですが、メグレがロニョンを運はないが優秀な刑事だとアリに伝える場面があり、本ドラマシリーズでは珍しくロニョンについての言及があります。
ただ、以降は回想シーンも無いため存在感が薄く、ドラマシリーズでは他のロニョンの活躍は描かれないため残念でした。
メグレ夫人は出ないため、メグレが直接ロニョン夫人に事件を知らせに行きます。
そのため、昇進できないのは手柄を警視に横取りされるからだと、直接嫌味を言われるメグレでした。
相棒となるアリ・ヴァー刑事は爽やかな青年で、メグレの通訳に捜査にと活躍してくれます。
事件の魅せ方が原作よりも上手く、良い意味で普通の刑事ドラマみたいに展開していくため、最後まで動きがあり楽しく観ることができました。
キャスト
ジュール・メグレ/ブリュノ・クレメール
アリ・ヴァー刑事/チモ・トリッカ(22)
ロニョン/エスコ・ペソネン
ギュスター・ヨンケル/ハインツ・ベナン
ミレイラ・ヨンケル/エリザベート・ブルジーヌ
ポレット/ナディーヌ・スピノザ
ロニョン夫人/アニー・ベルタン
ベルゲン/パーヴォ・ペンティカイネン
カール/タネリ・マケラ
同一原作の映像化
ジャン・リシャール主演シリーズ(仏)
第15話「Maigret et le fantôme」(1971) ※日本未紹介
愛川欽也主演 東京メグレ警視シリーズ(日)
第19話「警視と幽霊」(1978) ※未見
ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録
☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。
〇01「メグレと消えた死体」(1991)
04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)